10 若干どころか、けっこう神経が図太く
(2)
ふたたび、場面は変わって、
「ちょっと!! 何で、そんな大事なこと、私たちに黙ってたのよ!! ソウ!!」
と、スタッフの女は声をでかくして、“ソウ”こと、パク・ソユンに迫った。
それも、そのはず――
例の“如何わしい招待状”が届いたという、おいそれとは放っておけない事態にも関わらず、パク・ソユンは今の今まで、仕事仲間のふたりに言ってなかったわけであり、そうやって憤られるのも無理もなかった。
「そうだって……。それに、よりにもよって、配信前に、って……」
男のほうも、やれやれと呆れたように言うも、
「ん? まあまあ、そんな怒んないでよ、ふたりとも。てか、そんな驚くこと?」
「「あのさぁ……」」
と、「それが何か?」と云わんかのごとくケロッとするパク・ソユンに、ふたりはそろって呆れ、その先を言うのをやめた。
呆れつつも、
「それで、いつ? その、“招待状”が来たの?」
と、女が仕方なさそうに、パク・ソユンに聞く。
いちおう、何か猟奇的事件の香りのする招待状ゆえに、パク・ソユンの身を案じざるを得ないのだろう。
「ああ? えっ、とぉ……? 昨日……、だったかな? ポーカーしてたらさ、すっかり忘れちゃってたってのもある、かも……」
パク・ソユンは、呑気そうに答える。
まあ、昨夜、SPY探偵団の仲間たちには招待状の話をしているため、厳密にいうと、その時点で、招待状のこと自体は思い出していたはずであるが……
「忘れちゃってた、って……。てか? 何で、アンタは、そんなにケロッとしてんのよ?」
「ほんと、神経が図太いだろ? ソウ」
「ちょっと? 神経が図太いって、失礼な」
そう答えながらも、パク・ソユンはズズッ――と、ストロベリー抹茶フラペチーノなど飲んでおり、傍から見れば、若干どころか、けっこう神経が図太く見えなくもない。
そのようにしながらも、
「――で? どうするのよ、ソウ?」
「俺たちでできることなら、何か協力する。何せ、この招待状が届いた人は皆、その姿を消しているってのが気になる……」
と、ふたりは心配して、提案してくる。
「んん~……? そうね……? せっかくだから、こっちから犯人を調べてみる、とか……?」
「は? 調べるって?」
「おいおい? そんなこと、できるわけ?」
と、怪訝な顔するふたりに、
「さあ、分かんないわよ。……ただ、私に招待状が来たってことは、送り主は、私と接点のある誰か――、仕事の関係者か交友関係か、それとも、ファンの誰かなのか――? の可能性が、あるんじゃない? まあ、無差別的に、ランダムに送ってたものだったら、アレだけど……」
「「はぁ……」」
と、答えるパク・ソユンに、ふたりは気の抜けたような相槌をする。
「ちなみに、まさかのまさかだけど……、招待状の送り主って、アンタたちじゃないよね?」
「「いや、違うし。――てか、どっちかってと、アンタのほうが、“そんなこと”しそうなんだけど……」」
半分冗談で聞いたパク・ソユンに、二人がつっこんだ。




