表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第四章 茶室への招き

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/71

41 一時期流行った、某イカだかタコだかのゲーム

 そうして、車から降ろされること――

 そこには、何やら豪華な、まるで貴族の館のような館がーー

 いや、実際に、貴族か財閥といった身分の者の所有の館なのだろう。

 英国式の洋館が、格式高くも、優美に佇んでいた。

 それから、建物の中へと通される。

 朝鮮や欧州、それから中国や日本の調度品や美術品に彩られるなどと、内側も外観に似つかわしく、豪奢なものだった。

 これが、もし、香ばしい茶や甘美な春のスイーツを愉しむ茶会なのであれば、招かれる客人の心も踊るというものだろう。

 しかし、ここに招かれた (拉致された)客人は誰も、言うまでもなく、“そう”ではない。

 恐らく、待ち受けるはギンピギンピなどの有毒植物の茶や、毒劇物ブレンド茶などの、“おぞましい”ものーー

 そうした事実が、よぎりながらも、


「(――ったく、めんどくさいわね……)」


 と、パク・ソユンはまたしても、悪態を声に出しそうになるものの、心の声で留めておいた。

 そもそも、常人であれば、拉致されているという事実と、招待状にて予見される内容を想像するだけで、恐怖に壊れそうになるのだろう。

 しかし恐らくは、このジグソウ・プリンセスこと、パク・ソユンという人間は、そのあたりのスイッチが壊れているのだろう。

 半ば本心で、自分の置かれた状況を面倒なものだと思いつつも、

「……」

 と、ただ若干、どこか冷えた、乾いた汗と……

 胃が、少しばかりキリリ……とするのを感じていたのだが。

 そのようにしているうちに、ついに地下室へと案内される。

 煉瓦造りの空間は上階と違い、少々どよんで薄暗く、どこか拷問室のような不気な雰囲気があった。

 ただ、それでもなお、晩餐会や茶会に用いても申し分なさそうな、奇妙な空間でもあるという。

 そこへ、


 ――カツンッ……、カツンッ……


 と、足音が響きながらも、奥の方から“主催者”ーー、すなわち、“主人”と思しき者が現れた。


「……」


「……」


 と、招かれた“客人”のパク・ソユンと、招いた“主人”が、ここで初めて顔を合わせた――

 否、対峙したと言った方が、いいかもしれない。

 この、“茶会”の“主人”なる者の姿――

 まるで、一時期流行った、某イカだかタコだかのゲームのような、珍妙な黒い仮面に、全身を覆う赤い装束。

 その全身を包むフォルムは防護服と言うよりは、日本の山岡頭巾の“それ”ようなゆったりと広がるものだった。

 ゆえに、この“主催者”が何者であるのかーー? その外見からは、確認できなさそうである。

 そして、


「――どうぞ、よくぞ、お越しくださいました」


 と、“主催者”の者は――、主人の者は、恐らくはボイスチェンジャーを使った声で“客人”に挨拶したが、

「お越しくださいました――、はいいけど、さ? 卑怯じゃないの?」

 と、パク・ソユンがそんなものなどスルーしつつ、まず、罵りを込めて聞いた。

「ええ……、それは、お伝えしましたとおりでございます。こうでもしないと、骨が折れるのですよ」

 主人の者は、柔和かつ上品な様子で答える。

 答えつつも、

「それより、ソユン様……? まず、“こちら”は、貴女にとって、愉しんで頂けるかと――」

 と、主人の者は、『どうぞご覧ください――』のジェスチャーで腕を指した。

 その先、


「――!」


 と、パク・ソユンが、一瞬だけ目を見開きながらも見たもの――

 そこには、チェーンソーによって、フラワーアレンジメント作品のようになった、“客人だった”人間たちの姿があった。

 例えば、ある者はで首を切り落とされていたり……、また、ある者は足の大腿であったり、足首から先を切り落とされたりしたものを、まるでオブジェのように飾られていたのだ。

 そんな、おぞましき光景に、

「……」

 と、パク・ソユンが顔をしかめつつ、どこか若干、睨むような様子で、主人の者を見ていると、

「貴女も、こういったのは、お好きでしょう?」

 と、それに気づいたのか、主人の者が聞いてきた。

「は? いや、あくまで、創作ものとかのROM専なだけでさ? こんな実物を、目の前で見せられて歓ぶ趣味なんか無いんだけど?」

 パク・ソユンが、イラっとして答える。

「あら? それは、残念ですね」

 と、恐らくは微笑している主人の者に、今度はパク・ソユンが、

「いや、残念とか、別にどうでもいいんだけどさ? アイツらは、解放してくれるわけ?」

「ええ、そうです、ね……? ただし、“それ”は……、貴女の言動次第でごさいますが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