17 グ、ヮシッ……!!
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ここで、またまた場面は変わる。
地下室と思しき空間――
そこで行われる、【茶会】のこと。
「……」
と、主催者の者は、静かにしながらも、不満を……、なおかつ、多少の不快感を感じていた。
目線の先には、すでに、“客人”の果てている姿があった。
胃が、毒劇物により、もはや治療・回復不能に不可逆的に破壊された痛み――
逃れることのできない苦痛・激痛と、それらを与えられた過程の恐怖に、蠢き、泣きじゃくる様。
恐らく、脳も、萎縮しきっていると思われる。
しかし、そんな客人の姿を見ながらも、
「ふぅ……」
と、主催者は溜め息交じりに、半ば呆れた冷たい目で思う。
まったく……
この客人は、失礼か、と思わないのだろうか……?
「うー……」だの、「あー……」だの、「やめてくれ……」だの、唸り声と悲鳴をあげるばかりであり……、まったくもって、客人としての、作法がなってないというべき、か……?
もっと、どうして――?
客人として、もてなされること、茶を味わうということができないものか――!!
主催者としては、まことに残念なことだ……!!
――と、ここまで、心の中で声にしたところで、
「……」
と、主催者は、従者の者たちに、目くばせをした。
察して、従者のものたちは、
――サ、サッ……
と、静かにして、しかしながら迅速に、また別の茶と、ティーカップを持ってくる。
それを、主催者は優雅にも飾らぬ仕草で、流れるように、実に手際よく茶を立てる。
そのまま、客人のほうへ、歩み寄るや否や、
――グ、ヮシッ……!!
と、後ろから手をまわし、頭を鷲掴みにする。
「ひっ……!?」
と、すでに虫の息の客人が、ビクッ――!? と怯える。
「――いい、でしょうか?」
まるで、脳に響かんとする声色で、主催者が、何かを言わんとする。
同時に、最強クラスの激痛植物を――、ギンピギンピの茶を、何とでもないかのような静かな顔で、
――ぐ、ぃっ……
と、自ら試飲をしてみせつつ、続けざま、
「ひっ!? や、やめ――!?」
と、客人の後ろから手を回し、強引にも、“それ”を“ふるまって”やる。
「ぐぅ!? ごぇ”ぇ”ー!!」
と、客人は拒もうとするも、容赦なく、すべて飲まされる。
すると、すぐに、
「ぎぃ!? や”ぁ”ぁ”ぁー!!!!」
と、客人から絶叫があがる。
そんな、常人であれば聴き続けていれば、こちらの精神までおかしくなりそうな音がする中で、
「痛覚から――、神経系からもたらされる協奏……。激痛に――、【痛み】というものに、こそ!! 生の、歓びがあるのです!! 生命の息吹く麗らかな春に、御茶とともに感じる……、まさに、【痛覚の饗宴】とでもいうべきか……!!」
と、主催者は、ときに静かに……、ときに抑揚を織り交ぜ、この【茶会】の素晴らしさを語る。
なお、強引にティーカップを口にあてられた客人だが、
――ガタガタ、ガタガタッ――!!
と、壊れたように震えつつ、
「ひぎっ!? ギギギィ……!!!」
などと、もはや呻き声にもならぬ奇妙な音を上げる有り様だった。
そんな客人に対し、主催者は、
「“それ”と言うのに……、私は、喜んでいただけるような客人を、かねてから招待しているというのに……!! 貴方も、このザマかッ……!!」
と、こんどは打って変わって!! 豹変するがごとく――!!
怒気のこもった声色で、頭を鷲掴みにしている手に力を入れる!!
――ググ、グッ――!!
と、頭を握る手は、スラッとしながらも、怪力とでもいうべきか!!
その力は、プレス機にも匹敵する!!
「ギィィッ……!!!」
頭が、脳が半ば潰れかけながら、客人から断末魔が上がる!!
そして、
「ガ、ハァッ――!?」
と、最後に吐血を――!!
それも、まるで内臓も溶けたかのように、ドロドロに濁ったようなナニカとともに吐きつつ!! 客人は絶命してしまった……
そうして、屍になって垂れた客人を横に、主催者は、気分直しに、茶を飲みながら言う。
「――さて? 貴方は、いかがでしょうか……? ジグソウ・プリンセス」
と、ひとり言った主催者の目の、瞳の見る先――
そこには、動じること無さそうな目をした異能力者。
DJ・SAWこと、パク・ソユンの顔写真があった。




