4、失墜するはじまり
怪物にとって、はじまりは孤独をまぎらわす為の一石でしかなかった。やがて、それは怪物の希望へと変わりやがてそれは怪物にとって愛するものへと変化していった。
はじまりこそただの暇つぶし程度だったそれは、怪物にとって素晴らしい輝きを放つ至宝へと変化し色鮮やかに咲き誇る花々へと変化し、そして輝く星々へと成った。
怪物にとって、それは我が子に向ける愛であり創造主が被造物へ向ける愛でもある。
例え、重すぎると突っぱねられようとそれは決して変わらないだろう。怪物は愛している。
しかし……
やがて、怪物の心の奥底を少しづつ浸食するように黒が広がってゆく。やがてそれは、決して無視の出来ない闇へと成ってゆく。闇は徐々に怪物の心を浸食してやがて魔へと染めてゆく。
その正体は、孤独と不安と焦燥だった。
自身のやっている事は無駄ではないか?所詮は無価値な遊びでしかないのではないか?自身はこのまま孤独にあえいでいるだけでしかないのではないか?
そんな不安や焦燥から、そして心を圧し潰す孤独から、怪物は魔へと堕ちる。
そして、怪物は原初の世界より願う。ああ、どうか我が子たち辿り着いておくれと。
自身の葛藤や苦悩、絶望は茶番ではないと証明しておくれと……
魔へと堕ち、孤独にあえぎながらも怪物は祈り続ける。




