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私だって、できることなら愛されたかった  作者: 負けうさぎ


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11/13

11(sideアメリア)

日が昇る前にベットから起きて窓を開けると、冷たい風が部屋の中を吹き抜ける。


アメリアはググッと背伸びをした後、深く息を吸い全てを吐き出す。

横を見れば壁に掛けられた鏡に自分の顔が映る。鏡に映った顔は酷いものだった。表情は暗く見る人によっては幽霊と間違われるのではないかと思うほどだ。


こんな顔、学院の人にも王宮の人にも見せられないな……


本当はお母様やお父様から好きなだけメイドを連れて行っていいと言われていたし、メイドの人達も「ぜひ私が!」って言ってくれたけど、部屋の中でも気を使って疲れそうだったからそれらしいことを言って全て断った。

お父様もお母様も不安そうにしてくれたけれど、私は断ってよかったと思っている。


とりあえず櫛を使って髪をとかし整え、学院の制服に着替える。


ご飯は…………あんまりお腹すいてないからいいや


授業で使う教材の忘れ物がないか確認して、もう一度身だしなみを整えた頃には日が顔を出していた。


この時間ならもう学院も開いてるはずだ。


かなり早いとは思うけど寮を出て学院へ向かう。

昼間は暖かくなってきたけど、さすがに日が出たばかりだからか少し肌寒い。


長袖着てくればよかったかな……でも、みんな半袖だったし、昼になれば暖かくなるよね?


ひんやりとした風が道横に生えた草花を揺らしている。正直、学院に行くまでの道はあまり好きではない。なぜかと問われれば、それは少し視野を広く持つだけで視界の端に映る程のたくさんの花のせいだ。

お母さんは花が大好きだった。部屋にはよく飾ってあったし、たまに一緒に外に出かけた際私が道端の花を積んでくるといつも嬉しそうな顔をしていた。

だから、花を見るとお母さんのことを思い出す。漠然と感じる罪悪感と共に……


なるべく花を見ないように足元をみながら歩き学院に辿り着く。流石にかなり時間が早いこともあってか自分以外生徒は誰もいない。

どこの教室にも明かりが灯ってないことからもそのことが分かる。

暗い学院の中を歩いて自分の教室へと向かう。

自分の教室に着くとそこには当然誰もいなくて暗い。


席…どうしようかな……?


昨日は講師の言われるがまま真ん中の席に座ったが、好きなところに座っていいらしい。

ただ、各々なんとなく座る席は決まっているとのことで。

昨日誰も座っていなかった席といえば…………あっ。


一番後ろの窓際にあるテーブルが目に入る。

昨日の教室に入った時の事を思い出す。ここの席に座っていた女の子をみんなが避けていたせいで特に印象に残っていた。

なんの説明をされなくても、あの光景を見れば彼女が遠巻きにされているということがありありとわかる席。


オリヴィアさん…だったっけ?


昨日クラスの人たちが話していた名前を思い出し、それと同時に彼女の姿も思い出す。

綺麗な銀色の髪は窓からさす光を反射しキラキラと輝いており、真っ直ぐな姿勢からは自信がみてとれた。彼女の纏っている空気感は新しいお父様達に似ていると思った。ただ何故か、一瞬悲しそうな目をしているのが見えた気がして、そのせいかどうしても彼女のことが気になってしまう。


隣に座ったら仲良くなれるかな?


もし、昨日クラスの人たちに聞いた通りの人だったらと思うと少し怖いけど、それ以上に彼女と話してみたいという気持ちが大きい。

どうしようかと、悩みながらキョロキョロとしていると後ろから物音が聞こえた。

誰か来たのかと音のした方を振り向くと、長い銀色の髪が目に写り一瞬息が止まる。

振り向いた先に居たのは、たった今考えていた……オリヴィアさんだった。


突然な彼女の登場に驚きを隠せず動けなくなる。

ど、どうしよう……!?

