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中世兵器

 ギルドリーダーの話によると、新兵器は他にもあり、町の外で実験をしているらしい。

そういえば資材の一部が外に積み上げられていたな。

町に入りきらない分かと思ってた。


 予備も合わせて2機の輸送機(という名のミサイル)を担いだギアが後ろを歩いている。

あまりにもでかいのでアイテムとして収納できないのだ。

工房のあれもゴーレムや巨人に運んでもらったらしい。


 町の外に出るとそこでは組み立て作業の真っ最中だった。

木材を組み合わせたあれは、発石車か?

こっちにあるのは金属製の巨大なボウガン、いわゆるバリスタだな。

丸太みたいな矢の先端はオリハルコン製か。

でかい宝石まで仕込んであるし。


「こいつを使えば俺達職人も戦闘に参加できるだろ」


「そうだな」


 攻城用兵器なんて用意してるところが他にあるんだろうか? 

俺だってここまでは考えてなかったぞ。

ファンタジーゲームの常識に囚われていたのか?

それともジャンルを全く気にしないこいつらがぶっ飛んでいるのか。

後者という事にしておこう。


 そもそも、プレイヤーに軍隊みたいな統率を求めること自体困難だ。

個人で楽しんでいる者たちを型に押し込めても、士気が下がるだけだろう。

自由に戦う彼らを戦いやすくサポートする。

それが自分たちの役割だ。

そうギルドマスターは言った。

このセリフだけならまともな人物に思えるんだが……。




 で、俺は今、罰ゲームを受ける芸人の苦労を味わっている。

輸送機という名のミサイルに詰め込まれて、発射。

落下の衝撃と共に飛び出す。


 ジェットコースターやフリーフォールより厳しい。

っていうか、クッション越しでも衝撃が凄い。

自転車で盛大にこけたより凄い。

現実だったら何回か死んでるって……。

しかも外が見えないからタイミングも解らない。


「おい、これホントに実用化するのか?」


「キツイか?」


「お前のってみろよ」


「俺はお前ほど頑丈じゃない」


 不毛な言い合いが続く。

輸送機はもうベコベコになっている。

予備機は即席で改修中だ。


「ふーむ、窓の設置に緩衝材の追加に……」


「うわ……HP減ってるじゃん」


キュイ~


 危険だから輸送機に乗らなかったリーフが、心配して寄ってくる。

ヒールをかけてくれるこの優しさ。

おい、そこの暴走野郎も少しは見習え。


「よし、こんなもんだろう」


 チッ、もう完成したのか。

もっとゆっくりやってろよ。


「ほれ、注文通り窓を着けた。緩衝材も増やしたぞ」


「大丈夫なんだろうな? えらく早いじゃないか」


 こういう場合、早いと不安なんだよな。

手抜き工事みたいで。


「それを調べるための実験だ。さあ乗ってくれ」


「はいはい」


 不安を覚えながらも改修された予備機の乗り込む。

って、何だこれ?

緩衝材だらけで動けないぞ。


「おい、俺は割れものか! これじゃ、すぐに出られないじゃないか」


「んー、とりあえず着陸に耐えられるかを試そう」


 アバウトだな。

まあいい、やるだけやってみよう。


バシュウゥゥゥ


パリン


バッカーン


 結論から言おう。

発射された輸送機はその衝撃で窓が割れた。

そして穴の開いた機体は、着地の衝撃に耐えられず吹っ飛んだ。

俺ごと。


「さて、何か申し開きはあるか?」


「うむ、ボロボロのお前とは珍しい物を見た」


「今ならPKも許されそうな気がするんだが」


「冗談だ。窓の強度が不足してたんだな」


 結局、輸送機はもう少し調整が必要と言う事になった。

俺はこれでも温厚な方なんだが、さすがに今回は怒ってもいいと思うんだ。

次も頼むとか言っていたが、次も同じだったら多分キレるぞ……。

まったく。


大ボス以外で主人公のHPを減らすとは……。


恐るべし(色んな意味で)職人。

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