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完璧なクラスメイトに、腋毛と世界が生えていた  作者: 佐竹大地
第四章 俺と不条理な笑い
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第一話 夏、世界が終わる

 授業中の草壁。

「はい、x=3です」


 放課後の草壁。

「あぁ……腋毛気持ちいい……」


 今日も即落ち2コマをやっている。もはや完璧でもなんでもない。当てられて答えただけだ。それでも腋毛契約は行われる。


「ふぅ……」

 充実の息を吐いて、そのまま草壁と下校する。

 平和な日々だ。事件も起きず変な奴にも会わない。たまに腋毛を頂く。そんな日常。


「なあ、ふと思ったんだが」

 気になることがあった。隣を歩く草壁に、俺は言う。


「俺たちって、元々なにやってたんだっけ?」

 伊達先輩とか等々力とか変な問題ばっか起きてそれの対処でわちゃわちゃしてたから、普段はなにをしてたのかもはや忘れてしまった。


「私たちは、腋毛を通じて本当の自分を探していた」

 草壁が真顔で答える。

 そうだ、俺たちは腋毛を通じて本当の自分を探してたんだ。


「で、なにやってたんだっけ?」

 よく考えるとなにもわからんな。


「こうやってだらだらやってれば、いつか見つかる」

「そうだな」

 俺は頷く。気楽だが、それでいい。

 本当の自分。伊達先輩のときも、等々力のときも、腋毛は勝ってたし、この調子でだらだらやっていこう。。平和な日々が一番だ。

 しかし、そうはならなかった。

 

 世界は突然に、その姿を変えてしまったのだ。


 ★


 その日、俺はいつも通り登校。眠い目をこすりながら教室に入った。

 瞬間、軽い違和感があった。

 教室がなんだか白いのだ。

 見回す。少しして気づいた。

 夏服だ。

 今日から解禁日のようだった。服に興味ないから忘れてた。

 ブレザーを脱いだワイシャツ姿がちらほらいる。俺のように忘れてそのままのやつもいて、視界が紺と白が入り混じったカラフルになっていた。どことなくさわやかな気持ちになる。

 しかし教室の違和感は服だけではない。開放感とは異なる緊張感があるように見えた。なんでだろう。


「お、おい」

 席に着くと夏服の三田が声をかけてきた。息を切らせて慌ててる。なんだろうと思って俺は尋ねる。


「よう。なんか空気が変じゃね?」

「見たか!?!?」

 三田はそれだけ言ってきた。めっちゃ焦ってるのが伝わってくる。


「なんだ、どうした?」

「あれ見ろ!」

 小声で叫んでくる。難しい動作だが必死なら可能だ。血相が変わってるとはこのこと。俺は落ち着いて対処する。


「ふと思ったんだが、国語だけ無勉で成績良かったーとか自慢するやつ、学校をバカにしつつ点数に依拠してマウンティングしてくるからうざいよな」


「たしかに……ってどうでもいい話はじめんな!! 早く見ろ!! あれ!!」

 勢いよく指をさした先。

 草壁がいた。

 いつも通り姿勢良く座っている。違うところといえば、夏服を着てるくらいだ。しかしそれだけで……


「なっ……」

 思わず声が出た。圧倒的な変化に気づいたからだ。


 夏服、白い生地に短い袖。


 それは際立たせる。

 

 黒。


 腋毛の存在を。


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