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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第五章 激痛茶会

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48 このクソポンコツダヌキ!

「ぼ、僕たちが、かい……?」

 ドン・ヨンファが、一瞬、キョトンとした。

「ぼ、僕たちがかいって――、そりゃ、俺らしかねぇだろが! タコ!」

「うぐっ!?」

 間髪入れずに、キム・テヤンがドン・ヨンファを小突きつつ、

「まあ、俺たちが、最初からもう少し上手くやってれば……、こんなことをしなくてよかったのは、事実だ。だから、つべこべ言わず、さっさと考えろ」

 と、キム・テヤンは、困惑するドン・ヨンファに発破はっぱをかける。

 まあ、ドン・ヨンファだけというよりも、自分も含めて――、確かに、このような事態を防ぐのに、打つ手はあったのかもしれない。

 そうだからこそ、妖狐の力にすべて頼りきりにせず、どこかで自分たちのケツは自分たちで拭く必要があるのは間違いない。

「……わ、分かったよ」

 ドン・ヨンファが、渋々と決意する。

 それに、キム・テヤンも呼応する形で、

「――というわけで、だ……。猶予はないが、何とか考えるぞ。妖狐、そのまま、『あやしいね!』の立っている場所の情報を、出来る限り表示してくれないか?」

「ああ――」

 と、妖狐は答え、“葛葉”で必要な情報を表示してやる。

 そのまま、彼らSPY探偵団の三人は妖狐と、マー・ドンゴンたちの二人とともに、『あやしいね!』の五か所の中から、絞り込むべく考える。

 その、『あやしいね!』の立つ五カ所であるが、いずれもソウル市内であり、廃墟に、市内中心部の豪邸、それから同じく中心部の近代的な最新のマンション――

 そして、残りの二カ所は、少し様式が違うものの庭園付きの館で、ひとつは市内の街中に位置し、もうひとつは、少し外れた郊外の手前に位置していた。

 まずは、廃墟の方を――、繁華街の廃ビル見てみる。

「確かに、地下空間はあるにはありますが……、こんなところを、アジトとして、……その、“茶会”って犯罪行為を行うのでしょうか?」

 チャク・シウが、そう疑問を口にし、

「まあ、わざわざ、こんな不審がられる場所に出入りするかって話だな……。それに、すでに、別のゴロツキどもがヤサにしているかもしれねぇしな」

 と、マー・ドンゴンが付け加えた。

 まあ、やや適当気味な受け答えであるが、“茶会とされる猟奇殺人行為”を計画的かつ連続的に行うにしては、どうも不適当かつ不用心な場所のように直観しているのだろう。

「まあ、そうだろうな……」

 キム・テヤンが相槌しつつ、

「それに、もし、こんな場所でその“茶会”ってのを行っているとすれば、ヨンファ――、お前のマブダチに頼んだ情報筋とやらに、すぐに引っかかってしまんじゃねぇか?」

 と、ドン・ヨンファへと振る。

「う、うん……、そうだろう、ね……」

 ドン・ヨンファは、急に振られて少し動揺しつつも、ゆっくり頷いた。

 頷きつつ、ドン・ヨンファは続ける。

「それに、何か……、“茶会”ってイメージじゃない気が、するんだよね」

「あぁ? イメージじゃ、ねぇだと?」

 マー・ドンゴンが、イメージとの曖昧な言葉に食いつき、

「へっ、ドン・ヨンファ先生のプロファイリングってやつか?」

 と、キム・テヤンが、若干の茶化しを入れる。

「そ、そんな、プロファイリングって、――」

 茶化され、ドン・ヨンファが困惑していると、

「フン、いいから……、お前のプロファイリング的なヤツでも、推測でもいいから話せよ。なあ、ロウン」

「ああ……。一応、それなりに調査をしてきたヨンファの直観も、そんなに間違ってないかもしれないからな」

 と、キム・テヤンとカン・ロウンが、やや強引にも背中を押す。

「わ、分かったよ……」 

 ドン・ヨンファは、また渋々と頷いた。

 続けて、

「その、“茶会”っていうとさ……、何て言うのかな? もっと、上品で、格式高いイメージがある場所でやる気がするんだよね」

「まあ、そうすると、この廃ビルなんて、以てのほかでしょうね」

 と、チャク・シウ。

「え、ええ……、そうなる、かもね……」

「けっ、そうなると、他の四か所全部が候補に該当してしまうじゃねぇか!」

 若干自信なさげなドン・ヨンファに、キム・テヤンがつっこむ。

「そ、そう言わないでくれよ、テヤン……。じゃあ、この、マンションってのは?」

 と ドン・ヨンファは嫌そうな顔しながら、他のメンツに振ろうとすると、

「その、マンションってやつこそ、以っての他だろな――」

 と、即却下したのは、マー・ドンゴンだった。

 マー・ドンゴンは、続けて話す。

「この、マンションこそ、最新のセキュリティで出入りが監視されてるし、そもそも、“茶会”ってのが猟奇殺人だとするとだ……、“それ”をした後で、死体を処理するのが一番大変な場所じゃねぇか?」

