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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第八章 再カチコミ

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63 ドラえもんのごとき不可思議な能力



 その侘茶人というのは物がない、貧乏な茶人ではありますが、しかしただそれだけならば何ら意味をなさない。貧乏なといっても、茶人であるからには、ただ貧乏だけではないところがあるのであります。侘茶人というものは、“物を持たないのを生かす”というところに非常に大きな意義があると思うのであります。何もないところを生かすというようなところに非常に深い意義がある。いわば無を生かす、あるいは無が生きた無であるところに大きな意義があると思います。侘びとは有以上の生きた無であります。


**『茶道の哲学』(久松真一)より



          (1)



 夜中、日付の変わらんとするころ。

 場面は再び、令嬢Xの館にて――

 その、館にある茶室で、


「……」


 と、令嬢Xは、まだドレス姿のまま、茶を立てながら佇んでいた。

 なお、その令嬢Xを――、主人を、従者の者たちは、守るかのように周囲についていた。

 そんな風にしながら、

「……」

 と、令嬢Xは無言のまま、しばし考えを巡らせていた。

 考え事の中心となるのは、やはり、今日の出来事ーー、パク・ソユンが、奪還されたことだ。

 今まで何度も催した“茶会”の中でも、客人が奪還されるなどというのは、まさに初めてのことだった。

 また、パク・ソユンの仲間らと妖狐が奪還に来たということは、足がつかないように仮の拠点を設けていたとはいえ、アジトとしていた場所が調査によって掴まれてしまったわけでもある。

 ゆえに、そこから懸念すべきなのが、そのような調査の手を伸ばしてきた“彼ら”が、この私が茶会の主催者だという証拠を掴んだだろうかーー? ということ。

 “それ”は、時間の問題だ。

 かの“妖狐とやら”の、ドラえもんのごとき不可思議な能力を用いて、強引にしてこの館にもやってくるだろう。

 まあ、ただ、その力というのは如何ほどのものだろうか?

 チラッとしか見てないので判然としないのだが、先日遭った妖狐は、少し弱っていたようにも見えたのだが……

 そこまで、考えを巡らせていたとき


「――御主人、様……」


 細目の従者の大男が、ゆるりと、主人こと令嬢Xに声をかけてきた。

「……はい?」

 令嬢Xは、聞く。

 まず、細目の男の隣にいた女従者が、

「恐らく、彼らが御主人様の情報をつかむのは、時間の問題と思われます」

 と、答えた。

 その言葉に続いて、

「近いうちに、再び彼らの侵入――、襲撃はあるでしょう……」

 と、細目の従者が結ぶ。

「ええ……、私も、“それ”は想定していますよ」

 主人の、Xが答える。

 その、短く交わした会話だが、それだけで従者たちとは以心伝心のごとく意志を共有した。

「――さて、どうしましょうか?」

 主人、令嬢Xは思わず口にした。

 その表情は、薄っすら微笑交じりに――、かつ、ややアンニュイそうな表情でもあった。

 これまでになかった、悩ましき事態。

 ただ、それはそれで、退屈が続くよりもマシとでもいうべきか?

 あるいは、茶会がマンネリ化していたここ最近のことを考えると、これも興があるとでもいうべきか?

 そのように、思考していると、


「――御主人様」


 と、振り向かずに、再び細目の従者が――


「……ええ」


 主人のXも、“それ”に阿吽の呼吸のように頷く。

 その、言葉を交わした先――

 ――ザワ、ザワ……、ザワ、ザワ……

 と、館の中の見えないどこかから、何やら、人間の動く気配が漂ってきた。

「むぅ……」

「……」

 細目の従者と女従者が、静かにして、全集中的に神経を尖らせる。

 館の内外に、張り巡らされたセキュリティを搔い潜っての侵入――

 SPY探偵団などと、ふざけたような連中ではあるものの、“異能力者”たちだ。

 また、恐らく妖狐の力を使用しての、気配を限りなく消せるような、何か特殊なアイテム、ガジェットを用いているのだろう。

 そして――




酒飲みたい。ノドグロ食べたい。



◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)


・00巻 重慶の幽鬼

・01巻 スタンボロバンの棍棒

・02巻 白色の考察

・03巻 白の衒奇的介入


◆◆ 年間予定タイトル


・1月 ※今やってる03巻目の『白の〜』を終わらす

・2月 ※途中の04巻目『激痛茶館』を終わらす

・3月 ※途中の05巻目『砂丘の〜』を終わらす

・4月 鬼灯橙子シリーズ『西行阻止』

・5月 『黄色い壁』

・6月 『あるパノラマ島のトランス奇譚』

・7月 『散在神経系は不老不死の夢を観るか』

・8月 鬼灯シリーズ『残留エーテル』

・9月 『メキシコからの変な依頼』

・10月 未定タイトル

・11月 未定タイトル

・12月 冷たい結晶華

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