第五話・未来の生贄くんってどうなっているの?
その日──愛流ちゃんは、また自分の部屋の机の前で開いた未来ノートに書き込みをしていました。
『中学生よりも未来のあたし……何か未来の発明品を一つ、今日が誕生日なのでプレゼントしてください』
そう書いたノートを、机の引き出しの中に入れました。
「これで、良しと……さて、どんなプレゼントが……」
愛流ちゃんの言葉が終わる前に、部屋にスクーターに乗った大学生くらいの未来の愛流ちゃんが現れました。
胸の前に赤ちゃんをキャリーバック式の抱きヒモで、前向き抱っこした大学生の愛流ちゃんは、ヘルメットをしたまま誕生日プレゼントを小学生の愛流ちゃんに渡します。
「誕生日おめでとう、小学生のあたし……はいコレ、大学生のあたしからのプレゼント」
リボンが巻かれた綺麗な箱を、愛流ちゃんは受け取りました。
大学生の愛流ちゃんが、胸で抱っこしている生物を指差して言いました。
「コレ、あたしと生贄くんが協力して作成したメスのペット……生まれたばかりだから名前は、小学生のあたしが名づけ親になって」
愛流ちゃんは、未来に誕生する自分の子供に名前を付けました。
「『育奈』なんてどう……将来、彼氏ができた時にベットで笑えそう」
「それいいわね、肝心な時に彼氏が娘の名前を口にして萎える……ウケるぅ、育奈で決定!」
大学生の愛流ちゃんが、スマホの画面を愛流ちゃんに向けて見せました。
「未来の生贄くんよ姿も見せてあげるね……これ、大学生になった生贄くん」
そこには、パンツ一丁で後ろ手に縛られて、アイマスクをされて口に変なゴルフボールみたいなのを咥えさせられた大人の生贄くんが写っていました。
生贄くんの体には、七色の触手のようなモノが巻きついていました。
大学生の愛流ちゃんが言いました。
「その生贄くんの体に巻きついている〝触手くん〟に、もう生贄くん夢中でね……触手くんなしでは、満足できない体になっちゃったみたい……それじゃあ、タイムマシンのエネルギーも残り少ないから、帰るね小学生のあたし」
「ありがとう、大学生のあたし」
スクーターにエンジンがかかり、スクーターと大学生の愛流ちゃんの姿が揺らぎはじめた時──大学生の愛流ちゃんが、最後に言いました。
「生贄くんは、明日の夕方……いつもの河原に座ってい夕日を眺めているはずだから、チャンスよ……過去を頼んだ、小学生のあたし」
そう言い残して大学生の愛流ちゃんは消えました。
◇◇◇◇◇◇
小学生の愛流ちゃんが、誕生日プレゼントのフタを開けました。
箱の中には、白い毛皮の筒のようなモノが入っていました。
「???」
愛流ちゃんが、なんだろうと首をかしげていると、毛皮袋の中から七色の触手の幼体が出てきました。
愛流ちゃんは、素敵な誕生日プレゼントに大喜びです。
「うわぁ、触手くんの子供だぁ♫」
触手くんは、鎌首を持ち上げて箱の中から、愛流ちゃんが差し出した指先をペロッとナメました。
触手くんの体色がピンク色に変化します。
「もしかして、この触手くん……情況によって体色が変わるの? カメレオンみたいに」
箱の裏側を見ると、手紙が貼りつけてありました。
愛流ちゃんが手紙を開くと、それは大学生の愛流ちゃんからのメッセージでした。
『触手くんを大事に育てて、大きくしてね……未来で生贄くんを、虜にする触手くんだから……明日の夕暮れの河原が、触手くんの快感を生贄くんの体に覚えさせる第一歩、レッツトライ!』
愛流ちゃんは、大学生の自分の励ましに燃えました。
◆◆◆◆◆◆
次の日の夕方──愛流ちゃんが河原に行くと、生贄くんが一人で芝生の上に座っていて、沈んでいく夕日を眺めていました。
愛流ちゃんが、ものすごく嫌なイタズラ顔をしました。
「チャ~ンス」
こっそり、触手くんが入ったジュエリーボックスを地面で開けると、中から触手くんが這い出してきました。
「触手くん、生贄くんに未知の快楽を教えてあげて」
ペコッと頭を下げた触手くんは、ノソノソと生贄くんの方に這っていって、生贄くんのズボンの裾から侵入しました。
生贄くんは、突然のニュルルンとした感触に驚きました。
「うわぁぁぁぁぁぁ?」
立ち上がってズボンの中に侵入してきた、触手くんを払い出す前に、触手くんは生贄くんのパンツの中に入り込みました。
「おっ、おわあぁぁ? な、なんだコレ……あッあッあッ」
生贄くんが気持ちいいと感じるツボを、大学生の愛流ちゃんからインプットされているバイオ新生物の触手くんは、生贄くんの深い部分も責めていきます。
パンツの中で分岐して細く伸びた触手くんの枝が、生贄くんの服の中を上昇して上半身まで到達しました。
河原で転がった生贄くんが悶えました。
「おわぁ、あふぅぅぅ」
夕陽の中で快感に身悶えしている生贄くんの姿を見て、愛流ちゃんも興奮しました。