五番目のライラ

「ご主人様のために、勇者に会いに人間界へ行きます」
魔界でご主人様と穏やかな日々を過ごしていたライラ。けれどその穏やかな日々はある日突然崩れていく。ご主人様に「ライラ」であることを否定されたライラは決断する。

　私はご主人様のためにできることをする！　え？　勇者って王都に行かないと会えない？　王都ってどこ？　身分証って何？　まず字が読めません！

　屋敷の中で完結していたライラの世界が、外に飛び出すことによって広がっていく。
「魔界は弱肉強食だけど、人間界もそうなのね」
　人間界のことなんて何もわからないライラが、トラブルに巻き込まれながらも目的を果たそうとする。
　一方ご主人様も、勇者に会い、ライラが出ていくことで現実に向き合い始める。

　一見穏やかだけれど歪なライラとご主人様の関係が、ライラが屋敷を飛び出すことで変わっていくお話です。