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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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494話 金瘡医坊丸 急変と悪臭

今回のお話はお食事中に読むのは非推奨。

どうしても、お食事中に読んだ場合、自己責任です。

言ったよ!言ったからね!

ども、坊丸です。

今、犬山城に可及的速やかに移動中です。

が、自分と文荷斎さん、加藤さんや若衆だけなら、馬に駈足させては休憩、駈足させて休憩して、川を渡ってってなもんで一刻から一刻半程で着くんですが…。今回は婆上様もおりますので、早駕籠にて移動中です。なので、馬上の我々、常足にて移動中です。


え?なんで、婆上様も居るかって?

犬山城の佐久間盛次殿が危篤だからですが?何か?

主治医にして金瘡医の坊丸くんとしては何が起こったのか、マジで早く知りたいところなんですが…。


いやね、予想以上にデブリードマンしなきゃいけなかったせいか、抜糸が遅れてたのはわかってたんですよ。

術後一週間くらいのところで、全抜糸しようとしたら以外と治癒が悪いようで半抜糸…、にもいかなかったですよ、これがまた。

やむなく数日間置いている前回、やっと半抜糸ですからね。

本来は次回の明けを利用して抜糸完了にする予定だったんですが…。

自分としては予想よりもゆっくりだけど順調に回復していると思っていたんですが…。いやはや、どうなってるんですかね?


はい、そんなわけで、川並衆は前野さんのところの三男、勝長さんに先触れにて渡河のお願いをしておいたので、サクッと犬山城下に到着です。


犬山城にも先触れを出しておいたおかげで、スムーズにことが進み、すぐに留守居役の鷲見殿が迎えにきてくれました。

このあたりは、盛次殿の義母たる婆上様が同行しているのと、文荷斎さんの先触れのタイミングの巧さのおかげなんでしょうね。


それはさておき、城門や表御殿でのやりとりも短めにして、可及的速やかに盛次殿の居る奥御殿に向かいました。


「殿はこちらでお休みになっておられます」


奥御殿の一室に近づくにあたり、なんとなく異臭が。

そして、盛次殿の休む部屋の前に来ると明らかに便臭…。スカトールを中心とした悪臭がします。

おいおいおい、盛次殿は肛門括約筋のコントロールもできないくらいに昏倒してるんか?


「その声、鷲見か。ならば、義母上らが参られたのだな。義母上、坊丸殿、中村殿。お入りくだされ」


ええっと、盛次の声で部屋にはいるよう促されました。かなり弱々しい声ではあるけれど会話はできる状態なんですね。

では何故に、便…スカトールのにほひが?意識混濁状態ではないのか?


「盛次殿。参りました。入りますよ」


婆上様が襖を開け、部屋に入ると、部屋の奥からは更に強めの悪臭が…。

婆上様は立ち止まってしまい、小袖で鼻を覆っております。仕方ないよ、めっさ臭いもん。


「「「失礼いたします」」」


柴田家寄騎衆にして留守居役筆頭たる文荷斎と坊丸主従も部屋に入りますよ。そして、文荷斎さんは一度停止。そして、お部屋の外に脱出。

いや、地位に応じた仕事をしに来たんだから、少しは耐えようよ。婆上様と一緒に状況確認と今後の相談なんかするんでしょう?


加藤さんも顔をしかめておりますが、あの嫌気性菌が作り出した腐敗臭を一度嗅いだ事があるためか、耐えきりました。自分?ほんとは逃げ出したいけど、ギリギリで耐えてますよ。


「坊丸様、これを」

「ん。加藤さん。済まない。加藤さんもつけてください。婆上様と文荷斎さんにも渡してください」


ちなみに加藤さんから渡されたのは、布口面の改良品です。ていうか、ほぼ手術用マスクと同じ型に改良の上、口も鼻を覆う布部分を改良して少しばかり沈香の香りをつけてあるという改良型布口面の逸品。

まぁ、婆上様と文荷斎さんに渡したのは簡易版だから臭い消しはあまり期待できないけど…。


後ろで加藤さんが大奥様失礼しますとか言ってますから、自分で付けるのは難しいのかな?まぁ、とりあえず、自分は盛次殿の診察を…。


「坊丸か。すまんな」


かなり弱々しい声で目の焦点も微妙な盛次殿。


「失礼いたします。まずは、傷を」


力なくだらりと伸びされた足の包帯はめちゃくちゃ茶色いうえに臭いんですが…。

これ、綺麗に巻き取るの、色んな意味で辛いな…。


「加藤さん。鋏を」

「はっ」


鉄砲用の弾箪笥を改良した診察鞄ならぬ診察箪笥から速やかに鋏を出して渡してくれる加藤さん。

あ、婆上様と文荷斎さんは布口面をつけて部屋の入り口近くに座ってます。ていうか、座り込んでます。鷲見さんは袖で鼻を押さえながら、近くに居ますが…。辛そうです。


「では、失礼して」


ていうか、毎日傷の包帯は替えてくれって言ったのに、なんで守ってくれないんだよ!こんな悪臭がして、茶色くなるまで巻きっぱなしとか、ありえないだろ!

という思いながら包帯を手早く切って創部を見ると…。

えっと、なんすか、この茶色の悪臭を放つ物は?よく見よと茶色の悪臭を放つ物のなかに藁の様な、植物の繊維の様な物がありますが?

ま、まさか、これは…。


「坊丸様。傷に馬糞が塗ってありますな、これは。これが悪臭のもとなのでございますぞ」


は、は、は、は。

やっぱり?加藤さんもそう見える?馬糞だよね、これ!どう見ても馬糞だよね、これ!傷に馬糞とか、ありえへんやろぉぉ!

坊丸くんと加藤さんがつけた布口面は、マスクの口に当たる部分を木綿の三層構造にして真ん中の布に沈香を焚き付けた物を使った坊丸スペシャルなマスクです。

婆上様と文荷斎さんのはその試作品の二層構造版。本来、自分と加藤さんしかつけないつもりだったので、スペシャルを2つ、簡易版を2つ持ってきただけです。


はい、皆さん、覚えてましたか?

南伊勢攻略戦の一幕で484話でチラッと出てきた「馬糞」話を?

スカトールとか、便臭とか言うあたりで気がついたとは思いますが、ね。

83話でも馬糞話が少しあるのを覚えておられるでしょうか?ここで使うために遥か昔に仕込んである伏線だったのです。


少しでも「面白い!」「続きが気になる」と思った方は、下の★でご評価いただけると、作品継続のモチベーションになります。

宜しくお願いします。

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