かくして世界は回る
一定間隔に置かれている蝋燭が心細く照らす薄暗い地下(古代エジプトのピラミットを思い浮かべる迷宮の見た目をしている)の廊下を反響する足音二つ……ウィルソンとマドレーヌだ。
「あ〜、なかなか見つからないもんだな」
「そりゃ、とんでもなく広いからね」
「本当にさ、この情報あってるのかな? そう思いながら探すのが一番めんどくせーんだよな……」
「しょうがないよ。 探さなきゃわからないじゃん」
「つーか、獣の場所とか大事な書類があんな薄暗い研究室に散らばっているのおかしくね? 罠なんじゃない〜?」
「その可能性はあるかもね。 でも、たとえ罠かも知れなくても潰し回るもんでしょ? 刑事現場100回っていうじゃない」
「ええ〜。 根性を皮にしたバカだろ、そんなの。 もしくは考えることをやめたアホか」
「んだって! あたしがアホだって言いたいのかよ!? このグータラ野郎」
「おいおい、んなこといってねーじゃねえか」
「チッ。 まあ、とにかく探すよ」
二人が雑談しながら小部屋に入ると突然後ろで円筒状の岩が転がって、入り口を塞いだ。 同時にろうそくがついて、壁に張り付いている人型棺桶が音を立てて、蓋が外れた。 そして、包帯まみれの人たちが飛び出してきたが、奇妙なことに包帯一本一本ずつに口がついていて、それぞれ不気味な声を出している。 それだけではなく、経年劣化で外れた包帯の隙間から眼球を失った穴、歯茎の根っこが丸見えになっている口が覗いていたり、嗅ぐ人の生気を失わせる異臭を放っている内臓が飛び出している。
「肉……肉よこせ……」
「目おくれよ……。 眼球どこいった……?」
「ぐへへへ……。 そこのねえちゃん……。 心臓くれよお……」
「あーあ。 こりゃ、やばいとこに入っちゃったな……しかもご丁寧に出口を閉めちゃったしよ〜。 というわけで任せるわ」
「全く、グータラなんだから。 ま、やるけどね」
死体に巻きついている包帯が口を開かせて、二人をあらゆる方向から食い潰さんと襲いかかる。
「ヴァァァーーーッ!!」
「死をも飲み込む罪なる光よ、哀れな彷徨い人にさらなる地獄を!」
「グギャアアア……!」
マドレーヌが杖を取り出して、死者専用光魔法の呪文を唱えた。 死者が一斉に体中から生まれた光に身を当てられ、呻き声を上げながら包帯ごと消滅していった。
「やれやれ……本当はあんま使いたくないのよね。あたしたちだって死者だし」
「そうだな。 光を浴びて、さらにだるくなったぞ」
「急ぐわよ! あの野郎どもに先を越されてたまるかよ……!!」
数十時間前 岳斗たちはヌンリャン銀河のヤラオ星にいた。 そこは銀河の集合体である銀河団の中でも一番と二番をを争う大都会星である。 銀河団に伝わるグルメ、遊戯、娯楽、何でもごされい!
