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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第四章 茶室への招き

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42 予断を許さない状況


          ***


 同じころ、

「……もう、こんなことをやってる場合なのかい?」

 と、ドン・ヨンファはやや不満げな様子で、別働的に調査をしているようだった。

 さらに続けて、

「それに、何で僕だけ……」

 と、ドン・ヨンファはボヤいた。

 今現在のこと――

 SPY探偵団の仲間であるパク・ソユンが、恐らくは拉致されているという予断を許さない状況。

 早急に追跡することに全力を注ぐべきなのだが、リーダーのカン・ロウンは、キム・テヤンとふたりそろって警察署に行っていた。

 そのように、いったん“茶会”に関する諸々の調査の手を止めた方がいいにもかかわらず、このドン・ヨンファだけは“それ”を続けるように指示されたことも、不満を抱く理由でもあろうか……

「ていうか、ロウンかテヤンの、どっちかだけでいいじゃないか……」

 また、ドン・ヨンファはボヤく。

 焦りは、募るばかりだっ。

 そこへ、


 ――ピリリン♪ ピリリン……♪


 と、ノア・ネルソンから電話がかかってきた。

『――やあ、ヨンファ♪ 何か進展は、あったかい?』

 電話をとるや、ノア・ネルソンがいつもの調子で尋ねてきたが、

「……ソユンが、拉致された」

 と、ドン・ヨンファは重い様子で、単刀直入にそう答えた。

『おっと……、そいつは……』

 と、さすがのノア・ネルソンも、事の深刻さを察した。

「今、仲間が、何とか追跡しようとしているんだけど……、僕は、別で調査をしていてさ……」

『別で、とは?』

「その……、先日、君に会ったときのように、ギンピギンピとかの闇の流通の調査を続けてくれってさ――」

『う~ん……、まあ、追跡するだけじゃなくて、“二方向”から攻めるってことじゃないかな? 追跡するって言っても、たぶん、監視カメラ網から追うってことくらいしかできないでしょ?』

「確かに、ノアの言うとおりだ……」

 と、ドン・ヨンファは同意しつつ、

「くっそ……! 何とか、茶会の主催者の所在をあぶりだせないのか!? 早急に!」

 と、半ばヤケ気味に口調を荒げた。

『う~ん……、そうできればいいんだろうけど……、確かに、いっきにタイムリミットが無くなったね』

 ノア・ネルソンは、状況が厳しいことに同情しつつ、

『……資料は、少しだけど、……いいかい?」

「ああ、頼む……」

 と、ドン・ヨンファに提示してやる。

 同時に即座に、ドン・ヨンファの持ち歩くノートパソコンに、調査資料のファイルが転送される。

 そこへ、


「――おい、ヨンファ、進んだのか?」


 と、キム・テヤンが現れた。

「う、うん……、い、いま、資料をもらったって」

 ドン・ヨンファは、少し嫌そうな顔で答えつつ、

「ノア、ちょっと、電話切るね――」

『オッケー、何かあったら、また連絡してくれ』

 と、ここは仕方なく通話を切る。

「まったく、いま資料をもらったって、遅ぇヤツだな……」

 キム・テヤンは軽く文句垂れつつ、ドン・ヨンファのパソコンを手に取る。

 そのまま、

「ちっ……、材料はそろいつつあるんだろうが、……何か、もっと、解析できるものがねぇか?」

 と、キム・テヤンが舌打ちしつつ、パソコンを操作する。

「ろ、ロウンと、マーさんは?」

「ああ……、いま、ソユンと――、恐らく、ソユンを呼び出すために人質とした人間を、追跡しようとしている。……アイツらも、何とか力を尽くそうとしているさ」

 ドン・ヨンファに答えつつ、キム・テヤンはデータ解析し、“茶会の主催者”に関する糸口ーー、もしくは、その居場所をダイレクトに割り出そうと尽力する。

「クッソ……! と言ってもな、情報が不足してやがるし、それに、そんな早く解析できっか……!」

 と、キム・テヤンが煙草を吸いたそうに、顔をしかめながら独り言を言う。

「て、テヤン……、何とか、分かりそうかな?」

「ああ”? 今やってんだろが!」

 キム・テヤンが、横から恐る恐る聞いたドン・ヨンファに苛立っていると、


 ――ニョ……、キッ……


 と、何やら、植物の蔓らしきものがーー

 パソコンの画面から、現れていた。

活動報告で予定どおり、あとがきに宣伝と呟き的なものを書きます。


◆◆ 妖狐・神楽坂文と変な物語シリーズの過去作の紹介(むしろ、こちらを読んでほしい)


・00巻 重慶の幽鬼

・01巻 スタンボロバンの棍棒

・02巻 白色の考察


◆◆ 近いうち、書く予定タイトル


・冷たい結晶華

・あるパノラマ島、トランス奇譚

・散財神経系は不老不死の夢を観るか

・新屋根裏の散歩者考

・メキシコからの変な依頼

・東京水脈

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