音楽番組
せっかくプライドをくすぐった前回の対応は効果がなく、その後も詩織は近藤に会ってほしいと電話やメッセージで求められました。
しかし、うんざりした彼女は、仕事が忙しいことを口実に、拒み続けました。
そんな彼女のもとに、郵便物が届きました。
「なに? これ」
開封すると、中からDVDのディスクが出てきました。
「まさか……」
そうです。近藤が彼女に、自らが制作した番組の動画を、ディスクに焼いて送ったのでした。
「ハー」
観なければ、今後もしつこくされるだけで同じことなので、諦めてそれを再生させました。まあ、観なくても、同様にしつこくされるのですが。
「……」
彼女は呆気に取られました。というのも、それは音楽番組だったのですけれども、なぜか近藤が有名な歌手のマネをして歌唱する姿だったのです。
何なの? これ。
実は、近藤は、テレビである歌手が歌っているのを観ていて、ふとマネをしてみたところ、思いのほか手応えがあったために、歌マネにどハマりしてしまったのでした。
ゆえに、一曲では収まらず、何人も、何曲も、近藤がマネをして歌う状況が続きました。添付された手紙のなかにはしっかりと「音楽番組」と書いてあるのにです。
これは、音楽番組じゃなくて、モノマネ番組だろうがっ!
詩織は、口にすると大声になってしまい、なので言葉にするわけにはいかないので、ひたすら心の中で近藤を罵倒し続けたのでした。




