報告会
伯爵邸に帰るとユリウス義兄上とスージー姉上が応接室で伯爵家の皆さんと歓談している。
「義兄上、姉上どうしたのですか」
「クロードに学園の事を聞こうと思ってね」
「一緒に昼食を取ろうと話していたところだよ」
伯父上が言うけれど、
あれっ
「伯父上と義兄上は仕事中ではないのですか」
王宮の仕事中でも昼休憩はあったけれどここに帰って来ると時間内には戻れない。
「まあ、そこは、あれだ」
「あれ、ですか」
なんだ、あれ、って。
「私はイーサン殿下に許可をもらって来ている」
義兄上は殿下了承済みらしい。
「ユリウス君の裏切り者っ。私はどうせ今日も遅くまで仕事だから少しぐらいは良いんだ」
伯父上、そんなに力説しなくても…
「まったく仕方がない。食事にしよう。クロード、学園の話を聞かせてくれ」
「はい」
お爺様促され皆んなで食堂へ移動し、食卓に着く。お爺様、お婆様、伯父上、伯母上、義兄上、姉上、僕の7人だ。
「学園はどうだったかな」お爺様
「とても広くて建物も大きかったです。今日は講堂と教室だけだったので他の所も行ってみたいです」
「図書室や食堂は良く使いますね」お婆様
「探検のようですね。楽しみです」
「「ハハハ」」
「ソルティーと同じ三組になりました」
「良かったわね」姉上
「ソルティーの幼馴染みのサリカ・ムニカナフ男爵令嬢とアンドレア・タニニソート伯爵令嬢とも友達になりました」
「やるなぁ、クロード。もう女子とも仲良くしているのか」伯父上
「伯父上、友達です。ソルティーの幼馴染みだから話し易かったんです」
「貴方、大人げないですわ」伯母上
「そういえばクラリッサ様が声をかけてくださいました」
「クラリッサ・ハイダミオ公爵令嬢か」お爺様
「はい」
「確か、三年で生徒会長よね。知り合いなの?王宮で会ったことでもあったの?」姉上
「いいえ、初めてお会いしました。ジル義兄上が僕の話をしたそうです」
皆んながユリウス義兄上を見る。
「あぁ、イーサン殿下の執務室でそんな話をしたな。クロードが入学するから一言いっておく。と言ってた」義兄上
「クラリッサ様はその、」
「何かあったの」お婆様
「僕の世話を頼まれたと言って席まで案内してくださったのですが、他の人は自分達で席に着いていたので目立ってしまって…恥ずかしかったです」
「まあまあ」お婆様
「あらまあ」伯母上
「クラリッサ様は綺麗で優しくて淑女よね」姉上
「はい。とても人気があるみたいです。頼まれたからとはいえそこまでしてもらって申し訳なかったと思います」
『いやいや、クラリッサ様の可愛い物好きは有名だ。クロードは気に入られたんだろう』六人の心の声
「シャーリンとは会ったか」義兄上
「シャーリンって」姉上
「シャーリン・マキアリア侯爵令嬢」義兄上
「こちらを見ていたのを見ただけです。話はしていません」
「何かあるのか」伯父上
「クロードがイーサン殿下の所に出入りしているのが気に入らないらしい」義兄上
「あぁ、なるほど。それでジルベール様が動いたのか」伯父上
「シャーリン嬢がイーサン殿下に恋慕しているのは有名だからな」お爺様
「イーサン殿下なのか王太子妃の座なのかはわかりませんけれど」義兄上
「シャーリン様は一組だし義兄上達の考えすぎだと思うんです」
「クロードは良い子ね」伯母上
皆んなが頷いている。僕はもう14歳なんだから良い子は無いと思うよ。
食事が終わり伯父上と義兄上は王宮へ戻った。僕達はお茶をしながらもう少しお喋りする。姉上とは久しぶりだからね。
…イーサン殿下 執務室…
「戻りました」
ユリウスが戻って来た。今日はクロードの学園入学の日。ユリウスは入学式の様子が知りたいと言って昼休憩を長めに取ってアイマリクト伯爵邸へ行った。伯爵家の方々とスージー、クロードが一緒に昼食を食べると知って仕事を止めた。あの仕事中毒のユリウスがだ。驚いたけれどあんなに可愛がっているクロードの事だから仕方ないかとも思う。
「クロードはどうだった?」
「シャーリンの事は今日は大丈夫でした」
私の問いにユリウスが答える。
シャーリン、自分の妹なのに庇う事が出来ない。申し訳ない。
「クラリッサ嬢がクロードを気に入ったようです」
「あぁ、良かった。少しは安心だな」
「組も別れ、クラリッサ嬢も味方につけた。友人も出来たそうなので後は様子見ですね」
「そうだな。私も妹に探りを入れよう」
…クラリッサ・ハイダミオ…
クラリッサの性格ははっきりしているが、キツイ言い方をすることも無く面倒見が良いので同級生や後輩達から慕われている。そして、可愛い物が大好きだ。
今クラリッサはベットにぬいぐるみを丸く置きその中で熊のぬいぐるみを抱いて今日の入学式の事を反芻していた。
義兄にジルベール様の弟のように可愛がっている子の様子を見て欲しい。と頼まれた時はとりあえず挨拶さえすれば良いと考えていた。
「クロード君です」
受付の子に教えてもらったクロード・スロイサーナ君を見て固まった。
顔は平凡だけれどつぶらな目、少し小柄な体。上目使いで見てくるのは反則だわ。可愛い。
本当は席まで案内する必要は無かったんだけれど一緒にいたかったから席まで行ったわ。腕も触ってしまったわ。(きゃぁ)
明日からが楽しみ。私はクロード君のお世話を頼まれたんだから一年の教室に行っても問題ないわよね。そうだ、昼食も一緒に食べましょう。




