2人の対面(2)
「翼……騙してごめんなさい。」
突然過ぎて頭に何も入ってこない。
この人は有紗じゃなくて、毬紗?
「毬紗、貴方は何をしたかったの」
西野さんが厳しい目つきで問いかける。
「学校の前って言うのもあれだから、私の家に行きましょ。」
俺はまたあのリムジンに乗った。
あの大豪邸につき、客間へ連れていかれた。
「毬紗、そろそろ話してくれる?」
「…えぇ。」
毬紗さんは、ゆっくりと話し出した。
───有紗さんと毬紗さんは双子だった。
両親はともに不倫していて、不倫した相手の間に子供を作ったらしい。
そこで、離婚を決意し別れた。
有紗さんは母親に、毬紗さんは父親に引き取られた。
有紗さんのお母さんは、元夫の兄と再婚したらしい。
だから名字は"西野"のままなんだそう。
一方毬紗さんは父親が元々お金餅だったけど、お金持ちの人と結婚したため、お嬢様となった。政府の通知を出すのも、毬紗さんのご両親がやるそうだ。
「これ……ほんとなの?」
「本当よ。私は、有紗が嫌いだった。私にはないものを有紗は持ってる。」
「毬紗……お父さんが政府の通知を出してるってことは、翼くんの最初の通知も貴方がやったの?」
「……そうよ。2人がくっつくって分かったから、邪魔してやろうと思ったの。」
「自分の名前にすれば良かったじゃない!なんであたしの名前なのよ!」
「翼に、愛されたかったの」
「……え?」
俺と西野さんは息を飲んだ。
「私、ずっと翼のこと見てたのよ。」
「ど、どこで俺を!?」
「登校する時、私の家の前通るでしょ?」
「あ……確かに……」
毬紗さんの家を初めて来た時、どこかで見たことある家だな…って思ったら……。
「ずっとずっと、好きだったの。」
毬紗さんは泣きそうになっていた。
「ま、毬紗さん……………」
俺はどうしたらいいんだろう、
有紗さんを取るべきか、毬紗さんを取るべきか。
「有紗、翼と少しだけ2人で話したい。いい?」
「分かった。」
有紗さんは客間から出ていった。
「毬紗さん、話って……………」
「翼、好き。大好き。」
「……っ。」
「……でもね、」
「ん?」
「私にも、ちゃんと自分に通知来たの。」
「……え?」
毬紗さんは携帯を取り出し俺に見せてきた。
『18歳おめでとうございます。
早速ですが、婚約者の情報を載せさせていただきます。
南雲梓1996年6月30日生まれB型』
「……俺の……兄ちゃん……!?」
「翼、最後にワガママ聞いてくれる……?」
「キスしたい、」
「……」
「……だめ?」
「……あ、いや……」
「そうよね……有紗としたいわよね……」
俺は黙って目をつぶった。
その次の瞬間、柔らかいものが口に触れた。
毬紗さんの匂いが広まってくる。
「ありがとう、翼……」
俺は黙ってその場から立ち去った。
部屋の外で待ってた西野さんを抱きしめた。
「翼くん!?」
「好きだよ……西野さん……」
俺が好きなのは、西野有紗なはずなのに……。
知らない間に、毬紗さんにも惹かれていたんだ…。
「あたしも好きだよ……翼くん……」




