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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第三章 事態は動くか

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29 平日の昼間っから暇そうにしている、タダのオッサンコンビ




         (4)




 やや、時間は前後すること――

 ランチというには少々早く、ちょうど、ティー・ブレイクかコーヒー・ブレイクといった頃合いか――?

 同じく、ソウル市内の、洒落たカフェのテラスにて、 


「――まったくよぅ、昼間っから、お前さんと会わなきゃいけないのかよ? ロウン」

「まあ、そう言うなよ、テヤン。たまには、こういうのもいいだろう?」


 などと、中年ふたりが声を交わした。

 会話に出てきた名前のとおり、昨夜も屋台で飲兵衛していたふたり――、SPY探偵団のカン・ロウンと、キム・テヤンの姿があった。

 高級そうなスーツ姿に、丸サングラスのカン・ロウン。

 それから、キム・テヤンの方はというと、屋台のオヤジ・モードの印象が違って、ちょい悪オヤジ風のダンディな中年モデルのように、ファッションはキマっているという。

 そんな、SPY探偵団のふたり――

 社会に溶け込み、なおかつ、【念能力っぽい能力】を用いて調査をする――、といえば聞こえがいいのだが、傍から見るに、平日の昼間っから暇そうにしている、タダのオッサンコンビにしか見えなかった。

 まあ、そもそもが、探偵団などと名乗っているが、どちらかというとサークルのようなノリであるが。

 そして、その彼らのコードネームも、使っているのか使ってないのか分からないという……


 それはさておき、オーダーを任せた、“スタイル”ことカン・ロウンが、レジの方へ行っている間、

「ふぅ……。どうするかな……?」

 と、コードネームは“チジミ屋のオヤジ”こと、キム・テヤンは溜め息しつつ、すこし虚ろな様子で、雑踏を眺めてみた。

 それこそ、椅子にもたれる様が、モデルのように絵になっていながら。

 ふたりは、昨夜に引き続いて、今回の調査について話にきていた。

 その中でも、特に気にかかることは、犯人と思しき存在、すなわち【茶会】の【主催者】なる者から、自分たちのメンバーのパク・ソユンに、【招待状】が届いたということ――

 すなわち、パク・ソユンが【ターゲット】になっているという、緊迫的な状況だった。


「……」

 キム・テヤンは、思う。

 “あいつ”の――、ソユンのことだから、そう簡単にやられることは、ないとは思う。

 だが、その“茶会”ってのを主催する連中に、これまで招待状が送られた者は、すべからく、皆拉致されていたというのは揺るぎなき事実だ。

 そして、恐らくは、自分たちが想像するように、【毒劇物のブレンド茶を振る舞う】などという、イカレた【もてなし】をしている可能性も高い。

 そんな、得体の知れない存在に、万が一、パク・ソユンが拉致されてしまったら……

 キム・テヤンが、そこまで考えたところ、


 ――ホワン……


 と、何か、甘く上品な、春を感じさせる香りが漂ってきた。

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