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エピローグ

パーティー後のエトワールです。

年が明けると、シーナが育児休暇の取得で月に一度のワークショップで顔を出す程度になった。新しいパティシェの萩野さんとりっちゃんは楽しそうに作業をしている。りっちゃんが二階にいる時のレジの管理は高橋か山下のどちらかがやる事になった。

二月の中旬にシーナ達に家族が増えて、店に子供が産まれましたって定番の葉書が届いた。皆が知らない柔らかい表情のシーナに皆が家族欲しいと絶叫したのは本人には言えないだろう。

春になると、達也さんの店に来る服装が少しだけ変わった。今まではジャージ姿が多かったが、コーチに変わった為、カジュアルな服装で来る。それと春の高校バレーの解説の仕事を請け負ってしまった為、本格的にスーツを仕立てたのよ……なんてりっちゃんが幸せそうに言っている。

「でも、達也さんはユニホーム姿が素敵なの。現役辞めた人にそれを言うのは意地悪ね」

「だったら、自宅で着て貰えばいいじゃないですか?多分喜んで来てくれますよ」

「そうかなあ?うん今夜聞いてみるね」

達也さんの引退試合の後に簡単なセレモニーがあって、りっちゃんは自分で手造りのケーキを焼いていった。ケーキの真ん中には、チョコレートで作ったネット、ジャンプしているアタックと打とうとしている達也さんのマジパンが印象的だった。

このケーキはサプライズだったので、りっちゃんが花束を持ってきただけで感動していた達也さんは涙腺を崩壊させて、りっちゃんに抱きついて大泣きした姿が全国に放送されてしまったじゃないって、後で怒ったらしい。りっちゃんの方は涙目だったらしいが、達也さんの行動に驚いて涙が引っ込んでしまったと言う。


三月になって麗ちゃんから私名字が変わりましたので手続きお願いしたいですと宣言があった。ちょっと揉めたらしいけど、渡辺さんになったらしい。今までの部屋は年明けには既に引き払って、本格的に同棲生活が始まったらしい。年明けごろに同棲生活はどう?って勝田さんにからかわれていたけれども、麗ちゃんはにこやかに何も変わりはありませんよ。大学に行って、ここでお仕事をしてたかしさんがお迎えに来てここでご飯食べるか家でご飯にするか……変化はありませんよって答えているけど、渡辺さんを先生って呼んでいた君が『たかしさん』と呼んでいるのが重要なんだよ。そこのところは全く真相を教えてくれないけど、二人の仲が近付いたから入籍をしたんだと思う。

それと、結婚したことが契機になったのか分からないけど先生は少しだけ昇進したらしい。春からは病院の付属の看護学校で授業を持つのだと教えて貰った。それを聞いた俺達は忙しいと麗ちゃんに逃げられちゃいますよってからかったら、本気でうろたえていておかしかった。あれは絶対に先生の方が麗ちゃんを溺愛しているんだと思う。麗ちゃんが先生への想いを赤裸々に話してくれる日を今かと待っている状態だ。


とし君と朱音さんは、来年の春を目途に地元に帰るって宣言をこないだした。朱音さんの研究の成果も形になってこのまま論文を書いて提出したら大学院の卒業になりそうだという。卒業後は実家の傍の農業試験場で研究を続けたいと言う事で、就職活動をしたら、地元の隣の市で同じ分野の研究をしているということで内定が決まったと言っていた。これからは週末にその勤務先で共同研究は始まると言う。その為に土曜日はとし君は休みをとる事にして一緒に地元に戻って店を開業する準備を始めるそうだ。

とし君の実家は地元で知られている仕出し屋さんが元の料亭なので、そういった付き合い関係でかなり早く物件も決まって来年の春には開業が出来るだろう。

エトワールの名前を使いたいと提案があって、りっちゃんはエトワール二号店(仮)と呼んでいる。それはそれでいい様な気がする。エトワールがフランス語だからフランス語表記で進むのではないのだろうか。

先日、とし君が実家で評判のオレンジのパウンドケーキを焼いてくれた。オレンジの風味をそのままにエトワールらしい味にしたいんだが、何か意見はないだろうか?と提案をしてくれた。

りっちゃんや高橋さん達は意見を出したみたいで、ソコを改良点として試作品を出してくれているけど、まだコレって味にはいきついていないらしい。悔しそうなとし君をりっちゃんは十分時間あるからゆっくりと腰を据えて作りましょうと慰めている。


江藤さんは無事に管理栄養士に合格して大学を合格した。今は会社の研修期間中でマナー研修を受けていると言う。

「オーナーじゃなくていいか、梨佳さんに言われた事の意味が分かりましたよ。もうあんな事をしません」

なんにでも首を突っ込みたがった江藤さんはどうやらマナー研修でダメ出しを食らったらしい。

「そうよ。お客さまによっては打ち合わせに使っている人もいるし、人に聞かれたくないデリケートな相談をしている場合もあります。そう言った事を聞き流せるだけのスキルを持つ事が重要よ。特に江藤さんは開発だから守秘義務はいつでも付いて回るわ。覚えておいてね」

「はい、梨佳さん。でも梨佳さんって呼んでもいいですか?」

「平気よ。呼び捨てにすると達也さんが微妙な顔をするだろうけど」

「達也さんも心が狭いですよね。こんなに梨佳さんが達也さんの事好きなのにね」

「いいのよ。そういうことは。配属は開発室?」

「はい、本社じゃないけれどもすぐそばの工場の中なのでここには通えるから、貴方達をビシバシ鍛えてあげるわ」

何処にいても江藤さんは江藤さんのようです。

笹野君は、薬学部に在籍している学生さんで、国家試験を受ける為に少しだけシフトをセーブしている。

卒業後の進路は製薬会社の研究員だそうだ。勤務先は隣の県になってしまうそうだ。

「あーあ、卒業までしかここにいられないです」

「大丈夫。皆がここで休めるように、皆が新しい道を歩んでいてもここで皆が立ち寄ってくれるのを待っているわ」

「そうですね。ここは皆の一番星。何処にいても分かるのですから。オーナー開店時間です」

「あらっ、本当だわ。ケーキのほうは萩野さんに任せられるので、着替えてくるので高橋君不在の間はお願いします」

「かしこまりました。それでは今日も開店します。よろしくお願いします」

今日もいつもの様に開店していく。ドアの向こうには常連さん達が待っている。

「今日のお出迎えは高橋君か。りっちゃんは忙しいのかな?」

「そんな事ありませんよ。もう暫くしたらいらっしゃいますよ。オーナーにご用ですか?」

「いやさ、孫が週末に来るんだけど、ホールケーキの注文を頼みたいんだよ」

「それでしたら、先に週末のケーキの依頼だけ先に済ませましょう。後でご相談下さい」

「そうしますか。それで頼もうかね」

「かしこまりました」

いつも通りの開店のはずが、イレギュラーが飛び込んでくる。その便りは店にとっては嬉しい話だったりする事が多いのだ。


ここは都内の片隅にあるカフェ『エトワール』。どんなお客様でも寛げる空間を提供いたします。

お客様に優しくて甘い時間を過ごせる事をお約束します。


今回はこれで終わりです。思った以上に長くなったので公開断念したルートがあります。


今回のネタばれです。学生時代に会った某スポーツ選手と知り合って親しくなったらどうなっただろう?が全ての起点です。

現実には、あこがれ∞ループの体育教師の元に連れて行くと毎年遭遇して連れて行っておりました。分かる人には分かるでしょう。


棋士は……高校の先輩に本当にいます。けど、交流は一切ありませんでしたが、そういう状況なら確実に仕込まれた気がします。(実際には囲碁クラブでしたが先生にワンツーマンで叩きこまれました。辛かった)


エトワールの開店の様に立ち上げに参加した事はあります。申請書類は本当に面倒くさかったので、梨佳には事務所に丸投げさせました(なのでちゃんと書いてません)


一番苦労したのはお医者さんの渡辺さん。身内には医療職は多いのですが、彼のモデルには誰もなっていません。モデルになったのは自分が指を怪我して訪れた某病院の救急外来の先生の上司です。


教授は、私が多分一番お世話になった教授の甘党な部分を使いました。実際の彼は大変有能な厳しい人でしたが、魅力がある方でした。


今回出てきた制服の中で一番好きだったと思えるのは、赤いシャツと犬のキャラクターの運送会社でした。分かる人はいないでしょうね。


他にも素敵な制服男性の作品がありますのでぜひお楽しみ下さい。

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