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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第八章 再カチコミ

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66 理科室にある細っちいスタンド棒

「……まあ、いいでしょう。もう一度、貴女には、ギンピギンピ茶か濃硫酸でも飲ませて差し上げる」

 令嬢Ⅹが、怒気交じりの、張りついた笑顔で言い、

「あっ、それ、たぶん私にはもう効かない。はい、残念でしたー」

 と、パク・ソユンが答えて煽る。

「さっきから、おちょくってくれますねッ――! いいですわ……! この鞭で、存分に仕置きしてあげましょう!!」

 令嬢Ⅹがキレつつ、大型の鞭を取り出して構える。

「そ、ソユン!!」

 キム・テヤンが慌て加勢しようとするも、その瞬間、


 ――キィンッ!!


 と、空間を電光石火のごとく!!

 切り裂くやいばの横やりが入る!

「ちッ――!?」

「フッ――! 貴方の御相手はこの私ですよ!」

 と、キム・テヤンを強襲したのは、細目の大男の従者だった。

 その巨躯に似合わず、元スパイかつ暗殺集団の末裔ゆえか、確実に相手を仕留める攻撃の凄まじいスピードと精密さ!!

 さらに、

「ハッ――!」

 と、テコンドーの要領か!! 両手足、そして予測不能に繰り出される後ろ蹴り!!

 それら、手足にナイフを仕込んで行われる連撃が、キム・テヤンを正確に殺傷せんと襲い掛かる!!

「くっ!!」

 ただ、キム・テヤンも軍の情報部時代の経歴ゆえか、高い戦闘能力を以って応戦する。

 だが、その防戦の中、回避しようと後ろに跳躍しようとした瞬間、


「ッ――!?」


 と、キム・テヤンは“何か”に気がつくや、瞬時に身体を捻る!

 その同時、


 ――スパッ!


 と、軽く、“何か切り裂くもの”がキム・テヤンを掠めた。

「ちっ……」

 キム・テヤンは舌打ちし、傷口からの血を拭いながら、ピアノ線のように張られた“何か”の存在を確認した。

「(くそっ……! こいつぁ、うっかり動けんな――)」

 それは、細目男の従者と連携するように、女従者が先回りで瞬時に仕込んだものであり、さらに、

 ――ヒュッ!!

 と、その女従者も、直前まで一切の気配を出さぬ動作で暗器を放って襲いかかる!!

 そんな、強力な従者ら二人の攻撃を受けながらも、

「クソったれが!! てめぇら何かにやられるかぁッ!!」

 と、キム・テヤンがさらに覚醒するがごとく応戦する!!

 ただ、そのままの二対一で防戦するだけでは厳しく、

「おい、スタイル! フラワーマン! 少しは何か手伝えってんだよ! お前たち!!」

 と、今さらそんな設定あったねとつっこみたくなるコードネームで、カン・ロウンとドン・ヨンファの二人に呼びかける。

「ああ、スマンな! チジミ屋のオヤジ!」

 そう答え、そのスタイルことカン・ロウンはパチン――! と指を鳴らし、いつもの異能力を――、“局所的世界操作術『カンナム』”を発動する。

 ――タッ、タッ、タッタカ――♪ タッ、タッ、タッタカ――♪ 

 と、細目と女以外の他の従者たちが踊りながら、雪崩れるように、彼ら二人を邪魔しにかかる。

「おい! お前たち! 何を邪魔してるんだ!!」

「そうよ! 同じ術に何度かかるのよ!」

 と、二人は怒鳴り、叱りつけるも、

「す、すみません! し、しかし! そうは言っても!」

「か、身体が勝手に!?」

 と、部下の従者らではどうすることもなく、慌てふためく。

 また、

「それに、何!? この植物!?」

「ええいッ! 邪魔くさい植物めッ!!」

 と、ドン・ヨンファの操る“植物”も彼ら二人を妨害する。

 そうしてできた隙に、

「もらったぜ! 細目野郎!!」

 と、キム・テヤンは細目従者に蹴りを見舞う!!

「ぐぬっ――!?」

 細目男は手で払い、直撃は避けつつも喰らってしまい、後方へと飛ばされる!!

 いっぽう、その間にも、パク・ソユンも令嬢Xと、激しく戦闘していた。


 ――ブン! ブン――!!


 と、令嬢Ⅹが振るう鞭――!!

 その速さは二刀流メジャー選手の打球速はもちろん、新幹線よりも遥かに高速の、音速を超えるほどとも思える超高速!! 

 当然、その速さと同様、破壊力も凄まじいものである!!

「ほらほらァッ!! 避けて避けてッ!! ソユンッ――!!!」

 令嬢Ⅹが今までとは明らかに異質の、狂気を全開にさせて笑いながら、パク・ソユンを責める!!

 そのパク・ソユンだが、

「……」

 と、ジトッとした目は変わらぬまま、何とか攻撃を見切り、かわしつづける!

 ただ、それでは後手の一方であり、

「喰らうと、とぉーっても痛いわよォォッ!!!」

 と、令嬢Ⅹが一撃を放つや、

 ――ビシィッ……!!!

 と、僅かにだが、パク・ソユンを掠めてしまう。

「くっ――!!」

 パク・ソユンは何とか回避しつつも、確認する。

 もし少しズレていれば、触れただけで、良くて骨折か。

 それよりも、まともに喰らってしまえば、その部位周辺!! 肉・骨・血が!! まるで高速鉄道事故のように粉砕四散されかねないであろう!!

