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彼 彼女  end

最終回!

 イッ君とお付き合いすることになった。

 お付き合いすることになってすぐの週末。

 いつものようにイッ君の家にゾンビドラマを見に来ていた。


「ぃ、イッ君……」

「何?」


 只今、ソファーに二人で座っています。

 って言うか………イッ君に後ろから抱き締められるようにして座っています。


「ドラマに集中出来ない!」

「そう?」


 イッ君は意味が解らないと言うように私のお腹の前でくんだ手に力を込めた。


「イッ君」

「ナギにくっついていたい男心を解ってよ」


 イッ君はそう言って私の首筋にチュッと音をたててキスをした。

 全身の熱が上がる。


「………」

「俺、ナギが可愛すぎて鼻血出そう」

「かわ、可愛くない!ってか、だ、大丈夫?」

「………エロい事していい?」

「ダメ!」

「………速答」


 そう言いながら、私の首筋に唇を当ててくるイッ君のスキンシップに私が鼻血出そうだよ!

 テレビの中ではゾンビが生き残った人に噛みついているのが見えた。


「ハロウィーンにゾンビのコスプレしてる人とか居るじゃん」


 イッ君の突然の言葉に驚いた。

 甘い空気を出すのは止めたんだと思って軽く頷いた。


「次のハロウィーンの時俺ゾンビやるからナギはナースとかミニスカポリスとかやってよ」

「ナースゾンビとかポリスゾンビとかいっぱい居るよね?」

「ナギは普通のコスプレしてよ」

「へ?」

「俺だけゾンビ」


 どういう事だろうか?

 私が首を傾げるとイッ君は私の肩に顎をのせると言った。


「俺、ゾンビになってナギを襲うから色っぽい格好でお願い」

「へ?」

「痛くないようにハムハムするからさ」


 あ、甘い会話続いてた!

 ってか、甘いじゃなくてエロい会話だった!


「い、嫌!」

「ナギがゾンビになってハムハムしてくれても良いよ」

「イッ君ってエロおやじ」

「エロおやじで良いからエロい事していい?」


 私はお腹の前のイッ君の手を外そうと、イッ君の手を掴んで引っ張るけどびくともしない。


「俺、健全な男の子だから頭の中エロい事でいっぱいだからさ」

「それ、口に出して言っちゃ駄目なやつ!」

「好きなものも好きな事も好きな人も、ちゃんと口に出して言わないと手に入らないって学習したし、ナギに嘘つきたくないから」


 な、なんか良い事言ってる風だけど言っちゃいけないことも、ちゃんとあると思う。


「あ、前に約束したからエロDVD見る?」

「み、見ないよ!イッ君ちょっと落ち着いて!」


 イッ君は私の肩の上からゆっくりと言った。


「落ち着いてなんて居らんないよ。ナギは付き合う前と全然変わんないし、俺だけがナギに夢中で悔しい」


 うぁ~イッ君が可愛い!

 私だってイッ君が大好きだよ!


「い、イッ君………あの、私もイッ君をギュッってしていい?」

「勿論」


 イッ君が漸く離れてくれたのに、私はソファーから立ち上がると正面からソファーに座るイッ君を抱き締めた。

 愛しい気持ちが伝われば良いな~。


「イッ君大好きだよ」


 私はイッ君の耳元で囁いた。


「な、渚さん………押し倒して良いですか?」

「だ、ダメに決まってるんじゃん」

「いや、だって、抱き締めてもらったら顔におっぱいがポヨポヨしてまして、俺のなけなしの理性がナギに許可を得て押し倒す事を提案してるんですよ!ナギを押し倒す事は理性さんも同意してるんですよね」


 イッ君は私のお尻の下に腕をそえるとソファーから立ち上がり、私はイッ君に抱えあげられてしまった。

 イッ君はそのまま私をベッドに下ろすと幸せそうに笑った。


「ドラマは後で見直そう」

「い、イッ君、落ち着いて!」

「落ち着いてなんて居らんないよ。愛しい人が俺のベッドに居るんだから」


 イッ君は私の唇に自分の唇を軽くのせると蕩けた笑顔を作った。


「ナギ、大好きだよ」


 そう言って私の首筋にキスをしようとしたイッ君は、それができなかった。

 