空港に着陸した岳斗たち これまで類を見ない賑わいが遠い空港からでも聞こえてくる。 岳斗たちはそんな賑わいに胸を躍らせながら空港に足を踏み入れた。
「うわあ……。 こんなところがあったんだ! 人がいっぱい!」
「本当だ。 なんか種族のバリエーションがさらに多くなっているな」
「なあ、早く早く! 食いに行こうぜ!! ラウマだろ、ヤヴァンだろ、ハオスバだろ、あーー!! 待ちきれんぜ! ウヘヘヘ……」
「おーい。 グルメばか。よだれ垂れてんぞ。だはははははは……!!!」
「言ったな! このやろーー!!」
もはやいつもの風景になったシャルルと岳斗のじゃれあいをみて、一行は愉快に笑う。
「いつ見ても仲良しで見てる方も楽しいですね」
「同感じゃ。 ところで獣を探さなくていいのか?」
「獣は神出鬼没だから、基本は図書館で調べたり、聞き込みをしながら情報を集める必要があるの。 ここは大都市だから情報が集まりやすいと思ってね」
「とか言って、本当はグルメを制覇したいなんてな……まあ、焦ったって仕方がない」レオナルドが微笑んだ。
「そうか……じゃあ、わしもとことん楽しませてもらうぞ!」
しばらくして、街に入ると賑わいはさらに大きくなり、お祭り状態であり、多くの人で溢れかえっている。
「ぬおお!! こりゃ、レプリアム王国以上だぜ!」
「シャルル、アレキサンダー。 迷子にならんように抱えてやろう」
「ああ、サンキュー」レオナルドがシャルルとアレキサンダーを両手で抱えた。
「わあ……あたい、生まれてからこんなにたくさんの人が集まっているの見たことないよ!」
アレキサンダーは目をキラキラ輝かせながら、尻尾を勢いよく振っていた。 一行は獣についての情報を集めるために酒場を探して、人々たちを必死に嗅ぎ分けている。
「ごめん、ちょっと失礼」
「ぬおっと……。油断したらはぐれそうじゃ」
「そんときゃ、探知魔法かけてやるから心配するなよ」
「あ! あそこなんかどうでしょうか? 結構大きめですよね」
「うむ。 そこにしようか」
屋根が魔女の帽子のように急なのが特徴である大きな酒場にはいった岳斗たち。 ここは銀河に関するあらゆる仕事を扱っているギルドで、一階は客用に開放されていて、大人気の酒場になっているようだ。
「いらっしゃーい! 何にしますぅ〜?」
「麦ビール7つ貰おうか」レオナルドが騒がしい酒場の中でも響き渡る声で言った。(この作品では宇宙全体で、肝臓がアルコール分解できる能力を十分に持てば、年齢関係なく飲酒できる法律が適用されている。 日本や地球なども例外ではない)
「なあ、ビールに合うおすすめな料理ってあるか?」シャルルも声を張り上げた。
「はい、ございますよ。 ル・クールジュです。 星丸ごとが海になっているイオバ星でしか取れない魚があり、ミカエルと言います。 希少なミカエルという魚を一匹丸ごと使い、天使の涙と呼ばれるユキノウスをふんだんに溶かしたムニエルでございます。 ミカエルはどこを食べても美味しいです。 何なら、骨まで食べられますよ」
「ユキノウスってなんだ?」岳斗が聞いた。
「ユキノウスというのは花の形をしている星同士の花びらの接触による刺激で出来るものです。 この話から恋人が末長く一緒に暮らすことを願うためにユキノウスをかけた様々な料理を一緒に食べるというのが流行っています。 例えば、魚の尾を上下に分けて一緒に食べると恋愛が実ると言われているそうですよ。 今作ります〜 しばらくお待ちください」
料理が作られる間、岳斗たちは先にビールで乾杯して、雑談を楽しむ。 岳斗はアレキサンダーをボヤーっと見ながら言った。
「だとさ。 アレキサンダー、どーする?」
「あんたとは断るよ! ただもふもふしたいだけじゃないか!!」
「ばれた?」
「なあ、岳斗。 この場合、加那江だろ?」
「え!?」
「何? まあ、確かにな。 しかし、お前はいいのか?」
