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2人の対面
俺は西野さんと一緒に帰ることになった。
手をつないで歩いていると学校の前にリムジンが止まっていた。
「……あれは……」
見覚えのある車だった。
「翼くん?」
西野さんが心配するように顔をのぞき込んできた。
「あ……いや……」
きっと、気のせい……だよね。そんなはず……
「南雲翼!」
聞き覚えのある声で俺の名前を呼ぶ。
顔を上げると、そこにはもう一人の西野有紗がいた。
「有紗さん……」
俺は、どうすればいい?
「……………毬紗?」
西野さんは少しためらいながら、問いかけた。
「……え?」
今明らかに"有紗"とは呼ばなかった。
「西野さん今なんて……」
「貴方、毬紗でしょ?こんなとこで何してるのよ。」
「有紗……………」
有紗さんが少しずつこちらへやってくる。
「やっぱ毬紗じゃない。元気だった?」
「その名で呼ばないで!!!!」
有紗さんは西野さんを殴った。
「2人とも待って……これはどういう事なの?」
「私は、西野有紗じゃない。」
有紗さんは、一言、冷たく返した。
「この子、私の双子の妹」
西野さんが立ち上がり、答えた。
「私の本当の名前は、西野毬紗」
「西野……毬紗……?」