 そんな、他の多くの人間であれば恐怖を感じかねない中にも、

「……」

 と、パク・ソユンは冷静にして、動じることなく佇んでいた。

 ――とは言え、そのパク・ソユンは思う。

 何とか、“アイツ”の鞭の攻撃は見切れているけど……、回避に失敗すれば、腕など、簡単に吹き飛んでしまう、か――

 そうなると、今度は吹き飛んだ腕を治してくれという話になり、“タヌキのヤツ”が「激おこプンプン」などとブチ切れるだろう。

 いくら、あんなタヌキだとはいえ、さすがに、そこは怒るのは無理ない話だ。

 そうする、と――


「何としても、あの鞭をかわすしかない、か――」


 と、パク・ソユンは開眼するように、目をキリッと見開き、令嬢Xに立ちはだかるように立つ。

「これだけの鞭の威力を見ても、貴女は、なかなか動じることないですね……」

 令嬢Xが、静かな目で言った。

 そして、令嬢Xは再びゆるりと動き出しつつ、

「――まあ!! そこだけは褒めてあげるわ、ソユンッ!! でも、次は避けれるかしら!!」

 と、流れるように優雅に!!

 しかし激しく、鞭を乱れ撃たんとす!!

 その、音速をも超える連撃を、


「――!」


 と、パク・ソユンは見切る!!

 それは、この世と歴史上に存在したどの武道家・格闘家をも凌駕するレベルのものであり!! 攻撃を見切った同時の刹那――!!

「フンヌッ――!!」

 と、あろうことか!! 

 何と、理科室にある細っちいスタンド棒などを異能力で具現化し!! 以って特殊流派の剣豪のごとく身のこなしで低く屈み、令嬢Ⅹに足駄木あしなぎを喰らわしたではないか!!

「がっ!? ああ”あ”ぁぁ!!!!」

 令嬢Ⅹの叫び声が響く。

 その強打を受けた両足は変形し、骨折していたのだ!!

 常人であれば、もうそこで動けなくなり、地面に転がって蠢くしかないのだろう!!

 だが、しかし、

「ぐっ……、やって、くれますね……。――でも! 私にとっては、“痛み”が快楽だってこと忘れちゃったのぉッ!」

 再び、痛みに増強された令嬢Ⅹが鞭を振るう!!

 その一撃を、パク・ソユンはかわして壁面に当たると、

 ――ヒュッ……! ドォーン!!!!!

 と、轟音を立てたその凄まじい威力・破壊力は、今度は戦艦の中型砲にも匹敵せんとする!!

 同時に、その爆音と衝撃破が場にいる全員を襲う。

「ぐぅぅッ!?」

「ご、御主人様、手加減を!!」

 と、従者の者ですら、たまらず、

「おい! うるせぇぞ!!」

「ああ! まった、うるさいわね!! 鼓膜が破裂するじゃない!!」

 と、キム・テヤンとパク・ソユンが、キレ気味に怒鳴る。

 そんな、底の知れない令嬢Ⅹに、状況はまた膠着しようとした、その時、

「――でも、かえってチャンスかもしれません、御主人様」

 と、再び、細目の男を筆頭に従者らは迅速にして動いた。

 意を決した細目に、以心伝心するかのごとく、

「御主人様、今です! どうぞ、私たちごと!!」

「ええ! 御役に立てさえすれば、本望でございます!」

 と、従者らは捨て身で、キム・テヤンやカン・ロウンたちへと襲いかかる。

「うわっ!? や、やめろ!!」

「おい!! 仲間ごと吹き飛ばす気か!?」

 ドン・ヨンファとキム・テヤンが動揺して叫ぶように、あろうことか!! 従者らはまさに言葉どおりの捨て身となり、自分たちごと巻き添えで攻撃させるための瞬の隙を作らんとする!!

 そんな、従者らの死を覚悟した奉仕によってできる機会を、令嬢Ⅹも逃すことはなく、

「さあ、もう一度いくわよッ!! ソユン!! 貴女の仲間ごと吹き飛ばしてあげるわぁッ!!!」

 と、振りかぶる鞭が!! さらに激しくパク・ソユンやカン・ロウンたちを襲いにかかる!!

「くっ――!!」

 パク・ソユンは再び回避を!! いな!! 回避するだけではカン・ロウンたちは無事では済まず、その鞭の破壊に、相打ちすることも覚悟する!!

 その刹那!!


 ――パ、シィッ……


 と、気の抜ける音ともに、“何か”が鞭を受け止めていた。

「……へ?」

 まさに、鞭に最前列で立ち向かおうとしていたパク・ソユンと、

「ああ”……?」

 と、その後ろの、キム・テヤンもキョトンとしていた。


「――な、に……?」


 と、令嬢Ⅹが鞭を振るった手を下ろしながら、ゆるり……と、鞭を止めた主の姿を確認した、その先――


 ――フニャリ……


 と、何ということか……? 

 そこにあったのは、チジミを盾にしたエロ女医姿のタヌキもとい、妖狐の神楽坂文の姿だった。



春眠暁を覚えずのごとく、すっごい眠い、今日このごろ。




◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)


・00巻 重慶の幽鬼

・01巻 スタンボロバンの棍棒

・02巻 白色の考察

・03巻 白の衒奇的介入


◆◆ 年間予定タイトル


・1月 ※今やってる03巻目の『白の〜』を終わらす

・2月 ※途中の04巻目『激痛茶館』を終わらす

・3月 ※途中の05巻目『砂丘の〜』を終わらす

・4月 鬼灯橙子シリーズ『西行阻止』

・5月 『黄色い壁』

・6月 『あるパノラマ島のトランス奇譚』

・7月 『散在神経系は不老不死の夢を観るか』

・8月 鬼灯シリーズ『残留エーテル』

・9月 『メキシコからの変な依頼』

・10月 未定タイトル

・11月 未定タイトル

・12月 冷たい結晶華

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