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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第三章 事態は動くか

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26/71

26 まあ、だいたい普通は【A】か【K】を仕込む――、いや、そもそも、普通は袖にカードを仕込んだりしないのだが……




          (2)




 翌日――

 ――というか、そもそも、時空は定かではない。

 【ゲーミング兼六園】とでもいうべき、絢爛豪華な坂の庭園のような異世界空間のこと、


「ふぇっ、コラッ……、しょういちッ――!!」


 と、松や桜を眺める中、設けられたポーカーのテーブルにて、盛大にクシャミをしたのは、黒の着物姿のタヌキ――

 ――いな、狐耳の妖狐の、神楽坂文だった。

 鼻から、某鼻毛を武器にするマンガの主人公のごとく、舞い散らんとする鼻水に、

「うわッ!? 何やってんだよ! このクソポンコツダヌキ!!」

「シネゴミッー!!」

 などと、異形だったり、ヒトガタをした者たちがヤジる中、

「ひぃッ!! きったな――」

 と、タヌキこと妖狐の隣に座っていた、古い神話にでも出てきそうな闇落ちしたイザナミ風の女が、もっともな反応をするかと思いきや、

「……く、ない」

 と、『汚くない』と訂正した。

 あろうことか――?

 そこには、先ほどまで鼻水だったものが、青い薔薇へと――、美しくもカリスマ的な活け花作品へと、“変化へんげ”していた。

「……てか、むしろ、めっちゃ綺麗」

「何? 逆に、めっちゃムカつくんだけど。ほんと、死んじゃえよ、タヌキ」

「てか おい!! こいつ、袖に【ジャック】しこもうとしてんぞ!!」

「だから、ドレスじゃなくて、着物着てんのかよ!!」

「てか、何で【J】何だよ? 普通は【エース】じゃねぇのかよ?」

 と、【神そうな奴らはだいたい友達】なメンツがガヤる中で、妖狐はカードを袖に仕込んで不正使用としていた。

 この仕込んだ【J】を、次に【J】と何かの手札が来たときに差し替えることで、【J・J】という、微妙に強い初手ができるわけである。

 まあ、だいたい普通は【A】か【K】を仕込む――、いや、そもそも、普通は袖にカードを仕込んだりしないのだが……


「ったく、邪魔じゃねぇか!! てめえの鼻水よう!! クソダヌキ!!」

「フハハ」

 妖狐はドヤ顔するも

「フハハじゃないわよ。どかしなさい。殺すわよ」

 と、隣の闇落ち女に言われ、「やれやれ」と、どかしてやる。

 再開しつつ、

「しかし、クシャミとは……? 誰かが、噂でもしておるのか?」

 と、妖狐は不思議そうな顔で、虚空を仰いでいた。

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