23 何か特別な思い入れ……、もしくは、感覚や感情、それか――? フェチズムのような何か
「そう言えば……? 確かに、そんな感じの、“締め”だったね」
遅れて、ドン・ヨンファが呼応した。
まあ、つい昨日の事なのだが、招待状の文言のことなど、そこまで気に留めてはいなかった。
また、ノア・ネルソンが言う。
「この招待状から、単純に察するに……、犯人は、痛覚、痛みに対して、何か特別な思い入れ……、もしくは、感覚や感情、それか――? フェチズムのような何かがあるんじゃないのかな?」
「思い入れ、だって……?」
「まあ、これも、僕の想像だよ。――というか、君より先に、僕がさ? 色々と思い浮かんで、どうするんだい? まあ、君が、少しのんびりした性格の人間なのは知ってるけど」
「それは、悪かったね」
しっかりしてくれよと茶化され、ドン・ヨンファがすこし拗ねてみせる。
「どうだい? 僕も、君たちの探偵団ってのに、入ってやろうか?」
「ま、まあ、手伝ってくれるなら、頼むかもしれないけど……」
冗談交じりに言うノア・ネルソンに、ドン・ヨンファは軽く流す。
また、ノア・ネルソンが、
「しかし……、痛みというものに対して、何か特別な思い入れや、こだわりがあるのだとすると……、その、激痛をもたらす茶を提供するってのは、主催者なりの、“もてなしの心”――、というわけなのかな?」
「かも、ね……。まあ、拉致してからの“おもてなし”とは、とても、まともな主催者じゃないけどね」
と、ドン・ヨンファは答えた。
未だ、具体的な像の思い浮かばない主催者に、何か、得体の知れないものを感じながら……
そのように、主催者の犯人像について、ああでもない、こうでもないと話しながらも、
「とりあえず……、主催者の人物像を想像するのは、この辺にしてさ? もうすこし、話を進めていこうよ、ヨンファ」
「うん、そうだね」
と、ふたりは、より具体的な話をする。
ノア・ネルソンが続けるに、
「その、さっき話したようなネットワーク、闇の取引に関して、なんだけどね」
「う、ん……」
「その中で、恐らく、誰かの――、【代理人】たちがクライアントとなっているネットワークが、あるみたいだね――」
「代理人、かぁ……」
と、ドン・ヨンファが、すこし重い表情で言葉にしつつ、
「ねえ? そのクライアントって、誰だか分かる?」
「おいおい? 僕がそこまで知ってたら、君たちの商売あがったりじゃないかい? まあ、君たちは、商売でやってるんじゃないんだろうけど……」
と、ノア・ネルソンが、何でもかんでも期待して聞いてくるドン・ヨンファに、勘弁してくれよとつっこむ。
「とり、あえず……、君の情報網でも、“それ”は分かんないってことだね」
「ああ、今のところ、はね……。まあ、だからこそ、もう少し力を入れて調べてみる必要があるね」
「それは、つまり、調査に協力してくれるってこと?」
「ああ、そういうこと――♪」
と、ノア・ネルソンが快く答える。
「裏、表含めて、“幅広い人材”がいるからね。僕の、無理のない範囲内でなら、君たちに協力するよ」
「ありがとう、ノア」
ドン・ヨンファは礼を言った。




