15 どこか、忌々しい言霊のような響き
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――そんなこんなで、仕切り直して。
カン・ロウンは、これまでの経緯だったり、SPY探偵団で考えている仮説などを、マー・ドンゴンとチャク・シウの刑事コンビに話した。
「何だ? すると、お前らも、この【茶会】ってので、劇物・毒物が“招待客”に“ふるまわれて”るって考えているのか?」
「まさかの、貴方たちの珍説と、似たものになるとはね――」
と、ひととおり話を聞いたふたりが、そう反応を返した。
「お前ら“も”――とは、マーさんたちも、同様の可能性を考えていたのかい?」
カン・ロウンは引っかかって、尋ねる。
「まあ、招待状に書かれた化学式や、神経図……ですか? そこから、似たような推測になることも、あり得るんじゃないですか?」
と、チャク・シウが答え、
「まあ、こいつの言ったとおり、招待状のデザインからの推測だ……。それで、いちおう警察も、ソウル市内外で、何か毒劇物についての盗難や遺失、違法取引についてあったかどうかを調べている最中だ」
と、続いて、マー・ドンゴンが答えた。
「ああ、まさに、その情報だ。さっき、署の連中に見せてもらいたかったのは」
「だからって、いちいち踊り騒ぐなってんだよ!! まったくよぅ」
マー・ドンゴンが、「やれやれ」と呆れながらも、続ける。
「それで、ロウン? お前たちは、その……、毒・劇物だけでなく、何だ? ギンピ、ギンピっていったか? その、触っただけでもマズい有毒植物が用いられているとか、考えているんだったな?」
「ああ、そのとおりだ。まあ、マーさんたちは珍説と思うかもしれないが、可能性の一つとして――、もしくは、招待主の“趣向”の一つとして、我々は考えている」
「趣向、ねぇ……」
と、そいつは趣味の悪い趣向だと、マー・ドンゴンは顔をしかめる。
また、
「――それに、マーさんたちは、“こっちの招待状”は見たことはあるかい?」
と、カン・ロウンが画像を見せる。
そこに映るは、先日の、屋台でメンバーたちと確認した“調査資料”。
招待状のデザインというのも、いくつか種類があるか、あるいは毎回変えているのだろう。
「ん? 何だ? また、化学物質か何かかよ? しっかし、相変わらず趣味の悪い招待状なこった」
「もしかして、この化学物質が――、その、ギンピギンピと、何か関係があるんですか?」
と、顔をしかめたままのマー・ドンゴンの横、チャク・シウが聞いた。
「ええ。この、化学物質が、ギンピギンピの神経毒の成分で、モロイジンというらしい……」
「モロイジン、ですか……」
チャク・シウが、復唱するように唱えた。
変わった化学物質名であるが、どこか、忌々しい言霊のような響きを感じながら……




