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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第三章 事態は動くか

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30/71

30 何が、桜ストロベリーフラペチーノだ?

「ん、ん……? おいおい!? 何を頼んでんだよ、ロウン!!」

 と、思わず、キム・テヤンが声を荒げた先――

 そこには、ブラックコーヒーなどという硬派なものでなくて……

 何やら、“女子がSNSで映えさせてそうな桜色に抹茶色の彩るラテ系の飲み物”を、男子ふたり分を手にした中年男、カン・ロウンの姿があった。

「ああ……、春の新作の、桜抹茶ラテだ」

 と、カン・ロウンが答えながら、スッ――と、キム・テヤンの前に置いた。

 確かに、桜色と、抹茶色と――

 それらの色とクリームの白、フレーク状に添えられたベリーやチョコレートが調和する様は、春の新作ラテとしては申し分ない。


「けっ、何が、桜ストロベリーフラペチーノだ? 俺は、ブラックコーヒーって決まってんの、知ってんだろが? ワケわかんねぇもん、買ってきやがって」

 と、商品名を間違えながら、キム・テヤンが、苦虫嚙み潰したよう顔でぶつくさ言うも、

「まあ、そう文句言わず、飲んでみろよ。もしかすると、次から、お前の御用達になるかもしれないぞ」

「なるかよ、そんなもん……」

 と、こちらの機嫌など気にすることないカン・ロウンに、「やれやれ」と、仕方なくカップに口をつけるより他なかった。

 それで、本題に入っていくわけなのだが、ここで、昨夜のことに、すこしさかのぼる――



          ******



 ――振り返ること。

 昨夜の屋台で、パク・ソユンが帰ってしまった後で、

「あぁ~あ……、ったく!! 帰っちまったじゃねぇか!! また、めんどくさい形で機嫌悪くさせやがって!! ヨンファ!!」

 と、キム・テヤンの声が響いた。

「え? え、ぇ……? ぼ、僕なの? て、テヤンのせいじゃないのかい?」

 と、ドン・ヨンファが動揺しつつ、反論しようとするも、

「ああ”? 何で俺のせいなんだよ!! 十中八九おめぇのせいだろがッ!!」

「な、何でだよ、」

 と、口の悪く声のデカいキム・テヤンに、ますます圧されてしまう。

 そのようにしていると、

「――へいへい、君たち、その辺にしてくれ」

 との、カン・ロウンの声がしたのと、同時、


「「――へ?」」


 と、キム・テヤンとドン・ヨンファは、自分たちの身体に働く違和感を感じるとともに、

 ――タッ、タッ、タッタカ――♪ タッ、タッ、タッタカ――♪ 

 などと、ふたりは勝手に体が動き出し、ダンスバトルを始める。

「ちょっと!? か、身体が勝手に――!?」

「お、おいおいおいおい!! な、何しやがんだ!!」

 と、意思に反してダンスしながらも、ふたりが慌てたように叫んでいると、続いて、


 ――パチンッ……!


 と、今度はカン・ロウンが指を鳴らすとともに、

 ――フッ……

 と、ふたりにかかった【術】が解けるや、

「う、うわっ!?」

「うぉぉっ!?」

 と、ふたりは同時に、漫画のようなリアクションでけ、地面に崩れた。

 続けざま、

「いてて、て……、まったく!! 変なことしてくれやがって!! ロウン!!」

「そ、そうだよ!! 僕たちに、その、術を使わないでくれよ!!」

 と、ふたりは起き上がりながら、抗議するも、

「――それで、ソユンが帰ってしまったのは、もう仕方ないことだ。とりあえず、残った我々で、話し合うしかないだろ」

 と、カン・ロウンは、ふたりのことなどお構いなしに、マイペースに話を進めていく。


「けっ、スルーしやがって……」

 キム・テヤンが舌打ちしつつ、

「――で? どういう話を、していくわけだ? このナヨナヨしたヤツの、しょうもない調査なんざ、何も役に立ちそうもねぇしよ?」

「そ、そんな言い方しなくても、いいじゃないか、」

「まあ、そこまで役に立たないわけじゃないだろう。それに、ヨンファの友人たちも調査に協力してくれるようだから……、もしかすると、今後、有用な情報も得れるかもしれないだろ」

「けっ……」

 と、ドン・ヨンファを擁護するカン・ロウンに、再び面白くなさそうに舌打ちした。

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