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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第七章 攻めの調査

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60 痛みがあるからこその、生きているという実感を――、生の喜びを



          (2)



 時間は、だいたい同じくして。

 場所だけ、変わる。

 豪邸――

 いや、もっとスケールが大きな、館とでもいうべき建築か。

 モダン西洋スタイルの、石造風の建築。

 その内部もそれに見合った意匠の装飾が壁や天井に施されているのだが、それらのデザインはオールド朝鮮様式との折衷でもあった。

 荘厳な空間であり、この所有者が成金の類などではなく、貴族だと分かる。

 その、館の一角にある、日本風の土壁の茶の間。

 すなわち、先のティー・タイムからの、有閑にしてゆっくりとした時間が続いていた。

 ここに、露わになるのは、美麗にしてエレガントに佇む“女”の姿――

 大きく、ややグニャっと曲がったような奇抜なフォルムの、エレガントなパーティ用の帽子。

 また、身に纏うドレスも、ブラックパープル混じりのホワイトピンクと、春をイメージさせる黄緑をところどころ基調としつつ、朝鮮様式の色使いと融合させたような“それ”、と――

 そんな女は、韓国でも有数の貴族・財閥の令嬢でもあった。


「……」


 と、ティーカップに口をつける。

 先の、濃硫酸コーヒーに代わって、今度は少し“あっさりとした”ギンピギンピ茶。

 その、味わうところ――

 飲むや否や、ジワリ……と、しかし無視できない疼痛が喉を浸してくる。

 その度合いは、常人であれば、のた打ち回るレベルに違いない。

 しかし、


「――あ、あ……、痛いわぁ……♡」


 と、そうはならず、女は恍惚の顔をしていた。

 そう――

 この女こそ、この貴族の令嬢こそ、例の“茶会”の主人の正体だった。

「……」

 令嬢は痛みとともに、まだ口にしてないスイーツを見ながら、思う。

 常人であれば、忌避すべき、おぞましい激痛――

 だが、“それ”は、私にとっては、この上なくのない快楽だった。

 その、痛みがあるからこその、生きているという実感を――、生の喜びを感じるのだ。

 ただ、それは……、自分の生まれ持った、“異常体質”とでもいうべきか?

 そして、その異常体質に紐づいた“異能力”――

 その能力と、暗行御史アメンオサの――、諜報・暗殺工作集団の流れを汲んだ一族集団という出自を利用し、“茶会”を主催してきて今に至る。

 ただ、そんな“茶会”という、痛覚という感覚を文化的行為にまで昇華できる素晴らしき催しも、ここ最近は“マンネリ化”したものを感じつつあったのは間違いない。

 どの客人も、すぐに心が折れ、一様に“壊れて”しまうというのが主な理由であるのだが……、そんな中、この茶会に見合う客人を探していた折に、偶然にも見つけてしまったのだ。

 芸能、ファッション、美容関係者、その他他業種を広く招待した晩餐会――

 まあ、次の茶会に招く客人を“品定め” (客人を品定めとは、あまりよろしくはない表現だが……)する目的を兼ねて行っている面もある。

 そんな晩餐会にて、出席していたモデル兼DJのパク・ソユンに、ふと目が留まったのだ。

 その、パク・ソユンのクールな瞳――

 興味を持ち、調べていくうちに分かる情報から、このパク・ソユンを客人とすることに決めたのだ。

 そうして催した先の茶会は、予想したとおり、まあまあ満足のいくものであった。

 ただ、途中で、さすがに濃硫酸まで振舞ったところで、パク・ソユンが壊れかけた手前、思わぬことが起きた。

 “妖狐”の、神楽坂文の登場――

 分厚いドアを蹴とばし、女医のような格好で「コ~ンコン♪」などとふざけてはいたが、その、人外の気配というかオーラは異様なものだった。

 人並外れた異能力を持つ自分であっても、ゾクッ……と、どこか、萎縮するものを感じるくらいの。

 まあ、そんな感覚は新鮮であったので、もう一度会ってみたいという気持ちもあるが……

 そのように、主人の者が考えていたところ、


「――御主人様、……恐らく、このままだと、“彼ら”は自分たちへと辿り着くでしょう」


 と、細目の従者が、懸念して告げてきた。

「……」

 主人の者は、ただ、無言で聞く。

 そして、何か、少し考えるように間を置きつつ、

「ええ……、“それ”は、分かっていますよ」

 と、主人の者は静かに、微笑しながら答えた。

 その瞳は、少し虚ろながらも、どこか揺るぎないものがありながらーー




帰省ついでのトナメ参戦について検討中。

夜のターボトナメに出るか、翌日の昼からのメガスタックに出るか。



◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)


・00巻 重慶の幽鬼

・01巻 スタンボロバンの棍棒

・02巻 白色の考察

・03巻 白の衒奇的介入


◆◆ 年間予定タイトル


・1月 ※今やってる03巻目の『白の〜』を終わらす

・2月 ※途中の04巻目『激痛茶館』を終わらす

・3月 ※途中の05巻目『砂丘の〜』を終わらす

・4月 鬼灯橙子シリーズ『西行阻止』

・5月 『黄色い壁』

・6月 『あるパノラマ島のトランス奇譚』

・7月 『散在神経系は不老不死の夢を観るか』

・8月 鬼灯シリーズ『残留エーテル』

・9月 『メキシコからの変な依頼』

・10月 未定タイトル

・11月 未定タイトル

・12月 冷たい結晶華

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