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殺戮の戦刃

 第2サーバー拠点、北側。

そこは南側の陽動によって手薄だったが、第1サーバー部隊の援軍によってどうにか持ちこたえていた。

何故か空中部隊がいなくなり、戦況は第3サーバーに傾いている。


 そんな中で、連合軍をさらに絶望に追い込む者がいた。

黄金に輝く殺戮者。

冷徹にして無情な捕食者。

シザーである。


 シザーは使い魔の中でも本能に忠実だ。

強い敵は弱らせ、弱った敵は即座に狩る。

ある意味、もっとも効率的で合理的な戦い方をする。

もっとも、傍から見れば冷酷な戦闘マシーンだが。


ブシュゥゥゥ


「うわっ!?」


「何だ!?」


「え? 鎧が……」


ズバッ!


 アシッドブレスが装備を腐食させ、防御力の低下したプレイヤーは斬り伏せられる。

集団で囲もうとすれば逃げ出し、他のプレイヤーを襲う。

同じアタッカーでも、ネクロスより性質の悪い存在かもしれない。


 そもそも、500人以上の第3サーバープレイヤーがいるのだ。

シザーだけに意識を向ければ彼らにやられてしまう。

すでに拠点には侵入されているようだ。


 激しい戦闘音が内部から聞こえてくる。

このままでは城門が開くのも時間の問題だろう。

連合軍の空中部隊がいないのは、当然返り討ちに合って壊滅したからだ。

そこへさらなる脅威が舞い降りる。


ズズン!


 突然の轟音に戦場の注目が集中する。

場所は対空攻撃もままならなくなった拠点の中央。

そこに虹色の巨竜が降り立っていた。


 反応は真っ二つに分かれた。

第3サーバーにとっては戦況に止めを刺す切り札。

連合軍にとっては初めて見る未知の敵、それもけた外れの強敵だ。

背中に聖魔が乗っているのだから味方のはずが無い。


「「「「キター!」」」」


「「「「「何だあれー!?」」」」」


 その存在感は連合軍の士気をへし折り、第3サーバーを鼓舞する。

そうこうしている内に、先に南側の防壁が破られた。

雪崩れ込んでいく第3サーバー部隊。

ほどなくして北門も破られた。




 俺はカリスと共に拠点に突入したのだが、その時点でもう勝負は決まった様なものだった。

案の定、すぐに北と南が両方破られた。

やる事無いな。

カリスのお披露目だし、拠点更地にするか?

いや、味方を巻き込んじゃマズイ。


第2サーバーの拠点が制圧されました。


第2サーバーのプレイヤーは転送されます。


 お、決まったか。

プレイヤーの数が一気に減った。

第1サーバーの連中も引いていくな。

ん? これって、チャンスじゃね。


 この時、第1サーバーのプレイヤーはもっとバラバラに逃げるべきだった。

群集心理で一斉に固まって逃げ出してしまったが、それは的でしかなかった。

カリスの放ったブレスと天から降り注ぐ光弾は、彼らを蹂躙した。

空中部隊の壊滅も含めて被害は甚大だった。



 一方、第4サーバーもジッとしていた訳ではない。

偵察要員が戻らなかったので、敵にならって強硬偵察をかけていた。

空中部隊を中心に編成された部隊は、キノコの森を超えて防壁を超えようとする。


「おい、あれ見ろよ」


「オリハルコン製か?」


 ドカドカと打たれる防衛兵器をかわして偵察を続けると、敵の拠点が見えたのだ。

その材質はオリハルコン。

砦自体も含めて全てである。


「上位鉱石の防壁2枚かよ」


「どっから揃えたんだよ……」


 あまりの堅牢ぶりに呆れてしまう。

そこに球状の何かが飛んできた。

かわそうとする偵察部隊の中央で、その球体は弾けた。


パン パン パン


「うわっ! 何だ、これ?」


「網に、トリモチか?」


 それはイベントでも使用したネットボールと、新開発したトリモチ弾だった。

動きの鈍った偵察部隊は、次々に防衛兵器の餌食になっていく。

なんとか帰還したプレイヤーによってその情報は伝えられ、共有された。

最も、その時すでに第2サーバーは脱落していたが。



 そして第1サーバーでは。


「うう、ハル達もククもやられちゃったか……」


「リエはウィーに乗るんでしょ。私はルイに乗るね」


 ワイバーンの上位『ウィルム』と、巨鳥『ルフ』を従えた2人がリベンジを誓っていた。

どちらもランク4の飛行モンスターである。

妹達も前回の戦闘から比べると、遥かに強くなっていたのだ。

そして出撃の時は来る。


ケツアルコアトルの別名はククルカン。


だから名前はククです。

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