まさかこんなに早くに人が来るなんて……しかもそれがオリヴィアさんだなんて……

オリヴィアさんも、まさか人がいるとは思わなかったのか大きな目をパチパチとさせている。

……とりあえずは挨拶をしなくちゃ


「あ、えっと、おはようございます」


「え、えぇ。おはようございます」


………………


………………



気まずい沈黙の時間が流れる。


何か言った方がいいよね?でも、何て話しかけたら……


突然の出来事に慌てて思考がまとまらなくて、何も言えないでいると、そんな私を見ていたオリヴィアさんは呆れたように溜息をついたあとスカートの裾を両手の指でつまみ頭を下げる。

その瞬間全身が総毛立った。


「改めてはじめまして、私わたくしカロリーヌ伯の娘オリヴィア・カロリーヌと申します。」


小さく頭を下げる、たったそれだけの動作で感じてしまう。私とこの人の圧倒的な教養の差。

……お父様達に少し似てるなと思った理由がわかった。昨日話したクラスメイト達も気品を纏っていたが、あくまで年相応のものだったし王城に出入りしていた人達と比べればまだまだ未熟なことはわかっていた。だけど、この人は既に完成している。王族の一員として迎えられて、この国の頂点に立つ人と接してそんな人達が選んだ一流の家庭教師に習っていたからこそわかる。


自然と納得してしまった。彼女が孤立してしまった理由が。クラスメイト達がこぞって遠巻きにする訳が。

こんな綺麗な仕草をされてしまえば自分の拙さが嫌でも顕になってしまう。

それに耐えきれなくなった人達が少しずつ彼女から距離を取っていったのだろう。


「……あ、私はアメリアです。えっとオリヴィアさん、よろしくお願いします。」


あの綺麗な挨拶の後に同じことをするのが恥ずかしくて、咄嗟にでてきたのはそんな言葉だった。

勢いよく下げた頭に、そんな誤魔化し方をした自分への恥ずかしさと、折角半年以上私に付きっきりで教えてくれた家庭教師への申し訳なさを感じてつい下を向いてしまう。


クラスメイトの人たちの言う通りだ。あの人たちも強がっているだけでわかっているのだろう……

オリヴィアさんと仲良くなるというには、自分はあまりにも未熟だ。

そんなふうに考えていたら鋭い声が降りかかってきた。


「ミス・アメリア。貴方にいくつか教えて差し上げます。」


顔を上げると彼女の目は真っ直ぐに私を見つめていた。


「まず一つ、あなたがどんな立場なのか存じ上げませんが姓を名乗らない以上、貴族としての立場は私より下となります。それなら私よりも先に名乗るべきです。」


「は……ぇ」


「もう一つ、初対面の貴族を相手に名前を呼ぶのはマナー違反です。基本的には家名で対応するものです。」


予想していなかった展開に言葉を発するどころか息を飲むことすら出来ない。しかしそんな私の状況を知る由もない彼女は続ける。


「これで最後ですが、お辞儀の角度が深すぎます。それは謝罪の角度です。この学院では立場はほぼ平等に扱われるとはいえだからと言ってその校風に甘えてはなりません。」


そこで彼女はちらりと、廊下の方を見た後私に向き直ると。


「そろそろ他の方々も来られるので席に座ることを推奨致しますわ、では」


そう言って昨日と同じ席に座っていった。

あまりにも急な出来事に頭を混乱させながら、とりあえず昨日と同じ席に座った。

ぐるぐると回る頭で必死に先ほど言われたことを振り返ってようやく理解できた。

簡潔に言えば今私は怒られた。それも結構しっかりと。

その事を理解できた頃には他のクラスメイトも登校してきたためそれ以降オリヴィアさんと話すことは出来なかった。


今日最後の授業を終え普通なら寮に帰るところを、講師に呼ばれていたので軽く荷物をまとめた後に教卓に行くとそこにはオリヴィアさんがいた。


「ミス、アメリア?」


「っオリヴィ……ミス・オリヴィアさんまで……」


つい普通に呼ぼうとしたところで、今朝言われた内容を思い出して慌てて言い直した。

言い直せたよね?

