平穏の脆さ
短くも混沌とした訓練セッションの後、一行は広場に少しずつ散らばっていくが、雰囲気は内省的なものへと変わっていく。ラルティの知恵に導かれ、ルナラはこれから待ち受ける運命に立ち向かい、いかにして自らのアイデンティティを保っていくべきかを思い巡らす。
騒ぎの後、再び静寂が戻ってきた。聞こえるのは焚き火の爆ぜる音だけだった。
「不思議ね」潮里が静けさを破って言った。「訓練して笑い合っていたけれど、私たちはみんな、この平穏が破られる瞬間を待っている気がするわ」
隣に座っていた香織は、指を絡め合わせながら溜息をついた。
「学院の重圧よ、潮里。空がどれだけ晴れていても、彼らは常に嵐への備えを求めてくるもの」
ゼイリンは遊びの後でいつもの気品を取り戻し、服のしわを伸ばした。
「嵐が来ようとも、私たちは平静を失ってはならないわ。礼儀と規律こそが私たちの錨なのよ」
アザリナは悪戯っぽい微笑みを向けた。
「あなたの錨ね、ゼイリン。私は風に身を任せて、流れの中で泳ぎ方を覚える方がいいわ」
「風は翼がなければ裏切るものだぞ!」枝の上からラルティが羽を優雅に揺らしながら鳴いた。
ブロンテスは笑い、足で地面を叩いた。
「翼だって、着陸する足がなきゃ役に立たないだろ! みんな、『明日』のことばかり心配しすぎてないか?」
常に観察を怠らないニヴラが、学園長を見た。
「学園長はどう思われますか? あなたは私たちよりもずっと早く、嵐の訪れを知るはずですから」
エレナラ・ヴェイラが焚き火に近づき、その存在感で一同を静まらせた。
「嵐そのものが私たちを定義するのではないわ。嵐の中、私たちが互いをどう守ろうとするか、それが重要なのよ。あなたたちがこの輪を保ち続ける限り、風がどれほど強く吹こうとも関係ないわ」
ルナラが立ち上がり、全員の間を歩きながら、一人人の手を舐めて回った。まるでその真実を誓うかのように。
ドラケアは狼を、そして仲間たちを見つめて言った。
「なら、私たちが一緒にいる限り、この平穏がどれほど脆くても関係ないわ。私たちが続かせてみせる」




