表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第三章 事態は動くか

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/71

32 男ふたりで優雅なティータイムの写真でも撮って、SNSに

 カン・ロウンが、続きを話す。

「つまり、だ――、この際、ソユンが狙われているのを逆手にとって、彼女を【囮】にして調査できないか――? と思ってな」

「な、何だって――?」

「【囮】、だと……?」

「ああ……。現状、主催者に関する手掛かりというのは、かなり少ない。ならば、こちらから調べに行くのもよいが、あちらから来るのを待つというのも、手かもしれないだろう」

 と、動揺交じりのドン・ヨンファとキム・テヤンが、まだ怪訝な顔をする中、カン・ロウンが答えた。

「は、ぁ……」

 ドン・ヨンファが、まだ、しっくりきていない感じでポカンとし、

「う~ん……」

 と、キム・テヤンは、ふたたびグラスを手にし、考えるように唸る。

「まあ、確かに……、どうせ、アイツが狙われているのなら――、って考えると、ありなのかもな……。嫌でも、【茶会】の主催者ってヤツが、拉致しに来るのは、避けようがないんだろ」

「ああ……」

 思案して話すキム・テヤンに、カン・ロウンが頷く。


「で、でも……、ソユンに、万が一のことがあったら……」

 ここで、ドン・ヨンファが、すこしオロオロした様子で懸念した。

「ああ”? アイツにか?」

 と、ドン・ヨンファにつっかかろうとするキム・テヤンを、

「まあ、ヨンファが心配する気持ちも分からなくない。その、万が一のことも、想定した方がいいだろう」

 と、カン・ロウンが制止する。

「けっ……、そいつは、分かってるよ」

 キム・テヤンが、重い表情に戻りながら答えた。

 確かに、万が一の想定は、必要だろう。

 パク・ソユンが、実際に拉致されてしまった場合――、先ほどから話すように、彼女を囮として、犯人追跡のためのチャンスとすることも、できなくもない。

 だが同時に、パク・ソユンが、そのまま殺害されてしまうというリスクと、まさに紙一重だ。

 ゆえに、“そうする場合”、迅速に危機を察知し、追跡できるようにしておく必要がある……

 ――と、そこまで、キム・テヤンが考えたところで、

「というか? 【囮作戦】をするならするでよぅ? ロウン? ソユン本人と、連携が取れた方がよくねぇか? ――てか、囮作戦ってのは、【本人が、囮の役を演じている自覚を持ってる】ってのが、一般的じゃねぇか?」

 と、そもそものことに、気づいたように言った。

「あっ……」

 と、ハッ――、とするドン・ヨンファと、

「まあ……、それもそうだな……」

 と遅れて、カン・ロウンが頷いた。


 …………、…………


 微妙な空気が、屋台に漂う。

 そして、

「おい!! そしたら、結局アイツがいなきゃダメじゃねぇか!! 結局、てめぇが、怒らすからじゃねぇか!! このポンコツ野郎!!」

「ご、ごめんって!! て、てか!! だ、だから、何で僕なの!?」

 と、詰め寄るキム・テヤンに、勘弁してくれと叫ぶドン・ヨンファの声が、屋台街に響いた。



          ******

 


 ――と、ここまでで、昨夜の回想から戻る。

 キム・テヤンが、

「……」

 と、桜抹茶ラテに口をつけたまま、渋い顔で考え込んでいた。

「どうしたんだ、テヤン? 浮かない顔して?」

 カン・ロウンが、声かける。

「けっ……、てめぇが、こんな変なもん頼むからじゃねぇか」

 キム・テヤンが、舌打ちしつつ、

「まあ、それはおいといてよ……、いちおう、ソユンのヤツのことが気になるだろ」

「ああ、それは私も同じだ」

 と、ふたりは話に入っていく。

 キム・テヤンが、続けて、

「昨日の話の繰り返しになるが、アイツがそんな簡単にはやられるとは思ってないし……、そのうえで、ソユンが囮として調査をするってのも、ありっちゃ、ありかもしれねぇとは、思うけどよ……」

「うむ……」

 と、カン・ロウンが、ラテを飲みながら聞きつつ、

「何にせよ……、いかんせん、早く、アイツとコンタクトをとれるようにする必要がある。少なくとも、アイツを追跡できるようにしておかねぇと」

「そのとおりだな……。まあ、どちらにしろ、いま、私たちが連絡を取っても、たぶんソユンは出ないからね」

「まあ、そうだろうな。……アイツのことだ、もうしばらく、間を開けた方がいいな」

 と、男ふたり、ラテを一旦テーブルに置く。


 置きつつ、

「――さて、と。お前と、女子会みたいに、長々話したくねぇからな。さっさと、こんな打ち合わせなんか終わらせて……、調べにいくべきもんを調べるぞ」

 と、キム・テヤンが言った。

「酷いこというな。一緒に、男ふたりで優雅なティータイムの写真でも撮って、SNSに上げたいと思っていたのだが……」

「ああ”……? けっ! ぜってぇ撮るかよ、そんなもん」

 と、カン・ロウンの言葉に、SNS映えする自分たちの姿を想像してしまいながら、キム・テヤンが舌打ちした。

 そうしながらも、


「――で? 調べるにあたって、だ……、すこし、考えてみた【推察】を……、いや、【妄想】をしてみよう」


 と、仕切り直すように、カン・ロウンの丸サングラスが、ジッ……と、キム・テヤンのほうを見た。

「何が【妄想】だよ……。まあ、いい……、いいから、話せよ」

 キム・テヤンは、続きを促した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