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「おはよう、茜ちゃん」
朝の通学路、後ろから声をかけられて振り返ると、眼鏡をかけた少女が微笑んでいた
「おはよう!翠ちゃん」
茜は挨拶を返すと、その少女の横に並んで歩き出した
「だんだん暖かくなってきたね」
そう言うと、翠と呼ばれた少女はまぶしそうに太陽を仰ぐ
「そうだね、もうすぐ桜の花も見頃かなぁ」
茜は通学路上にある桜の木を見ながら答える
「そうだ!翠ちゃん、今度のお休みに、お花見に行かない?」
「お花見?」
「うん、お弁当持って行って桜の木の下で食べるの」
「お花見かぁ・・・でも、お母さんが許してくれるかなぁ。最近この近所で、いろいろと変な事件が起きているから、あまり外で遊ばないようにって言われているし・・・」
「そっかぁ・・・」
「あ、でも、一度お母さんに聞いてみるよ。
河川敷の所ならそんなに遠くないし、お母さんも許してくれると思うの」
「それじゃあ、今度の日曜日なんてどうかな?」
「だったらクラスのみんなも誘って・・・」
そんな会話をしながら、2人は学校へと続く坂道を登っていった