「いいんだよ〜。 何たってな、俺にゃ、杏ちゃんという未来の花嫁がいるんだよな♡ボォー……」
「杏ちゃんか、確かに可愛い。 あ、思い出した。日向たち元気かな」
「この冒険が終わったら一度あなたが住んでいる所に行きたいですね」
「あたいも! 気になるよ」
「皆様、出来上がりましたよ!」
店員が湯気が雄大に舞い上がっている魚料理ル・クールジュが3つ運ばれて来た。
「おお……! わしの星では魚は貴重品といってもいいほどじゃったからな、楽しみだわい」
「こりゃ、でけー! 加那江、いただきます」
「美味しそうね! いただきまーす」
「レオさん。 いきますよ」
「そうだな。 どんな味がするのやら?」
シャルル以外の一行は一斉のタイミングで尾の上下を食べて、シャルルは一足早く身の味を堪能した。
「うめえええ!! こりゃ、パリパリしている割には後味が長く続くぜ!」
「おお! なんだ、ふっくらでいて、蜜と魚身が互いの味を邪魔しないどころか、互いの深い旨みが引き出される」あまりの美味さにレオナルドが思わず翼を広げた。
「すっごーい! こんなに干からびていない魚は初めて食べたよ! 天国!」
「ビールとも合うな。 おつまみにはうってつけだ!」
あっという間に骨も食って、完食した。
「あー、食った食った」岳斗はそう言って、腹をポンポン叩いた。
「さて、情報でも集めましょうか。 しかし、上も賑わっていますね」
「ギルドというくらいなんだから二階は依頼とか受けたりする所なんじゃない?」アレキサンダーが上を向いて言った。
「そうだな。 情報が得られるかもしれん。 行こう」
二階に行くと賑わいはさらに増した。 依頼書が貼られている大きな提示板、受付などが奥にあり、その手前に幾つかのテーブルが置かれている。 見ると2人の商人がテキーラの飲み比べをしていた。 一方はメガネをかけているひょろひょろなホシヒトデ(1頭身の体型で5頂点のうち、それぞれ2つずつが手足になっていて、残り一つに目、口がついている)で、もう一方はパワータイプ肥満体型の青い鬼だ。
「おい! もう一杯だ」
「おう。 受けてやらあ」
「やってるなあ」
「こりゃ、楽しそうだ」
しばらく見ていると青鬼がテキーラが入ったコップを持ったまま椅子から倒れた。
「ウオオオオーーーッ!! まじかよ!? あいつ、底なしなんじゃねえか!」
「YES!! YES!! I'mテキーラチャンピオンじゃあ!! 誰か俺に勝つやつはいねえか!? 腰抜けども!!」
その時、群衆を掻き分け、名乗りあげた男どもがいた。 岳斗とダニエルだ。
「ここにいるぜ! おい、あんたに挑戦してやる! なにしろ負けず嫌いなんでな」
「わしも酒は強いんじゃよ! よく仕事の依頼主と朝まで飲み明かしたりしたからのう」
「ワハハハ!! 俺も舐められたもんだな。 こんなガキとジジイに挑戦されるとはね!!」
「おいおい、そいつあ、やって見なきゃわからんだろ? それにあんた、酔い覚まさなくていいのか? ハンデか?」
岳斗の一言に群衆が目を見合わせ、大笑いした。
「フッハハハハ!! おい、こいつ、とんでもなく田舎もんだぜ! 酔い覚ましの秘薬『チャン・コルゲン』を知らないとは!!」
「引っ込め、馬鹿野郎! お酒の味も知らんおぼっちゃま様がよぉ!!」
「だそうだ。 どうだ、やるかね?」
「舐めんじゃねえよ。 ヒトデ野郎」
「あーあ、頭空っぽか? こいつは」呆れるシャルル。
「先走るタイプみたいね」
岳斗、ダニエル、ヒトデがテーブルに座った。 ヒトデ人が酔い覚ましの薬を飲むと赤く火照っていた顔がたちまち白色に戻った。 観客の歓声がさらに大きく響き渡る。 早速賭けが始まったようだ。
「おい! 野郎ども、今からテキーラ飲み比べ対決が始まるぜ!! チップ比は1:100:120だ!! ジジイが100でガキが120だ!!」