「まあ、そいつは、マーさんの言うとおりだな」

 と、キム・テヤンが相槌しつつも、

「ああ、そう言えばだ……、『あやしいね!』には、そういうエラーが出ることもから、気をつけるのだ」

「いや、そんなエラー出すなってんだ! まったく、このクソポンコツダヌキ!」

 と、サラッと告げる妖狐に、つっこんだ。

 とりあえず、こじつけを混ぜながらも、候補を三か所まで絞りこむ。

「あとは、豪邸と、庭園付きの……、って、三つとも豪邸じゃねぇかよ、ったく……」

 と、キム・テヤンが、再びつっこみたくなりながらも、話を進行させる。

 まずは、市内中心部の豪邸を見てみる。

「ヨンファ、どうだ? お前のプロファイリング的には?」

 茶化しながらも、キム・テヤンが聞く。

「ま、また僕?」

「いいから、さっさと答えろってんだよ、ったく」

「わ、分かったよ、」

 と、ドン・ヨンファは嫌そうな顔するも、急かされて答える。

「その、僕のイメージでは、何って言うのかな――? 毒草ガーデンって、イメージがあってさ」

「毒草ガーデン、だと……? ああ、昨日、ロウンのやつとそういう話してたな」

 と、マー・ドンゴンが眉を寄せつつも、先日の警察署での話を思い出した。

 またそこへ、キム・テヤンが、

「まあ、それに、イメージだけじゃなくて、この豪邸を除外する材料はありそうだぜ――」

 と、“葛葉”から、ある情報を表示させてみせる。

 それは、これら三カ所の土地物件の所有者の情報であり、

「こっちの豪邸にゃよ、資産家のA氏って、ちゃんとした人間が所有しているがよ、……残りの二件は、何か、胡散くさいペーパー・カンパニーみてえなとこみてたいだな」

 と、キム・テヤンが説明する。

「何だ? そんな、わざわざ“自分ち”でそんな犯罪行為をする可能性は低いだろうからって理由で、除外するわけか?」

 と、マー・ドンゴンが疑問を挟むが、

「まあ、“するヤツ”もいるかもしれねぇけどよ……、調査されたら足がつくような場所でわざわざやるかってのと……、とりあえずよ、どっちが“まとも”そうかって程度の話で進めさせてくれよ、マーさん。何せ、タイムリミットがねぇからよぅ」

 と、キム・テヤンは、半ば強引に話を進める。

 そうすると、残りは、ともに庭園付きの館の二件になる。

「ヨンファ、あとは二分の一だ……、当てやがれ」

 キム・テヤンが迫り、

「わ、分かったよ」

 と、ドン・ヨンファは、決断をする腹をくくる。

 二つの、庭園付きの館――

 郊外の一方は、中華風の庭園。

 もう片方の、街中の館の方は、朝鮮と英国の折衷様式という――

「……」

 ドン・ヨンファは、それら庭園の画像をジッ……と見つつ、考える。

 まるで、ポーカーでいうところの、リバーでポラライズされたオールインにコールするかどうか迷うかのような心境ーー

 それを、頭の中で言語化される思考と言語化できない直観を交えつつ、決断を下す。

 その中で、僅かにある考えが浮かびつつ、ドン・ヨンファは指をさす。


「――こっちじゃ、ないかな……」


 と、ドン・ヨンファが指したのは、街中の、朝鮮・英国折衷の庭園の方だった。

「うむ……。それで、間違いはないか? ヨンファ」

 カン・ロウンが、聞く。

「うん……、僕の、イメージ的にもそうだし……、それに、たぶん、僕らや……、もしかすると、タヌ、キツネさんみたいな者の調査の手が及びことを、主催者が想定していると仮定すると……」

「……」

「……」

 と、カン・ロウンとキム・テヤンが、ドン・ヨンファの話にジッ……と耳を傾ける中、

「たぶん、万が一の場合、逃走することを考えるとするとさ……、その、逃げて隠れれるような場所がどこにでもありそうな、街中にするんじゃないかな……?」

 と、ドン・ヨンファは答えきった。

「……」

 ジッと、無言でドン・ヨンファの目を見るキム・テヤンと、

「……」

 と、それに耐えるかのように、ドン・ヨンファがグッ……と緊張する。

 そんな沈黙を破って、


「どうだ……、タヌキ?」


 と、キム・テヤンが、タヌキではない妖狐、神楽坂文に聞いた。

「ふむ……」

 と、沈黙する間を挟みながら、妖狐は答える。

「まあ、悪くないのではないか。その、逆パターンも計算して茶会の場所を選んでいる可能性もあるかもしれぬが……、ここは、貴様たちの判断を信じて、乗り込もうではないか」



西尾維新スタイルの睡眠生活がしたい。

今のところ、昼職と夜の副業掛け持ちで無理ですが。



◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)


・00巻 重慶の幽鬼

・01巻 スタンボロバンの棍棒

・02巻 白色の考察

・03巻 白の衒奇的介入


◆◆ 年間予定タイトル


・1月 ※今やってる03巻目の『白の〜』を終わらす

・2月 ※途中の04巻目『激痛茶館』を終わらす

・3月 ※途中の05巻目『砂丘の〜』を終わらす

・4月 鬼灯橙子シリーズ『西行阻止』

・5月 『黄色い壁』

・6月 『あるパノラマ島のトランス奇譚』

・7月 『散在神経系は不老不死の夢を観るか』

・8月 鬼灯シリーズ『残留エーテル』

・9月 『メキシコからの変な依頼』

・10月 未定タイトル

・11月 未定タイトル

・12月 冷たい結晶華

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