「ナギちゃんにエロい事したら殺すって言わなかったかな?」

「ひ、裕子さん?い、痛たたたたたたたた………」


 背後から現れたヒロちゃんにイッ君はアイアンクローをされていた。


「ナギちゃん。カズ君もそうだけど、男の子はエロい事しか考えてないから物理的制裁をくわえないとダメよ」

「わ、私はヒロちゃんみたいになれる気がしないよ」

「大丈夫!私が何処を蹴れば男の子が床に転がるかちゃんと教えてあげるから!」


 ヒロちゃんのアイアンクローから逃げたイッ君は頭を押さえて真っ青な顔でヒロちゃんに向かって叫んだ。


「それ金蹴り!使い物にならなくなるやつ!教えちゃいけないやつ!」

「樹君、私の大事なナギちゃんが彼女になったからって調子にのってんじゃねぇ。今我慢するか、一生使い物にならなくなるのどっちがマシか考えろ」

「………究極の選択~」


 イッ君が取り乱したように頭を抱えた。


「ヒロ、樹が可哀想だよ」


 部屋のドアに寄りかかっているカズ君が思わずって感じに呟いた。

 ヒロちゃんはニコニコ笑いながらカズ君の所まで行くとドン!

 ヒロちゃんがカズ君を壁ドンした!


「それ、俺がヒロにしたかったやつ!」

「上手に出来ないんだから私がしてあげるね!だから、黙ってて」

「………はい」


 カズ君、従順。


「裕子さんは兄貴とイチャイチャしてて!」

「私、最初に言ったよね!私、ナギちゃんが一番大事なんだって」

「………俺だってナギが一番大事だ!」

「なら、我慢できるよね」

「付き合ってるのに我慢する理由がない!」

「潰すよ」

「ごめんなさい!」


 イッ君の顔色が真っ青である。

 ヒロちゃんの笑顔の口元がヒクヒクしている。

 マジギレの顔ですイッ君逃げて。

 私はヒロちゃんの前に立った。


「ヒロちゃん、ありがとう」

「………うっ」

「イッ君を紹介してくれてありがとう。ヒロちゃんがイッ君なら!って思ってくれてなかったら今イッ君と知り合ってもいなかったんだよ。だから、ありがとう」


 私の言葉を聞くとヒロちゃんは私を強く抱き締めてくれた。


「もっと、手の早くない男を紹介すれば良かった~」


 ヒロちゃんが半泣きでギュウギュウ抱きついてくる。

 結構苦しい。


「裕子さんずるい!俺もナギをギュウギュウしたい」

「潰すよ」

「うっ、ナギの彼氏は俺だから!ナギをギュウギュウして良い権利を主張する!」

「………ギュウギュウまでなら」

「じゃあ、俺にナギを返して」

「………」

「ほら、裕子さんは兄貴に壁ドン顎クイしてあげて」


 イッ君はドアに寄りかかっているカズ君の所までヒロちゃんを誘導。

 そしてカズ君とヒロちゃんをまんまと部屋から出すと、ドアに閉めて鍵をかけた。

 ドアを激しく叩いているのはヒロちゃんだろう。


「やっと二人っきりになれたね」

「イッ君、ヒロちゃんに潰されないようにホドホドに」


 イッ君は乱暴に頭をかきむしると不満そうな顔で呟いた。


「潰されたくないし、ナギに嫌われたくないから少し我慢………する…………」


 イッ君はそう言ってから私を抱き締めてキスをしてからため息をついた。


「俺の彼女が可愛すぎて辛い」

「私の彼氏が可愛い」

「………可愛いは嬉しくない」

「可愛くて、紳士的で大好き」

「………紳士って言葉を嫌いになりそう」


 私はイッ君の顔を覗きこみ小さく触れるだけのキスをした。


「紳士的で大好き」


 イッ君は顔を真っ赤にするとベッドに転がった。


「ナギが可愛すぎて辛い!」


 ドアを激しく叩く音の中イッ君はベッドの上をごろごろしていた。

 私は幸せを噛み締めながらドラマを最初から再生し直すのだった。

終わり!

今までお付き合いいただきありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
[良い点] すごく好きです〜。可愛らしいいいい!!!
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