47 むさ苦しいメンツの中でもトップクラスのむさ苦しい見た目の
(1)
一方、場面は変わりて――
黒のアサシンドレス姿のポンコツダヌキ、もとい妖狐の神楽坂文は、カン・ロウンたちSPY探偵団のメンバー3人と――、それから、合流したマー・ドンゴンとチャク・シウの刑事コンビとともに、パク・ソユンの居場所を何とか掴もうとしていた。
チートクラスの情報蒐集妖術の“葛葉”を通じて、市内各所の監視カメラ網や警備システム――、はたまた、市内を走る車のドラレコにちゃっかりと侵入するなど、そうした“数多の眼”を利用することで、拉致されたパク・ソユンの追跡を試みていた。
“それら”を統合した情報は、ホログラフィックモニタに表示される。
「――どうだ、タヌキ?」
と、後ろからキム・テヤンと、
「そ、ソユンの居場所は……、わ、分かりそうなのかい? タヌ、キツネさん」
と、さらにドン・ヨンファが、“葛葉”を操作中の妖狐・神楽坂文に、急かすように聞く。
「ええい……、やかましいうえに、むさ苦しいぞ、貴様たち。それに、タヌキじゃなくてキツネだと言っているだろ。わざとだろ、貴様たち」
妖狐・神楽坂文が、露骨に嫌そうな顔で言う。
まあ、確かに、男ばかりのメンツが寄りかかる光景は、むさ苦しいと言えばむさ苦しい。
その、むさ苦しいメンツの中でもトップクラスのむさ苦しい見た目の刑事、マー・ドンゴンが妖狐に聞く。
「で? これは、本当にパク・ソユンを拉致した連中追跡をしているのか?」
“葛葉”に対し、如何わしそうな顔をするマー・ドンゴンに、
「まあでも、確かに、監視カメラ網や、各所のシステムにハッキングできているようですからね」
と、チャク・シウが補足する。
「あぁ? ハッキングだとぉ?」
反射的に、ハッキングの言葉に反応するマー・ドンゴンに、キム・テヤンが、
「まあ、ここは多めに見てくれよ、マーさん。――ソユンの身の安全が、いや、最悪、命がかかっているかもしれねぇからよぅ」
と、擁護の言葉を添える。
そんな中、SPY探偵団リーダーのカン・ロウンが妖狐に聞く。
「神楽坂さん、どこまで、できましたか?」
「ふむ。いくつか、絞り込めたのだがな、」
妖狐はそう答えながら、ゆるり……と、ホログラフィックモニタに“何か”を表示させてみせる。
――ボワンッ……!
と、そこには、『いいね!』マークのごとく――
中指をピィン! と立てた『あやしいね!』のアイコンが、五つ表示されていた。
「ったく……、何だよ? この、軽くイラっとするマークは?」
と、キム・テヤン。
「ふむ。こいつは、『あやしいね!』といってな……、その名のとおり、怪しい、疑わしい対象に対し、フラグを立てるという力があるのだが――」
妖狐が答えつつも、意味深に言う。
「何だ? じゃあ、どうして? 五カ所も、その『あやしいね!』ってヤツが立ってやがるんだ?」
当然の疑問を口にするマー・ドンゴンと、
「その、これが、五つ立っているということは、神楽坂さん――」
と、カン・ロウンは、半ば察して聞いた。
「ああ……、“こいつ”の能力は、貴様たちが思っているような、正確なものでなくて、精度が少々低くてな……。あくまで、フラグを立てる程度のような妖力だ――」
妖狐は答える。
「すると、この五つの中の――、五分の一ってことなのかい?」
ドン・ヨンファが、恐る恐ると聞く。
「簡単にいえば、そうだろうな。ここからは、確率の問題になろうか? 当たるも八掛、当たらぬも八掛といった具合か――」
妖狐が、そう答えた。
それを聞いて、
「……」
と、ドン・ヨンファは、無言で口を噤む。
ここに来て、まさかの、確率が突きつけられるわけか――
五つのうちの、一つ。
それは、ソユンのやってるポーカーで言えば、どんな確率だろうか?
そのように、ふと、思考が過っていると、
「――というか、お前の、妖力でもダメなのか?」
と、キム・テヤンが険しい顔で、妖狐に聞いていた。
「ダメではないかもしれぬが……、我が妖力、こちらの世界で使うには制約が色々かかってな……。さらに言えばだ、かなり消耗が続いていて、充分に回復できてないのが現状なのだ――」
妖狐が、そう答えつつ、
「あとは、判断すべきいくつかの材料で……、貴様たちが、決断するしかない――」
と、カン・ロウンたちに突きつけた。
とりあえず、再開しました。
2月内に終えたい。
◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)
・00巻 重慶の幽鬼
・01巻 スタンボロバンの棍棒
・02巻 白色の考察
・03巻 白の衒奇的介入
◆◆ 年間予定タイトル
・1月 ※今やってる03巻目の『白の〜』を終わらす
・2月 ※途中の04巻目『激痛茶館』を終わらす
・3月 ※途中の05巻目『砂丘の〜』を終わらす
・4月 鬼灯橙子シリーズ『西行阻止』
・5月 『黄色い壁』
・6月 『あるパノラマ島のトランス奇譚』
・7月 『散在神経系は不老不死の夢を観るか』
・8月 鬼灯シリーズ『残留エーテル』
・9月 『メキシコからの変な依頼』
・10月 未定タイトル
・11月 未定タイトル
・12月 冷たい結晶華