「うーん。 かなり舐められているな」
「あのチャンピオンが勝つに決まってるぜ!! あんなの大穴どころか毛虫のクソ垂れが出るガバガバ穴だ!!」
「じゃあ、今から始めるぞ!」
審判がゴングを鳴らし、3人は一斉に一杯目を一気に飲み干した。 ダニエルがつまらなそうに言い捨てた。
「こんなの水じゃな……飲んでる気にもなれんのう」
「ほざけ! クソジジイ」
観客が見守る中、順調にテキーラを飲み干す3人。
三十七杯目 岳斗とダニエルは全く赤くなってないが、ヒトデは血を浴びたように赤くなって、限界寸前だ。 岳斗が審判を手招きして言った。
「チンタラ飲むのも飽きたぜ。 樽丸ごと持ってこいよ」
「かしこまりました。 おい、樽丸ごと3つだ!」
「へえ! 承知いたしました」
マッスルボティの人たちが倉庫から、成人男性一人を収納できそうなほどの大きさの樽を3つ持ってきて、岳斗たちの横に勢いよく置かれた。
「いくら何でもあれは無茶が過ぎるんじゃない!? 流石に止めた方がいいのではないですか?」
「うーん、止めても無駄かも。 あいつら馬鹿だからしょうがないわ」
「急アルの治療魔法ってあったっけ……?」
「ダニエル、いけるか?」
「もちろんじゃ。 誰に物言ってるんじゃ!!」
「だよな、じゃあ、行くそ!」
岳斗とダニエルは樽を丸ごと上に持ち上げ、酒をブラックホールあるいはアニーのように飲み干した。 二人は空っぽの樽を床に勢いよく置き、ヒトデ野郎に言い放った。
「さあ、てめえの番だ。 飲めよ」
「飲むよ……。 あ……。(でけえ!! こんなの今まで飲んだことねえ……)」
「どうした? あんたの得意分野なんじゃろ? ああ、持ち上げられんならわしが手伝ってやろう」
「あーー!? な……なななななめんなよ!? このくらい軽いってんだ!! そらっ!!」
ヒトデが舐められたことへの怒りでどうにか樽を持ち上げ、テキーラを一気に注入した。
「ガブガブ……」
飲み始めてから数秒もしないうちに白目を剥いて、樽を落として、後ろに勢いよく倒れた。 樽はマッチョ男に受け止められ、すぐさま栓が閉じられた。 周りの観客から歓声、悲鳴など様々な声が上がった。
「何だと……!? OH、NO!! 俺の金!!」
「おおおお!!! YES! あんた、すげえよ!! 俺もうかった!!」
「やれやれ、酔い覚まし薬に頼ってるんじゃまだまだだな。 逆立ちして、酒を耳、目、鼻、けつの穴から飲めるようになってから出直してきやがれってんだ!! アカヒトデ野郎が!!」
加那江たちが岳斗とダニエルの近くに来た。
「よくやった!」
「あたりめえよ!!」
岳斗とレオナルドは男のハグを交わした。 レオナルドの布団のような首毛を堪能したのは言うまでも無い。
「ねえ、岳斗。 あんた、なんでそんなに酒強いんだい?」アレキサンダーが不思議そうに言った。
「そういや、不思議よね。 生まれつき肝臓が強くてもこんなには飲めるかしら……?」
「赤ん坊の頃から親父の友達たちにしこたま飲まされたんだ。 そのせいか、母ちゃんによると3歳の時に2リットルのテキーラを空けて、マイケルジャクソンのダンスを披露したそうだ」
「私の生まれたところでもハブの入っている酒を大人たちがガバガバ飲んでいるのをみたことはあるけど……貴方、とんでもない幼児だったのね」加那江が目を見開いて、開いた口を塞ぐのをすっかり忘れている。
「そいつは結構鍛えられたな」これはダニエル。
「つーか、2キロも増量して踊れんのかよ……」シャルルが驚くのに飽きたように呟いた。
岳斗の昔話が出たところで、岳斗たちを見直したやつどもが来て、岳斗とダニエルは彼らと熱いハグを交わした。 そして、思い出したように本来の目的である情報収集をするべく聞き込みを始めた。
「そーいや、この銀河で、黒い影や獣が人々を襲う事件は発生していないのか?」
「さあ、聞いたこともねえよ」
「じゃあ、モンスターが大量発生して、人々を襲う事件とかはないの?」
「うーん、無いなあ」
「そうか、どうもありがとさん」
「ねえ、依頼書が貼っているポスターがあるよ。 なんかわかるかも」バタバタ走り出したアレキサンダーをダニエルが後から追いかけた。 アレキサンダーがポスターを指差した。
「ほう? どれどれ、ん? 隕石によって、大陸の大部分が水没した星じゃと。 ホホォ〜、達成した人には500万グラシュか。 5年くらい遊んで暮らせるくらい大金じゃ!」
「へえ。 それで、大陸に棲家を押しつぶされ、行き場を失った海の魔物たちが人々の村に襲撃していて、退治してほしいのか。 きっと、大変だろうね」
「ハバラーノ星か……あら、下に何か書いてあるわ。 断層ができて、そこから魔物が這い上がって来るとか」
「なるほど。 あちこちで被害が起きているのだな」
「受付さん、この星の距離はどうなっていますか?」ジェシカが受付に聞いた。
「数時間で行ける距離です。 しかしながら、とっても危険なので、依頼を受けた人しか行けないことになっております」
「ふむ……。 このの依頼を受けたいのだか、できるか?」ダニエルが見上げて言った。
「依頼を受けるにはヌンリャン銀河公認の冒険者免許を提示していただかないとダメでございます〜」
「そうか……」
「登録するにはどんな方法があるの?」
「まず、ここであなた方たちの情報を冒険者申請用紙に記入します。 次にそれをこの銀河全域を管理する銀河政府へ配達しまして、それは最低でも60日間かかります。 そして、また60日して、政府から受験票が届いてくるので、申請するときに希望した会場へ来ていただいて……。 ペラペラペラ……」
「わかったわかった。もう十分だ。 くっそ〜。 のんびり待っている暇はないんだぜ!」
「あ。 俺、同じようなやつ持ってるぜ」
「え!! 本当ですか」ジェシカがシャルルの方を見た。
「ああ」
シャルルが胸を張りながら言った。 そして、紫色の丸い空間を浮かび上がらせた。 そこから金メダルのようなものを取り出した。 表には川が静かに流れるような長い髪型をしている白狐獣人の伝説魔導士であるリイフ・ミラジュバの横顔が、裏にはシャルルの名前と免許証の名称が刻まれていた。
「この魔導士免許なら持ってるぜ。 ほら」
「それがなんだよ?」
「これはジュネス星、サヴォアソン星、このハバラーノ星など、今まで行った星が中に収まっているマガリュ超銀河団の首都ならぬ首星ワバオーグ星で行われたS級魔導士試験に合格した人にだけ与えられる免許証だな。 これがあれば、立ち入り禁止されているところでも大体行けるもんだ」
「ええっ!! そうなの。 それに適用範囲がかなり広いわね」
「確かに拝見いたしました。 依頼を受領します。 この書類にサインを」
「あいよ」
シャルルがカウンターの上に飛び乗って、慣れた手つきでサインをした。
「では、皆様、気をつけて行ってっしゃいませ」
一行が異変調査のための手続きを終わらせ、ギルドの門を潜ったのと入れ替わりに太いモチモチの尻尾と両拳に黒いトゲトゲ付きのベルトを巻きつけたシャチの獣人が入ってきた。 彼の首元には大きな傷跡があった。
「おお、ロント! 久しぶりだな。一杯やらんか?」友人らしき人が立ち上がって、誘った。
「久しぶりだ、ラベラ。 そうしよう。 先に報告してくる」
「ああ」
二階に上がって、受付まで歩いた。
「ホラントさん。 ウリゲール星のタコ怪物倒してきたぞ。 依頼達成証明書だ」
「まあ! あれは500年誰も倒せなかった……。 さすがですね! 報酬はいつも通り口座に振り込んでおきます〜」
「ん……。 ありがと」
ロントは受付ににっこりした笑顔を向け、友人がいる一階に降りた。 彼の友人であるラベラの向かい側に座って、酒を乾杯した。




