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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第四章 茶室への招き

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39 はい、もすもすカメよ

「まあ、推測と言えば、推測なんだろうが……、人質として拉致したと仮定するなら、“そう”するのは自然なことかもな」

 マー・ドンゴンが言い、

「ええ、可能性として、あり得なくもないですしね」

 と、チャク・シウも同意する。

 そのようにしながらも、

「分かったよ。協力してやるよ、ロウン」

「おおっ……! すまない、マーさん」

 と、マー・ドンゴンはSPY探偵団の協力要請に応え、カン・ロウンは感謝した。

 しかし、

「――ただ、協力するとは言ってもな、俺たち、ソウルの警察のリソースを、すべてお前たちに使ってやることはできないが……、本当に、パク・ソユンを助けてやるのに、間に合うのか?」

 と、マー・ドンゴンが念のため、厳しいことをカン・ロウンに問うた。

「……」

 チャク・シウと、

「……」

 と、キム・テヤンが、無言で固唾を呑む中、

「それは……、確かに、マーさんの言うとおりだ」

 と、カン・ロウンは、そこは素直に認めた。

 そもそも、この【茶会】の案件の調査を開始してから――、まあ、カン・ロウンたちSPY探偵団のメンツがダラダラしていたことも理由ではあるにせよ、満足な情報や手掛かりなど掴めていない段階なのだ。

 そんな状況で、果たして、今から迅速にパク・ソユンを追跡し、救出することができるのか――? と問われると、確かに“それ”は厳しいと言わざるを得ない。


 …………、…………


 場に、ふたたび沈黙が漂おうとする中、


 ――スッ……


 と、カン・ロウンは、スマートフォンをゆっくりと手に取っていた。

「あ、ん……?」

 反応するマー・ドンゴンと、

「おい? どうした? ロウン」

 と、聞いたキム・テヤンに、カン・ロウンは答える。


「妖狐に、“依頼”を――、……いや、“助け”を求める」


「“妖狐”、だと……?」

 と、【妖狐】なる言葉を聞いて、怪訝な顔になるマー・ドンゴンと、

「……」

 と、チャク・シウが無言ながら、ゆるり……と、カン・ロウンの顔を見た。

 その間も、

 ――カラン、コロン♪ カランコロン♪

 と、カン・ロウンのスマホはすでに、妖狐へと発信をしていた。

 ただ、

 ――カラン、コロン……♪ カランコロン♪

 と、着信音がするばかりで、しばらくしてもつながる気配はなかったが。

「つながらない、か……」

 カン・ロウンが、のちほどかけ直すしかないと、諦めようとした。

 マー・ドンゴンら刑事たち、および妖狐の力に、一縷の望みを賭けようとしたわけである。緊迫する状況の中、期待と焦りが入り混じ、胃がどこかキリキリとするのを抑えつつも、焦燥感と諦観にのまれそうに感じた。

 そのとき、



『――はい、もすもすカメよ♪』



 と、若干ふざけた様子か――? 何と、妖狐の神楽坂文が電話に出た。

「……お久しぶり、ですな。たぬ、キツネさん。SPY探偵団の、カン・ロウンです」

『何だ? ロウンか。というか、いま、タヌキと言いかけただろ? 貴様?』

「い、いえ。そんなことは」

『ふむ? そうする、と……? 貴様だな? 先日の、時差で出たクシャミの原因は』

 と、妖狐が聞いてきた。

「クシャミ、ですか……? ああ、確かに、昨夜、貴方のことを話題にしましたね」

 カン・ロウンが合点していると、

『――で? 何のようだ? 貴様たち、韓国の変人探偵団が』

 と、妖狐が本題を――、要件を尋ねる。

「すまない、依頼が……、――いや、大至急、助けてほしいことがある」

『ほう……』

 と、どこか重い様子のカン・ロウンに、妖狐は続きを聞く。

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