49 恐らくはーー、否(いな)、間違いなく猟奇的なことを
(2)
同じころ。
両手首をチェーンソーで切断されるという、恐らくはーー、否、間違いなく猟奇的なことをされたSPY探偵団メンバーの、“ジグソウ・プリンセス”こと、パク・ソユンのこと。
「――てか、さ……? ハァ、ハァ……、客人、なのに……、拘束されんの?」
と、毒による苦しさと朦朧に――、切り落とされた手首の鋭くも鈍い苦痛に、顔が歪みそうになるのを耐えつつ、パク・ソユンは何とか己を保ちながら聞いた。
「てか? 両手落とし、たら、さ……? どう、やって、……茶を飲む、ワケ?」
と、矢継ぎ早に、当たり前といえば当たり前すぎる、そもそものツッコミをしつつ――
「ご心配なさらず――♪」
主人の者が、明るい声で、パク・ソユンに答える。
「そこは……、さすがに、我々が飲ませて差し上げますから♪」
と、続ける主人の言葉と、それに合わせるようにして、従者の者たちがニコリと微笑した。
そうして、
「さて? 本会の、メインとも言いますか……? まあ、恐らくは、貴女も予想しているとはおもいますが――」
「……」
と、苦痛に耐え続けるパク・ソユンに、間を置いて主人は告げる。
「――ギンピギンピの、御茶でございます」
さらりと発せられた、えげつない言葉――
それに、再び従者の者たちが合わせるように、ギンピギンピの葉を持つのを、
「……」
と、パク・ソユンは、無言で見た。
その、ギンピギンピを触るのは、上品で所作の美しい女性の従者であり、常人であれば、襲い来る疼痛、激痛に耐えられないのだろう。
だが、この従者の女には、それらのような様子が微塵もなかった。
主人の者も含めてか、この者たちはギンピギンピに痛みを感じることのない“異能力者”か?
もしくは、何か、“異常体質”のどちらかなのだろうか――?
あるいは、このーー、主人の、身体を覆うような装束は、何か防護服の類のものなのだろうか?
いや、もしかすると、そのような目的でなく、単に顔を隠す目的なのかもしれないが……
ただ、そうすると、顔を隠す必要が、どこかにあるのだろうか?
そんなことを、パク・ソユンが考えているうちに、従者たちはギンピギンピの茶を淹れ、こちらへと寄ってきた。
オールドスタイルのティーカップに、揺れるギンピギンピの茶葉。
一見すると、ハーブティーのようでもあるが、それがギンピギンピと分かっているが故に、どこか、悍ましくもおどろおどろしい雰囲気が漂う。
「――では、どうぞ……。“痛覚の饗宴”を、ゆるりと、お愉しみくださいませ――♪」」
主人が、そう言った。
同時に、従者の者が、上品かつ美しい所作でパク・ソユンの口へとカップを持って行き、“茶”を飲ませる。
顎を、クィッと軽く傾げられ、ギンピギンピ茶が喉へ、食道へ、そして胃へと――
五臓六腑へと注がれ、そして、脳へと伝達される。
「ぐっ……!?」
パク・ソユンは、反射的に、苦悶の声が出るのを抑える。
「ああ、ちなみに、ですね……。カップが、うっすら溶けていることから分かりますように、フッ酸を少々、ブレンドしております」
主人が追い打ちをかけるように、加えて言う。
「ぅぅ”……!!」
パク・ソユンの、苦悶の声が強まる。
胃から来る、のたうち回るほどの激痛――
さらには、全て歯をブッ叩くような、最強クラスの激痛が、パク・ソユンを襲う。
それは、どんな拷問にも耐えれそうな、屈強かつ精神強靭な者でさえ発狂する。
もし手元に拳銃でもあれば、それでさっさと自死して楽になりたくなるほどだろう。
外国産チョコの、美味しいのか美味しいくないのか分からない微妙な感じ、ほんとすこ。
◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)
・00巻 重慶の幽鬼
・01巻 スタンボロバンの棍棒
・02巻 白色の考察
・03巻 白の衒奇的介入
◆◆ 年間予定タイトル
・1月 ※今やってる03巻目の『白の〜』を終わらす
・2月 ※途中の04巻目『激痛茶館』を終わらす
・3月 ※途中の05巻目『砂丘の〜』を終わらす
・4月 鬼灯橙子シリーズ『西行阻止』
・5月 『黄色い壁』
・6月 『あるパノラマ島のトランス奇譚』
・7月 『散在神経系は不老不死の夢を観るか』
・8月 鬼灯シリーズ『残留エーテル』
・9月 『メキシコからの変な依頼』
・10月 未定タイトル
・11月 未定タイトル
・12月 冷たい結晶華




