61 有意的に接点アリとでもいうべきヤツ
(3)
――場面は変わりて、再び療養部屋にて。
まさに、茶会の、従者のひとりが懸念したことは当たっていた。
「こ、この人物が……、“X氏”が……、茶会の主宰者、なのかい?」
と、ドン・ヨンファが、信じられないとの顔をしながら見た先――
“なんちゃってプロファイリング”と“葛葉”を掛け合わせた分析の結果、『あやしいね!』がピックアップしたのは、“ある美麗な女”の画像――
国内の有力財閥の、令嬢X氏の画像と、その個人情報だった。
ただ、一同にとって、その思いもよらぬ容貌とプロファイルは一驚くべきことではあったが、ドン・ヨンファにとってさらに衝撃だった理由がある。
「何だ? そんな驚いて? もしかして、面識でもあんのか?」
キム・テヤンが聞き、
「う、うん」
と、ドン・ヨンファは、やや強張った様子で頷く。
まあ、このドン・ヨンファだが、キム・テヤンにワーワー言われてばかりの、どちらかというとヘタレな印象があるのだが、いちおうは実業家であり、また家柄もそこそこ良い、中堅以上の財閥でもあった。
ゆえに、その社交関係も広く、他の財閥や貴族の人間と接点があってもおかしくはない。
そのドン・ヨンファが、
「まあ、直接話したことはないけど……、氏の主催するパーティに出たことは、確か、二、三回くらいあるよ」
「けっ――、それって、面識あるってうちに入るのかよ」
と、キム・テヤンが、お決まりのように舌打ちを挟みつつ、
「あっ――? そういえば、私が参加したパーティにも、この人、いた気がする」
と、パク・ソユンも思い出した。
「ああ”? 何だ? お前もかよ」
キム・テヤンと、その傍ら、刑事のマー・ドンゴンが反応し、
「それで、もしかすると……、そこが接点で、容疑者のXがパク・ソユンに目をつけたって推測をするわけか?」
「まあ、そういうことになるだろうね、マーさん」
と、カン・ロウンが受け答える。
それに続いて、妖狐の神楽坂文が、
「ふむ。――では、ついでに、今までに茶会に“招待された”とされる人間と、この“令嬢X”とやらの接点を解析してみようではないか。もし、その被害者たちの多くが、ソユンのヤツと同様、Xの関係するパーティや催しに出席したことあるなど、何らかの関りがあることが分かれば……、このXが、茶会の主催者の正体だと断定するための、補足材料にならぬだろうか」
と、妖術“葛葉”を使用する。
そうすると、数分もすることなく、情報蒐集と解析の結果が出た。
「まったく……、この“葛葉”ってのは、ちゃんと調べているんだろうな?」
あまりにも簡単に為される情報蒐集に、マー・ドンゴンがつっこみたくなりつつ、
「人聞き悪いこというな。……まあ、貴様たち人間から見れば、チートかつ、ご都合主義のように見えるのは仕方ないが」
妖狐は言いつつ、解析した情報を表示して見せる。
それを見るに、“客人”――被害者たちの大半とまでは行かないが、その数割はパク・ソユンと同様に、やはり、X令嬢の関係するパーティに出席したことがあった。
「ふむ、これを見るに、有意的に接点アリとでもいうべきヤツだな」
「まったく、何だよ、有意的に接点アリって」
妖狐の統計用語チックな胡散くさい言葉に、キム・テヤンがつっこむ。
ただ、この結果を見るに、令嬢Xが容疑者ーー、茶会の主催者であるという可能性に、一同確信を持ちつつあるのは違いなかった。
帰省ついでに、大阪トナメ参戦へ。
テンション上がってきた。
◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)
・00巻 重慶の幽鬼
・01巻 スタンボロバンの棍棒
・02巻 白色の考察
・03巻 白の衒奇的介入
◆◆ 年間予定タイトル
・1月 ※今やってる03巻目の『白の〜』を終わらす
・2月 ※途中の04巻目『激痛茶館』を終わらす
・3月 ※途中の05巻目『砂丘の〜』を終わらす
・4月 鬼灯橙子シリーズ『西行阻止』
・5月 『黄色い壁』
・6月 『あるパノラマ島のトランス奇譚』
・7月 『散在神経系は不老不死の夢を観るか』
・8月 鬼灯シリーズ『残留エーテル』
・9月 『メキシコからの変な依頼』
・10月 未定タイトル
・11月 未定タイトル
・12月 冷たい結晶華




