24 パッと見、チヂミ屋のオヤジ
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――ここで、場面は、ふたたび屋台のほうへ戻って、
「何でい? 収穫って、それくらいかよ? ダチと『ああでもない、こうでもない』って、喋ってきただけじゃねぇか!!」
と、聞き終えて開口一番、キム・テヤンが呆れながらも、ドン・ヨンファを罵った。
「おいおい、そう言わないでくれよ、テヤン。日帰りで釜山行ってきたの、疲れたんだよ」
「けっ!! それくらいで労ってくれってか? しかも、役に立ちそうな情報も、鼻クソのオマケ程度と来てやがる!!」
キム・テヤンが、ワーワー言っていると、
「まあ、いいじゃないか。その、ヨンファの友人の、【植物関係】のネットワークとやらは、少し調べてみる価値はあるだろう……。テヤン、少し、協力してくれないか?」
と、カン・ロウンが宥めてつつ、頼んできた。
パッと見、チヂミ屋のオヤジのキム・テヤンだが、夜の街に人脈、情報網を広く持っていることから、頼りにしているのだろう。
「ああ”? ……まったく、仕方ねぇなぁ。協力してやるよ」
キム・テヤンは嫌そうな顔しながらも、カン・ロウンの頼みを吞んだ。
「本当? ありがとう、テヤン!」
「何言ってんだって! お前も調べるんだぜ!」
喜ぶドン・ヨンファを、キム・テヤンは一喝して鬱陶しがる。
そのような、彼らの様子を、
「……」
と、パク・ソユンだが、若干のしかめっ面で、「うるさいわね……、こいつら」という目で見ていた。
相変わらず、殺人クラスの激辛カクテルを、チビチビ……と飲みながらであるが。
いったん、
「まあ、そんな感じで……、マーさんたちとも併せて、幅広く調べていくしかないだろう」
と、カン・ロウンがまとめる。
「ああ……」
と、キム・テヤンが頷いた。
頷きながらも、
「ただ……、そんなに猶予は、ないぜ……」
と、やや、顔を険しくさせた。
これまで【招待状】が届いた者は皆、例外なく茶会への“迎えがきた”=“拉致”されたという事実を踏まえれば、そんな時間的な余裕は無いだろう。
「……」
ドン・ヨンファと、
「……」
丸サングラスのカン・ロウンが、重い顔で沈黙する。
ただ、そのいっぽうの、まさに当事者のパク・ソユンだが
「……」
と、同じく無言ではあるが、こちらは不機嫌そうな顔で、チラッ――とだけ、キム・テヤンの方を見ていた。
すると、そのタイミングで、
「――奴さんは、いまも、“コイツ”を――、ソユンを、狙っているんだからな」
と、キム・テヤンが、パク・ソユンのほうを指してきた。
パク・ソユンが、
「……」
と、ゆるり……と、キム・テヤンの方を振り向く。
激辛成分と、アルコールが回っているのか――? 少々火照った顔で、若干、機嫌の悪そうなままにして。




