学園生活
今日から学園が始まる。今日は一日テストだ。
ここカラナリア学園は貴族のみが通うため、高位貴族の子息令嬢が成績が悪いと揉める素になるからテストの順位は出ない。だからといって勉強をしなくても卒業出来るのかと聞かれると返事は『出来ない』だ。
学園の仕組みは
・テストをする。
・規定の点が取れなければ追試・補習・宿題をする。
・最後には退学だ。
そんな事になると今後貴族社会にはいられないのでここで救済策が出て来る。
時々爵位継承や結婚で学園をやめる事があるのでそこに紛れ込んでしまえば勉強についていけないという本当の理由を隠して退学できる。
その後は仕方なく学園を退学したことにして貴族社会で過ごすが、肩身の狭い思いをしなければならない。
学園を卒業する事は貴族の子息令嬢にとって必須となっている。
「終わったぁ」
「まだ、午後からもあるよ」
「とりあえず昼食を食べに行こう」
サリカ、僕、ソルティーとニコニコ微笑んでいるアンドレア。
昼食は食堂で出してくれる。食堂内で食べても良いし、持ち運んでも良い。天気の良い時は外で食べる生徒も多いそうだ。
教室を出て食堂へ向かう。全ての生徒がぞろぞろと向かっていた。食事を受け取ろうと列に並んでいると声をかけられた。
「クロード君」
「く、クラリッサ様」
「クロード君、私達はあの場所にいるから一緒に食べましょう」
クラリッサ様が言われた場所には煌びやかな先輩達が食事をしていた。
「あの、僕、友達と一緒に食べるので」
「友達も一緒で良いわよ。えっと、四人かな」
ソルティー達を見て言われたけれど、ソルティーとサリカは首を横に振っている。
「クラリッサ様、やはり「あちらを見て」」
クラリッサ様に言われた方角を見るとシャーリン様がこちらを見ていた。
ソルティーと顔を見合わせてしまう。
「クロード、クラリッサ様達の所にお邪魔しよう」
「そうだね」
「ちょっと、どうしてなの?」
サリカはまだ嫌がっている。
「ごめん。後で説明するから」
サリカやアンドレアには申し訳ないと思う。僕もあんなに煌びやかな先輩との食事は緊張するけれど仕方がないんだよ。シャーリン様の顔が怖いから。
クラリッサ様は生徒会の先輩達と食事をしていたらしい。受け取った食事を持ってテーブルに行くと先輩達は四人分の席を開けてくれていた。
「クロード・スロイサーナです」
「ソルティー・サナタカヤワです」
「サリカ・ムニカナフです」
「アンドレア・タニニソートです」
自己紹介をする。
「副会長のネルソン・ロフストだ。クロード君の事は会長から聞いている。気にしなくていい」
「会計のアマーリエ・イートンよ」
「書記のナデニール・ハミルド」
先輩方も名前を教えてくれた(後から聞いたら皆んな先輩の名前を知っていた。生徒会の有名な先輩だった)
「「「「よろしくお願いします」」」」
「座って。食べましょう」
クラリッサ様に薦められるがどこに座ろうか。
「クロード君、会長の隣りへ座って」
ネルソン先輩がなんだかニヤニヤしている。
「な、ネルソン、な、何を」
「会長、クロード君のお世話係なんでしょう」
「そ、そうだわ。クロード君ここへ」
ソルティーも頷いているからクラリッサ様の隣に座る。他の皆んなも席に着いた。僕の隣りにソルティー。前にサリカ、サリカの隣りにアンドレアだ。
食事は初め、ぎこちなかったけれど先輩方が話を振ってくださったので次第に和気藹々となっていた。
「今日、一年生はテストよね。テストは出来たかしら」
「はい、ソルティーから話しを聞いていたので学園に入る前に少し勉強をしていました。何とか出来たと思います」
「そう、偉いわ」
そう言ってクラリッサ様は僕の頭を撫でる。
「く、く、クラリッサ様」
たぶん僕は真っ赤になってる。顔が熱い。
「あ、ごめんなさい。可愛いくって。弟ってこんな感じなのかしら」
クラリッサ様がやめてくれない。恥ずかしい。
「会長やめてください。クロード君が可哀相です」
「えぇっ」
「えぇ、ではありません。周りを見てください」
ネルソン先輩の言葉で顔を上げると真っ赤になったサリカが見えた。
「仕方ないわね。さあ、午後からもテストなんでしょう。食事をしてしまいましょう」
その後の食事は羞恥で味がわからなかった。食事も終わり教室に戻ろうとした時にクラリッサ様から声をかけられる。
「これからも一緒に食べましょうね」
「えっ、あの、僕達だけでも大丈夫だと思います」
これは断らないとダメだ。他の三人の目が『断って』と言っている。
「うーん。クロード君に何かあったら義兄様やジルベール様から怒られてしまうわ。私はお世話係だからね」
そんな、こてん、と首を傾げてこちらを見ないでください。綺麗な人がやると…ドキドキします。
「でも、先輩方の迷惑になります」
「クロード君、数日は一緒の方がいいと思うよ」
ネルソン先輩がシャーリン様の方を見ながら
「彼女の事もあるから、数日は一緒にいて様子を見よう。君達もいいかな」
にっこりと微笑んで、ソルティーに聞く?確定の確認?をした。
ソルティーはビシっと背筋を伸ばして
「はい。よろしくお願いします」
と言った。
ソルティーどうしたの?
明日からもあの煌びやかな先輩方と一緒かあ。
嫌では無いけど緊張はするんだよ。
クラリッサ様に頼んだジル義兄上をちょっとだけ恨んだ。




