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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第九章 解決へ

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69 エアギターならぬ、エア注射

「……ねぇ? こっち向いてよ、キツネさぁん♡」 

 令嬢Xが、誘うような声で言いながらも、さらに抱き締める力が増す。

 そんな中、

「ふぅ、やれやれ……」

 と、妖狐は呆れたように溜め息しつつ、確認する。

 まったく……、このまま、普通に攻撃するだけでは――、ヤツに苦痛を与えてしまえば、ヤツはそれを力へと変換させてしまう、か……

 仕置きにもならんし、面倒なヤツだ。

 では? そうすると、ヤツにすべきことは――

 と、妖狐は、そこまで考えたところで、


 ――くるりっ……


 と、振り向き、令嬢Xと正対した。

「あら? やっと振り向いてくれたのね」

 そう、微笑んで言う令嬢Xに、

「ふむ……」

 と、妖狐は曖昧に答える。

 そんな妖狐の顔を、令嬢Xは、ジッ……と見る。

「とても……、美しい顔ね、キツネさん……」

「……」

 令嬢Xは、うっとりした目で――、虚ろにも微笑みながら続ける。

「女の私でも、見惚れ、陥ちてしまいそう……。まあ、貴方は妖狐だから、性別が分からないけど……」

 そう令嬢Xが言うように、確かに――、このドラえもんみたいなナニカこと妖狐の神楽坂文だが、エッチな女医の格好をしているにもかかわらず、その性別は不詳だった。

 なおかつ、ともすれば、男以上に男性的なものを感じさせるところすらある。

 そんな風に、令嬢Xが妖狐に惹かれかけた。

 その時、


 ――ぷっ……、す――


 と、何か音がするかのように、妖狐が片手で、令嬢Xのこめかみ辺りに注射をするかのようなジェスチャーをーー

 すなわち、エアギターならぬ、エア注射をして見せた。

「は? 何し、てんの……?」

 令嬢Xが、一瞬……、表情をピクリとさせる。

 その次の刹那、


 ――ピィ、ンッ――!!


「ーー!」

 と、令嬢Xは、“何かの感覚”のパルスが脳内に――、そして、全身に走るのを感じた。

「……?」

 令嬢Xが、感じる違和感を考える。

 何だろうかーー?

 痛みなどは、あるいは、気持ち悪さなどの不快な感覚などは全くない。

 いや、“全くない”というのは――


「――!!」


 と、そこまで思考が及んだところで、令嬢Xは察してしまった。

「ふむ。気がついたか? 貴様には、我が妖力を用いてな……、少々オカルトチックなのだが、医療行為をしてな」

 妖狐がドヤ顔で、どこか煽るように告げる。

「何を、した……?」

 と、先ほどまでうっとりしていた令嬢Xの表情が、急変する。

 そんな令嬢Xに、

「ああ、めんごめんご♪ ちょっち、貴様の異常痛覚を治療してやろうと思ったのだが、手違えてしまってな。貴様の痛覚を、一切合切、無くしてしまったのだ」

 と、妖狐は、さらに火に油を加えるように答えた。 

 次の瞬間、


「何てことしてくれんだァッッ!!!!! こん狐ぇぇッッ!!!!!」


 と、先ほどまでの上品さや恍惚とした表情はどこへ行ったのかーー!!

 令嬢Xは豹変するがごとく!! 妖狐に向かって激高した!!

 同時に、


 ――ブンッ――!!!!!


 と、超怪力で振り下ろされる手が!! 妖狐に襲いかからんとする!!



ひとつの投稿あたりの分量、区切り方などの変更を検討中。




◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)


・00巻 重慶の幽鬼

・01巻 スタンボロバンの棍棒

・02巻 白色の考察

・03巻 白の衒奇的介入


◆◆ 年間予定タイトル


・1月 ※今やってる03巻目の『白の〜』を終わらす

・2月 ※途中の04巻目『激痛茶館』を終わらす

・3月 ※途中の05巻目『砂丘の〜』を終わらす

・4月 鬼灯橙子シリーズ『西行阻止』

・5月 『黄色い壁』

・6月 『あるパノラマ島のトランス奇譚』

・7月 『散在神経系は不老不死の夢を観るか』

・8月 鬼灯シリーズ『残留エーテル』

・9月 『メキシコからの変な依頼』

・10月 未定タイトル

・11月 未定タイトル

・12月 冷たい結晶華

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