3,国王謁見
王都の中央、巨大な堀に囲まれた場所に王城はそびえていた。俺ですら見たのは初めて、この世界の外から来たという師匠が王に謁見出来る程のコネを持っているとは思えないが。
しかし、師匠は色々と規格外な所がある。なんでも故郷の世界では貴族の出だったらしい。らしいと言うのはあくまで聞いた限りの話だからだ。
まあ、師匠の手慣れた感じから今更疑う気は微塵も無いが……
王城の入口にある巨大な門、其処には俺達を待つかのように複数人の騎士が控えていた。
「貴様がシリウス=エルピスだな?傍に居るのがランサドールにスレイと……おおっ、勇者様に聖女様もおいででしたか。ご一緒されるのですか?」
騎士の言葉に、ホリィは静かに頷いた。どうやら既知の間柄であるらしい。様を付けて呼んでいるあたり其処まで親しい間柄ではないようだが……
ともかく、どうやらこの騎士が俺達を国王陛下の許へ案内してくれるらしい。
「スレイ、一応紹介しておくけど今の騎士が第一王子で継承権第一位のモルド=ブレイド。ブレイド世界統一王国の騎士団長で剣聖とも呼ばれている人だから」
「いえいえ、それほどでもありませんよ。勇者様と比べれば私など霞みますので」
どうやら、モルドという騎士団長はホリィに半ば崇拝に近い尊敬を抱いているらしい。しかもこの騎士団長は半分以上劣等意識が混じっているように感じる。
ホリィに対し、所詮自分なんかと卑下する気持ちが勝っているのだろう。
少しばかり面倒な奴かもしれない……
そうこうしている内に、どうやら謁見の間の前まで来たらしい。扉の前に、二名の騎士が控え俺達に睨みを利かせていた。俺達がもし、何か不穏な事をしたら即刻動けるようにと気を立たせているのがありありと理解出来る。
まあ、何もしないけどな……
「シリウス=エルピス及びスレイとランサドールを連れてきた。開けてくれ」
「はっ‼」
二名の騎士が、それぞれ扉の両側を開ける。開いた扉の先、謁見の間の奥には玉座に坐す国王陛下が居るのが見える。玉座へと続く細長い赤い絨毯を挟むように、剣を縦に構えた騎士が。
赤い絨毯の上を進み、やがて国王陛下の前まで来た俺達。俺達は陛下に揃って跪く。
「ふむ、勇者殿に聖女殿も居るようだが。貴様がシリウス=エルピスだな?」
「はい、私がシリウス=エルピスです。国王陛下に、現在全ての世界で発生する未曾有の危機を報せに参りました次第です」
国王陛下にうやうやしく頭を下げながら、師匠はそう告げた。




