第四話・未来の自分に手紙を書いて、進化した操り装置をタイムマシンで持ってきてもらおう!
その日──腕組みをした愛流ちゃんは、自分の部屋で机の上に置いた壊れた〝操り装置〟の子機を眺めて思案を続けていました。
「やっぱり、この方法が一番手っ取り早いかな」
愛流ちゃんは、ノートを広げると、未来の自分に向けて手紙を書きました。
『未来のあたしへ……壊れた操り装置を直して、タイムマシンで過去に持ってきてください』
愛流ちゃんは、未来に向けて書いたノートを閉じると、机の引き出しの奥にしまいました。
「これでよし、このノートが処分されていなかったら……未来のあたしが直した〝操り装置〟を持って……」
愛流ちゃんの言葉が終わる前に、部屋の中にスクーターに乗った女子中学生が現れました。
ヘルメットを脱いだ、黒髪に赤いメッシュが入った女子中学生が言いました。
「小学生の時にノートに書いたメッセージ見たよ……はい、これ新しい〝操り装置〟」
そう言って未来の愛流ちゃんは、デザインが変わった操り装置を諸時代の愛流ちゃんに手渡しました。
「確かに渡したからね」
ヘルメットをかぶって、スクーターのキーを回す──おねえさんになった自分に愛流ちゃんが質問します。
「その年齢でスクーターに乗ってもいいの? 中学生のあたし」
「法改正されて、小学校卒業する頃には中学生でもスクーター乗れるようになる……もっとも、このスクーターは改造してタイムマシンの性能も兼ねているから……じゃあね、小学生のあたし」
そう言って中学生の愛流ちゃんは、未来へと帰って行きました。
小学生の愛流ちゃんは、未来の操り装置を手にしてニヤニヤしました。
「すっごいぞ、未来のあたし……本当にタイムマシンまで作っちゃうなんて、さてこの最新の操り装置を使って、生贄くんに何をやらせよう」
◆◆◆◆◆◆
その夜──パジャマ姿の愛流ちゃんは、操り装置を使って生贄くんを操ります。
今回の操り装置は、離れていてもターゲットの脳に、操り電波を届けるコトができました。
愛流ちゃんが、装置に向かって言いました。
「生贄くん、生贄くん、眠りながら愛流の部屋に来なさい……あたしの家の場所は……」
◆◆◆◆◆◆
数分後──パジャマ姿で眠りながら歩いてきた生贄くんが、愛流ちゃんの家のチャイムを鳴らします。
下の階から、愛流ちゃんのお母さんの声が聞こえてきました。
「愛流ぅ、クラスメイトの生贄くんが遊びに来たわよ」
実は愛流ちゃんは、家族にも操り電波を出して、生贄くんが夜に眠りながら家に遊びに来ても驚かないようにしてありました。
階段を登ってきたパジャマ姿で、眠っている生贄くんに愛流ちゃんは興奮します。
愛流ちゃんは生贄くんに、指示を出しました。
「生贄くん、生贄くん、あたしをプリンセス抱っこして、ベットに運んで添い寝をしなさい」
生贄くんは、ふらつきながらも愛流ちゃんを、ベットに運んで添い寝をしました。
生贄くんの寝顔を眺めてご満悦の愛流ちゃんが、指示を出しました。
「生贄くん、生贄くん、あたしを抱きしめてキスをしなさい……そして、愛流をもっと好きになりなさい」
生贄くんは命じられた通りに、愛流ちゃんを抱きしめてキスをしました。
「んんんッ……んぁ、生贄く~ん」
愛流ちゃんも大人の世界では、男女が何をするのかは知ってはいましたが、さすがに小学生の愛流ちゃんは、それ以上のコトは生贄くんにやらせませんでした。
(本当に小学生で赤ちゃんできちゃったら、シャレで済まないもんね……赤ちゃんをペットにして飼うほどの、おこづかいもらっていなから世話できないし)
マッドサイエンティスト少女の愛流ちゃんは、人間の赤ちゃんはイヌやネコやハムスターと同じレベルのペット感覚で見ていました。
その夜は抱擁とキスで楽しんでから、眠る生贄くんを自分の家に帰しました。
◆◆◆◆◆◆
翌日──学校で昼休みに生贄くんが不安そうな表情で、愛流ちゃんの席に来て言いました。
「愛流、ボクの体になにかやったの? 昨日の夜に愛流の家に行く変な夢を見た……夢の中で愛流にキスをして、愛流のコトがもっと好きになった」
科学雑誌を読みながら、愛流ちゃんがそっけない口調で生贄くんに言いました。
「ただの夢、気にしない気にしない」