表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第四章 茶室への招き

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/71

46 問題な――いや、大問題か……


「はぁ――!?」

 と、その言葉に、パク・ソユンは目を見開いた。

 恐らく、それほど勘が良くない人間でも、これからこの茶会の主人らがパク・ソユンに何をしようとしているのかをーー、想像するのは難しくないだろう。

 そうだからこそ、当事者のパク・ソユンは一瞬で、これから自分の身に起こることを悟っていた。

 すなわちーー

 彼らは、自分の手首を“チェーンソーで切り落とす”つもりなのだ!

 ただ、こんな狂気じみた状況にもかかわらず、

「……」

 と、パク・ソユンは無言のままだったが、その表情は恐怖に錯乱したり怯える者の“それ”とは違った。

 むしろ、普段の、若干イライラモードに近いときの“それ”のようにも見える。

 ――とは言え、

「(った、く……、さっき、の……、“クソみたいなウェルカムドリンク”で、 少々……気持ち、悪いし……、脂汗も、垂れてる、し……)」

 と、パク・ソユンは虚脱して朦朧しそうになりながらも、自身の状況・状態を確認する。

 先ほどのダメージ。

 さらには人質がいるため、“茶会”の主催者たちを容易に攻撃できないという状況。

 それに追い打ちをかけるように、

「――本当はと言いますと、……少し、バスタブのような空間を、御用意した方がよかったのですが……」

 と、再び主人の者が、意味深な様子で何かを話した。

 その言葉に、

「ハ、ァ……、ハァ……」

 と、パク・ソユンは呼吸が乱れ、虚ろな目になりながらも、“あること”を思い起こしていた。

 少し昔に、日本であった“できこと”――

 まあ、ともにアウトローどうしでの出来事。

 何かのトラブルから暴力組織の人間が拉致され、バスタブに吊るされ、手首、足首を……、そして、最後に首をチェーンソーもしくは電鋸で切り落として殺害されるという――

 凄惨かつ、猟奇的な事件があったのだ。

 その際、その被害者の男が屈強だったかどうか分からぬが、アウトローの人間でさえも泣き喚き、助けを懇願したとのことだが……

 そんなことを、回想しているうちに、


 ――ブォォーン……!!


 と、チェーンソーの唸る音が間近で響いた!

 その刹那――!


「あ”っー……!!」


 パク・ソユンは思わず叫びかけた。

 肉体に入れられる、チェーンソーの刃!!

 神経に、今まで経験したことのない激しくも鋭い信号の波が走る!!

 同時に、チェーンソーの方にも抵抗がかかっているのか、

 ――ブォ、ォ、……ン……!!

 と、回転音が少し鈍くなりながらも、しかし確実にパク・ソユンの手首を破壊していく!!

 血しぶきに、肉の飛沫――!!

 それに混じって、噴煙のように散る骨と――!!

「あ”がっ……!!」

 パク・ソユンは再び叫びそうになりながらも、食いしばるように、痛みを押し殺す。

「ハァ……、ハァ……!」

 息を荒げつつ、全身から血の気が引いていくのを感じながらも、チェーンソーが手首を落としていった、自分の腕先の方を、チラッ――と見た。

 「(やはり……、手首を、切り落とされたーー、か……)」

 パク・ソユンは、“その事実”を確認する。

 確認しながらも、

「(イカレてると思うが、まだ……、“これくらい”なら、問題な――いや、大問題か……)」

 などと、激痛鈍痛に朦朧し、虚脱していく意識の中……

 だが同時に、パク・ソユンは確認しようとした――、いや、少なくとも、確認しておかねばならない。

 この、顔を隠した“茶会の主催者”が何者なのかーー? を。

 そのように、

「ハ、ァ……、ハァ……」

 と、パク・ソユンは呼吸か苦しそうに、全身が虚脱し、さらに悪寒に脂汗が垂れながらも、何とか観察しようとしていたところ、

 ――ドッ、ドッ、ドッ……

 と、チェーンソーのエンジン音が止んだ。

 同時に、再び、主人の者がパク・ソユンへと寄った。

「さすが……、貴女は、素敵ですね……」

 ふと、主人の者がゆるりと上品そうに、ワケの分からぬことを言う。

「……」

 と、パク・ソユンは虚ろになりかけながらも、「は、ぁ……?」と言わんばかりの目で、主人の者の――、仮面に覆われた顔をジッ……と睨んだ。

「恐らく……、多くの方が泣き喚めき、粗相をするなどの見苦しいさまを晒してしまうでしょう中……、貴女は美しく、こんなにも凛として佇まれています」

 そう話す主人の者を、

「ハ、ァ……、ハァ……」

 と、パク・ソユンは相変わらず苦しそうな擁しながらも、ジッ……と見つづける。

 そして、

「――いかがでしょうか? “痛覚の饗宴”――。そんな貴女だからこそ、きっと、これから始まる茶会を愉しんで頂けるかと――」

 と、続けて話す主人の者に、

「は、ぁ……? ただの、頭のイカレた、変態じゃない」

 と、パク・ソユンは顔をしかめるなり、


 ――ペッ……!


 と、その仮面に、唾を吐いた。


「……」


 一瞬、主人の者が沈黙した。

 その、次の瞬間、


 ――ピ……、ク……!


 と、まるでキレる音がするかのように、主人の者の、仮面の下が熱くなると同時、

「礼儀がッ……、なってませんねッ――!!」

 と、主人の者は激高するとともにパク・ソユンの首を掴んだ。

「うぐッ――!?」

 パク・ソユンは、思わず息を漏らす。

 いちおうは能力者であることから耐えれているものの、首に感じるその力は、牛の首でさえ簡単に圧し折るほどの力か――!?

 しかし、そんな暴力に蹂躙されながらも、

「(ん、ん……?)」

 と、パク・ソユンは、何か違和感を感じていた。

 何というべきか――? 

 その、主人者が自分の首を絞める力は、怪力・剛力の類の“それ”なのだが……少々、どこか“柔らかさ”のような感触を感じていた。

 そう、何とか観察しようとしていると、

「――失礼、……しました」

 と、主人の者の、首を絞めてくる力が弱まった。

「ハァ……! ハァ、ゲッホ! ゲッホ……!」

 解放され、咳きこんでいるパク・ソユンに、

「――では、……客人として、上品に振舞うべき立場だということを弁えていただきまして――」

 と、主人の者は改めながら、続けた。


「――“茶会”を始めましょう♪」


 そう、主人の者は春らしく朗らかに宣言しつつ、添える、

「貴女のために、素敵な“御茶”を用意しておりますので――」

年が明けまして、23年最初の投稿になります。

文章、文体の若干のアップデート(?)を行います。過去に書いたものも、順次直していく予定ではあります。



◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)


・00巻 重慶の幽鬼

・01巻 スタンボロバンの棍棒

・02巻 白色の考察


◆◆ 近いうち、書く予定タイトル


・冷たい結晶華

・あるパノラマ島、トランス奇譚

・散財神経系は不老不死の夢を観るか

・新屋根裏の散歩者考

・メキシコからの変な依頼

・東京水脈

・黄色い壁


*仕事人・鬼灯燈子ほおずき・とうこの無境界依頼シリーズ

・西行阻止

・残留エーテル

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