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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第二章 やわやわと調査する

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11/71

11 ノリノリな曲から、カタルシスを感じるほどに美しいトラック

 つっこみつつも、気を取りなおして、

「まあ、とりあえず、もう配信の時間だ。そっちに専念しようぜ、ソウ」

「警備のこととかは、さ? こっちに任せて」

 との、ふたりの言葉に、

「うん。わかったー」

 と、“ソウ”ことパク・ソユンは、あまり分かってなさそうな「分かったー」で答えつつ、軽やかにDJブースのほうへ向かう。

 向かいつつ、

 ――くる、りっ――

 と、振り向き、

「ああ、そうそう。あんまし、誰かを疑いたくないんだけどさ……、念のため、ここに来た人の中にも、怪しそうな人がいないかどうか? いちおう見ておいてくれる?」

「ああ、分かったよ」

「配信のほうも、“変なの”がいないか見とくから」

 と、言葉どおり念のため、パク・ソユンはふたりに頼んだ。


 そうして、DJブースに登壇するパク・ソユンこと、DJソウ――

 春をイメージした、エレガントかつカワイイ系の要素も含みつつ、ややセクシーさのあるヘソ出しスタイル――

 そんな装いで、DJプレイするは、EDMに、ハードスタイルと……、ギャップがありつつも、いわゆるカッコいいものだという。

 ーードッ、ドッ、ドッ、ドッ――!!

 との特徴的なドラムに、ノリノリな曲から、カタルシスを感じるほどに美しいトラック――

 それから、途中には、おふざけのようにリメイクしたお遊びトラックと……

 変化のあって飽きさせない選曲と腕は、確かなものだ。

 現場と、ネット配信ともに、ファンたちを盛り上げさせる。

 もちろん、パク・ソユン自身もノリよく、なおかつ、モデルとしても映えるプレイしながらも、


「……」


 と、一瞬だけ――、さっと眺めてみた。

 まあ、人間観察術の一種とでもいうべきか――

 このような、ファンを含めて、多くの人間がいる中で、サッ――と、まるでスキャンするがごとく、何か“ピン”とくる人間がいないかどうか――? それを“観察”する能力を、持っていることには持っている。

 というのは、SPY探偵団のメンバーとして活動しているのことも理由のひとつなのだが、ファンの中にも、悪質というか、度が過ぎた者がいること。

 それから、ビジネスでも多くの人間のつながりがあるが――、いや、むしろ、こちらのほうが魑魅魍魎かつ玉石混交だろう、よこしまな悪意を以って接近してくる者も珍しくはないため、そのような観察眼は必須だった。


「……」

 と、パク・ソユンは気づく。

 いちおう、どこか“ねっとりした視線”は、いくつか“ある”。

 異性であれ同性であれ、好意からの、ストーカーのような者か……?

 あるいは、わざと近くに現れに来る、アンチか……?

 ただ、例の招待状から感じるのは、“それら”ではない。

 もっと、“何か異質”とでもいうべきかーー?

 そのように考えながらも、


「(おっとぉ……?)」


 と、パク・ソユンは一瞬、ハッ――と、我に返ったような表情をした。

 おっとっと――、である。

 SPY探偵団のメンバーとしての自分というのはさておいて、今はあくまで、DJとして活動をしている自分である。

 うっかりと、調査のことを考え、それが表情に出てしまったが、“それら”は後にしておくべきだ。

「――♪」

 と、パク・ソユンは気分を切り替え、軽快にリズムに乗りつつ、首にかけたヘッドフォンを片耳へとやった。


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