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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第三章 事態は動くか

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36 てめぇと一緒にするなっての、タコ

「まあ、そう考えると……、ただの、裏の、【犯罪界隈】の人間“ではない”……、【異能力使いの異常者みたいなヤツ】、ですか――? 【そんな可能性】を、考えても、いいかもしれませんね」

 情報屋も、コーヒーを手に取り、そう言った。

「ふん……」

 と、キム・テヤンが相づちを入れてやりつつ、続きを聞く。

「なおかつ、ちょっとした、【好き者】で……、かつ、これだけ犯行を重ねても、その手掛かりが掴めないとなりますと……、もしかしますと、何か、【資金的にも、人的にも余力のあるリソースを持った者】が、関与している可能性もあるのかな、と……」

「何だ? つまり、金と暇を持て余した、ボンボンみたいなヤツってことか?」

「あっ、そっす! ああ、あと、コネ的なリソースのある」

「まあ、いくら人的なリソースがあっても、ちょっろいヤツばっかだと、余計犯行の手がかりを残して、足がつくだろうがな」

「その辺は、さすがに、プロみたいなのを使ってるんじゃないっすかね? 【隠密】的な」

「けっ、何が隠密だってんだ、」

 と、面白くなさそうに舌打ちするキム・テヤンに、情報屋はさらに続けて、

「あとは……、薬の、ほうですか……? ちょっと、調べてみないと分からないですが……、裏社会の人間はもちろん、表の人間でも、【横流ししていそうなやから】も、いるでしょうね。大方、金目当てか、何か弱みでも握られて脅されているかでしょうけど」

「まあ、な……」

 と、キム・テヤンが、相づちしてやりながら、

「とりあえず、そんな感じでな――、少し、フワッとした相談かもしれねぇが、調べるのを、協力してくんねぇか? お前の情報と、マーたち、警察連中の情報とを合わせれば、犯人に――、【茶会の主催者】とやらに、近づけるかもしれねぇからな」

「うぇっ……!? マーさん、っすか……」

 と、情報屋は刑事の名を聞いて、少し苦手そうな顔をした。

「何だ? 嫌なのか? 別に、お前が、マーのヤツに会うわけじゃねぇだろ」

「ま、まぁ、そっすね……。とりあえず、もちろん、キム兄さんには協力しますよ」

「ああ、頼むぜ。礼はするからよ」

 と、キム・テヤンはコーヒー片手に、少し硬いながらも、微笑して見せたりしていた――

 ――――

 ――


 ――と、回想はここまで。

 ふたたび、場面は、江北の事務所へと戻る。

「それで……、これが、さっき調べてきたヤツだ。まだ、不十分な情報だろうが、また追加があればと思う」

 と、キム・テヤンが、ノートパソコンを開いて見せた。

「わぁ……、仕事早いよね、テヤン」

「てめぇと一緒にするなっての、タコ」

 と、感心するドン・ヨンファに、キム・テヤンは鬱陶しそうな顔をする。

「で? てめぇは、何をしてたんだよ?」

 と、今度はキム・テヤンが聞こうとしたとき、


 ――タッ、タッ、タッタカ――♪ タッ、タッ、タッタカ――♪

 

 と、階段をステップする音を反響させながら、小刻みかつコミカルに踊るカン・ロウンがやって来た。

「ったく……、てめぇも、いちいち踊るなっての! 鬱陶しいヤツだな」

「まあ、そうカリカリするな、テヤン。茶を用意してきたから、飲んでくれ」

 と、カン・ロウンは、余計に顔をしかめるキム・テヤンの傍に来るなり、ティータイムセットを広げる。

「けっ……、ラテだのコーヒーだの、茶ばっか飲ませられる日だぜ、まったく」

 キム・テヤンが、やれやれと舌打ちした。

 まあ、コーヒーは茶でもないだろうが、いちおう、茶のカテゴリに加えておきつつ……

 その間、カン・ロウンは茶を淹れ、香りが漂いながら、

「――で? どうだったか? ロウン」

「ああ、マーさんたちも、出来る範囲で協力してくれると。……いちおう、さっき共有してもらった資料もある」

 と、カン・ロウンはキム・テヤンに茶を渡してやる。

「ふん……、何だかんだで、アイツらもよく協力してくれるな」

「そうだな」

 ふたりは、そう言葉を交わす。

 そのまま、互いに手にした情報を持ち寄って、これから分析しようと思った。

 だが、そのとき、


「……?」


 ふと――、キム・テヤンが表情を変えて、腕時計を見た。

 時刻を、確認しながら、

「……そろそろ、ソユンに連絡しないか?」

 と、切り出したキム・テヤンに、

「……」

「……」

 と、カン・ロウンとドン・ヨンファのふたりの視線が集まった。

 そうして、間を置きながら、


「――ヨンファ、“アイツ”に電話しろ」


 と、キム・テヤンは、何か思い立ったようにドン・ヨンファに頼んだ。

「え――? ま、まだ、は、早くないかな? テヤン?」

 ドン・ヨンファが、急に振られた役割に動揺する。

 恐らく、まだ機嫌の悪いと思しきパク・ソユンに連絡するのを躊躇しているのだろう。

 その間も、キム・テヤンが急かしてくる。

「何怖がってんだよ! チキン野郎が、早く電話しろってんだよ」

「そ、そんな……!」

 と、ドン・ヨンファは嫌そうな顔をするも、

「てめぇならブロックされてもいいだろ! さっさとしろ!」

「もう……! テヤンがやればいいのに……」

 と、これ以上抗っても、キム・テヤンが余計にやかましくなるだけで、渋々ながらパク・ソユンに電話してみることにした。


 ――ダッ、ダッ、ダッ、ダッ♪ ダッ、ダッ、ダッ、ダッ♪


 と、少し喧しくも、着信中のEDMの音楽が聞こえるも、パク・ソユンは電話にでてこない。

「……」

 ドン・ヨンファはしばらく待つが、つながらない。

 ――ピッ……

 と、一度切る。

 また念のため、少し間を置いて、かけなおしてみるも、


 ――ダッ、ダッ、ダッ、ダッ♪ ダッ、ダッ、ダッ、ダッ♪


 と、同じく音楽が流れるばかりで、いっこうに電話はつながる気配はない。

「あ、れ……?」

 キョトンとするドン・ヨンファに、

「ああ”? どうした?」

 と、怪訝な顔で聞くキム・テヤンと、

「……」

 と、カン・ロウンは無言で、何か嫌な予感を感じていた。

「連絡が、とれない? ぶ、ブロックされた?」

 オロオロするドン・ヨンファと、

「ブロックはされてねぇだろが。――けっ、あの野郎……」

 と、今ここにいないパク・ソユンに、キム・テヤンは舌打ちしつつ、

「ちょっと、待っとけ、お前ら」

 と、急にノートパソコンを立てた膝の上に置き、キーボードをカタカタと動かし始めた。

 さすが、元情報部と言うべきかーー、パク・ソユンのスマホの位置情報を調べてみる。

「スマホは、アイツんちにあるようだな……」

 と、確認しながら、今度はパク・ソユンのマンションの、セキュリティ関係にハッキングし、調べる。

「……」

 と、キム・テヤンは、茶菓子を片手に持ちつつ、

「ど、どうなの?」

「……どうだ? テヤン?」

 と、ふたりが後ろから覗く中――


「――こりゃあ……、少し、ただ事じゃねぇかもしれねぇ……」


 と、キム・テヤンが、重い表情でいった。

「玄関のセキュリティデータと監視カメラの記録を調べたがな……、アイツ、スマホを置いたまま、出ちまいやがった」

「……」

「な、何だって――!?」

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