34 ショートケーキらしきスイーツを、スポドリをお供にして食いながら
(5)
カン・ロウンたちは、知る由もないこと――
同じころ、場面はふたたび、パク・ソユンの部屋へと戻る。
『――よく聞くように、パク・ソユン様』
と、【謎のスマートフォン】から聞こえたのは、機械的な声――、おそらく、ボイスチェンジャーでも用いていると思しき声だった。
丁寧そうな口調でありながらも、同時に、脅迫や命令をするときの【それ】に聞こえる。
「はぃぃ? 何ぃ?」
パク・ソユンが、ダルそうな様子で、スマートフォンに聞き返す。
同時に、先ほど向かおうとしていた冷蔵庫を開いて、ストロベリーと抹茶、チョコのショートケーキらしきスイーツを取り出しつつ……
ただ、そうしてる間にも、【謎のスマホ【】が告げてくる。
『単刀直入に申し上げます。貴女の、仕事仲間の方たちを、【拉致】させていただきました……』
「は? 仕事仲間?」
パク・ソユンは再度、聞き返す。
『拉致させていただいた』との、確かに、【単刀直入かつ物騒なワード】――
それを、ショートケーキらしきスイーツを、スポドリをお供にして食いながら聞くという、およそ緊張感の無さげな、ギャップのあるという、シュールな構図で。
『ああ、失礼いたしました。多岐にわたって活躍される貴女ですからね、【仕事仲間】と言うだけでは、少しザックリすぎました』
「……?」
と、詫びてくる機械音声を聞きながら、パク・ソユンは、ジトッ……とした目で、スイーツを食い続ける。
口の周りには、クリームやストロベリーソースなどを、だらしなく付けながら。
それで、機械音声の続けるに、
『具体的に申しますと……、昨日の、貴女のネットライブの、御仲間でございます』
「は? アイツら?」
と、スイーツを食いつつ、怪訝な表情になるパク・ソユンに、
『左様でございます……』
と、機械音声は、淡々と答えた。
また、パク・ソユンが、スイーツを食べる手を止めて、
「……てか? アイツらは、関係ないでしょ? その、【茶会】がどうたらとかいうのに、」
『もちろん、貴女の仰るとおりでございますが……、そうでもしないと、貴女は、【茶会】に来て下さらないと、【主人】は思いましてね……』
「はぁ、……」
と、気の抜けた相槌するパク・ソユンに、続けて、
『なにせ、【貴女を拉致すること】は、ですね……、こちらとしても、少々、骨の折れることでございましてね』
「……」
と、沈黙を挟みながら、
『――ですので、【シンプルに】、というべきでしょうか? いわゆる、【人質】というものを、ですね? 取らせていただくことに、しました』
と、【人質】などとの、また物騒な内容を、機械音声は淡々と、かつ丁重に連絡でもするかのように話した。
「は……、ぁ……」
思わず、パク・ソユンはポカンとした。
それに構うことなく、
『――ですから、パク・ソユン様……、貴女は、私土もがこれから言うことに、従うように』
「……」
と、ふたたび話してくる機械音声が、よりいっそう、【脅迫の雰囲気】を帯びる。
『それから、ですね……? 【下手なこと】を、考えないこと』
「……」
と、パク・ソユンは無言ながらも、次第に目を――、瞳を見開く。
音声は、告げる。
『もし、ですね……、少しでも、【そのような動き】が見受けられました場合……、【彼ら】にも――、つまり、貴女のお仲間に対してですね……、【私どもが客人に“おもてなし”をする際と同程度の苦痛】を、味わってもらうことになります……』
「……」
『それが、どのようなものか――? 貴女であれば、少しは、【想像】がつきますでしょう』




