良くなってきたかも
そして、その上で提案してくれました。
娼館の経営者では名前がでてしまうから、このままアドバイザーとして陰の存在としていた方がいいこと。万が一断罪されることがあれば、今の娼館で娼婦として受け入れるが、アドバイザーとしての身分は保証すること等を。
それから、私は時間の許す限りこの歓楽街を整備することに力を入れました。
働けなくなった娼婦達、生まれてきた子供達の受け入れ先を探し、安心して働けるようにしました。そして、この町で公爵令嬢ディアンヌではなく、「お嬢」と、呼ばれるまでになりました。
そこまで万全に整えて、私は今日と言う日を迎えたのです。
事務所の扉を開けると、各娼館の店主、そして新たに店長となったエルが拍手をして出迎えてくれました。
エルは私のお金を持ち逃げして空になった店の店長になってくれたのです。
あんなに嫌がっていた店の経営でしたが、私と一緒に居てこの仕事をしなくてはならない女性達の立場や、苦悩を知り、少しでも働きやすくするという援助方法もあるんじゃないかと考え直したらしいのです。
私は拍手をしてくれた皆の顔をぐるりと見回して、
「改めて宜しくお願いします。ディアンヌです。もう名字はありません。この歓楽街の繁栄に微力ですが力を尽くす所存です。皆様もお力をお貸し下さい。」
心の思うままに挨拶しました。
台本の無い挨拶というのは初めてで緊張しましたが、皆暖かく拍手を返してくれました。
それから私は身を粉にして働きました。
各店長と話し合い、それぞれの店の特徴を出すように、それぞれ被らないようにしていきました。
高級店、中級店、お値打ちな店など金額での差別化。
会話を楽しむお店、見ることを楽しむお店、コスプレを楽しむお店、シチュエーションを楽しむお店などバリエーションでの差別化。
店内は清潔に、リネン類も清潔にすることを徹底しました。
また、従業員自身も清潔を心がけるようにし、衣服も整えさせました。
浴場を整え、入店前後で入れるようにもしました。
膨大な洗濯物は、娼婦として働けなくなった者、子供達や、その家族で作る洗濯会社でさばきました。
人力だけでは無理なので洗濯・乾燥機のような魔道具も導入しました。
他にもリネン交換や、設備の補修業務、事務仕事、仕事は色々あります。
娼館が繁盛するにつれ、それに伴った仕事が沢山出てきました。
お陰で皆裕福ではありませんが定職を持つことができるようになり、治安が良くなっていきました。
 




