表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おかしなおかしな教師近藤TV  作者: 柿井優嬉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/2

ドキュメンタリー番組

 注:この話は、「おかしなおかしな教師近藤が何やらとても悩んでいるご様子です」の続きです。


 佐伯詩織は、テレビ局に勤めていて、ディレクターをしています。

 そんな彼女のもとに、ある人が会いたいと言ってきたので、時間をつくってカフェで顔を合わせました。

「やあ、佐伯さん。ごめんね、呼びだして」

「大丈夫。それで、何なの? 話って。近藤くん」

 そうです。彼女に連絡を入れて、やってきたのは近藤でした。

「この前の、同窓会で出た話だけれど」

「ん? うん……」

 何のことだろう? と思い、詩織は小首を傾げました。

「ずっと気になってしまってね。オワコンだっていうのが」

「ああ」

 彼女はそのことかと理解しました。今の会話にあったように、彼らは少し前に同窓会に出席したのです。つまり、二人は同じ学校で、クラスメイトでした。

 そして、「オワコン」というのは、ご存じの方も多いでしょうが「終わったコンテンツ」の略であり、テレビは落ち目の業界で、過去のものになったとして、その言葉を使われることが少なくなく、詩織も同窓会の場で、半分本気、半分冗談といった調子で、自らの職場をそう嘆いたのでした。

「世代的に私もテレビにはたくさん楽しませてもらって、お世話になった身だ。なんとか元気になってもらいたい。だから、作ってきたんだ、これを」

 近藤はタブレットの端末をカバンから出して電源を入れました。

「え? 何なの?」

 相手はあの近藤です。詩織は嫌な予感がしながら尋ねました。

「私が作った動画さ。もしよかったら、ぜひ番組で使ってくれ」

 えー……。

 詩織は目にする前から引きました。なにしろ、あの近藤なのですから、期待などできるはずがありません。おかしなVTRを披露されるに決まっています。

 とはいえ、成り行きじょう仕方がないので、観ることにしました。


「うーん……」

 近藤は、煮詰まると、必ずミルクセーキを飲みます。

「そうだ」

 どうやらひらめいたようです。

「よし。完成、と」

 ペンを置き、さっそくできた詞を曲にのせて歌います。

「素敵すぎるぜ、近藤~。我らがヒーロー、近藤~。

 かっこよすぎだぜ、近藤~。我が心のラバー、近藤~」


 …………。

 詩織は絶句しました。

「な、何なの? これは」

 その問いかけに、近藤は自信満々な態度で答えました。

「いや、観ればわかるだろう。私が、趣味の曲作りで、その歌の詞を考えている模様を映した、ドキュメンタリーだよ」

 いやいや、素人が作詞しているサマを撮影したドキュメンタリー番組を、どこの誰が観たがるっていうのよ。この人、ほんと、何歳になっても変わらぬクレイジーさね。

 彼女はそう思いました。

「悪いけど、ドキュメンタリーは間に合ってるから」

「え? 本当かい?」

 近藤は怪訝な表情で言いました。

「ええ。今、ドキュメンタリーって流行らないのよ。観る人が限られてるから、制作本数も少なくて、足りてるってわけ」

 完全にテキトーに、彼女はそのように拒む理由をつくりあげました。

「そうか。なら、しょうがないな」

 近藤は納得した様子で帰っていき、詩織は安堵しました。


 しかし、何度も申しますが、相手はあの近藤です。これで終わるはずがないのでした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