オリヴィアさんは一瞬微妙な表情をした気がしたけど、すぐに講師の方に振り返ってたからセーフだったと思いたい。

しかし、先程の反応からしてオリヴィアさんも私たちが呼ばれた理由はわかっていないらしい。

そのまま講師はすぐに要件を伝えてくれた。要は生徒会というところに所属している方々に呼ばれたから伺って欲しいとの事でした。

生徒会ってなんでしょう?

よく分かりませんが、横目で見たオリヴィアさんが一瞬嫌そうな顔をしていたのを私は見逃しませんでした。

それは生徒会という所が嫌なのか、私と二人きりになることが嫌なのか判別はつきませんでしたが、前者ならそんな所行きたくないですし、後者なら傷つくのでそれはそれで嫌です。


あれ?何故私はオリヴィアさんに嫌われてると傷つくのでしょうか?


「ミス・アメリア生徒会室まで案内しますので荷物をまとめたら教室の入口で待っていて貰えますか?」


答えの出ない疑問に自問自答を繰り返していると、オリヴィアさんにそう言われ移動するとは思ってなかったために軽くしかまとめていない荷物のことを思い出した。


「あ、はい。分かりました!すぐ荷物を持ってきますね!」


振り返った時に見えたオリヴィアさんの席には既に綺麗に纏められた荷物があった。

急がなくちゃ!その思いでつい走ってしまいました。

荷物を急いで纏めながら少しだけ後悔しました。

うぅ、女の子が走るなんてはしたないですよね?

またオリヴィアさんに怒られてしまうかもしれません。

しかし、それは杞憂だったみたいでオリヴィアさんは特に何も言うことなく廊下を進んでいきます。

本当に()()()()()()()()


き、気まずい……

なにか話しかけようかと思ったのですが、朝怒られて以来の会話だと思うと何を話せばいいか分かりません。仕方が無いので黙ってオリヴィアさんの歩く後ろ姿を何となく見ていると気づけたことがあります。

オリヴィアさんの歩く姿には一切のブレもなくて、王族お抱えの家庭教師に並ぶくらい綺麗です。

そんなオリヴィアさんの歩く姿に見とれていると突然オリヴィアさんが立ち止まりました。

ついたのかな?

しかし、オリヴィアさんは何故か扉に手をかけようとしません。


「ミス・アメリア」


「っはい!」


どうしたのかな?体調でも悪くなったのかと思い、オリヴィアさんの顔を覗こうとしたら突然名前を呼ばれたせいで変な声が出てしまった。


うぅ恥ずかしい……

オリヴィアさんにも変な子に見えたのでは?と考えたが、そんな私の気持ちとは裏腹にオリヴィアさんはとても真面目な顔をしていた。


「この部屋の中にいるのはとても高貴な方々です。私が前に出ますのであなたは後ろで立っていて、質問された場合のみそれに答えなさい。」


そういったオリヴィアさんの表情からは緊張がありありと伝わってきました。

こんな表情のオリヴィアさんは初めて見ました、それだけこの部屋の中にいる人達は怖い人達ということでしょうか?

俄然、緊張してきました……


しかし、いつまでもここにいる訳にはいかずオリヴィアさんに続いて扉に入ると数こそ少ないものの鋭い……それこそ王城に迎えられた当初に感じた強い視線を感じます。


「やぁ、いらっしゃい。待ってたよ。」


開口一番に歓迎の言葉をくれた正面に座る男の人の笑顔に私はなんとなく、この学院生活も苦労しそうだと予感した


お久しぶりです、長い間お待たせしてしまい申し訳ありません。

書くのがあまりにも久々すぎたのでもしかしたら書き直しするかも……

語彙力欲しい…………


本日別作品も書いてみましたので興味持たれた方は、そちらも読んでいただけると嬉しいです。


次はできるだけお待たせしないよう書けたらいいのですが……………………多分お待たせしちゃいそうですт_т

それでも完結までしっかりと書きたいと思ってますのでお付き合いいただければ幸いです。



どんな評価、感想でも励みになりますので良ければお願いします。

次回も是非よろしくお願いします( ´ ▽ ` )

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