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448話 バテレンが来た! 什の段

ども、坊丸です。


本日は奇妙丸様の小姓業務でございます。ま、いつものように登城して、夜勤担当から引き継ぎして、挨拶して。その後、奇妙丸様の勉学のお供からの武芸の稽古のお供。少しの余暇時間に囲碁将棋などのお相手や雑談ですな。

奇妙丸様は、最近、伯父上様のお供で能や狂言に触れる機会が増えてきたようで、能や狂言の筋や演出をまとめた本をもとに佐久間牛助くんと話したりしております。時々、二人して舞扇を手に入れる算段をしてるし。

奇妙丸様が能楽、狂言を習い始めたら、それに付き合う羽目になるんでしょうか?なるんでしょうね…。


それはさておき、本日は柴田のお屋敷にバテレンが来ているはず。

朝、出仕する前に、お滝さんと打ち合わせしてきたから、オ・モ・テ・ナ・シ!はキチンとできているはず。できていると良いなぁ。できていてよね。

まさか、ルイス・フロイスさんがアヒージョもスパニッシュオムレツもプリンも大嫌いだったらどうしましょう。昨日の段階ではその可能性は考えてなかったからなぁ…。


そんなことをは頭の片隅に置きながら、勤務をしていたわけです。

そうしたらね、呼び出しを受けました。信長伯父さんに。


「奇妙丸様。失礼致しまする。こちらに津田坊丸はおりますでしょうか?」


ってな感じで、佐脇さんが奇妙丸様のお部屋に来訪。そして、少し前にも同じ感じで呼び出し受けてたよねっていう奇妙丸様と牛助くんの視線を受ける羽目に。


「佐脇。津田坊丸はあれに。で、何用じゃ?」


「はっ。信長様より津田坊丸がおれば呼んでくるようご下命がありました。奇妙丸様より特別の用が無ければ、津田坊丸をお借りしたく」


「父上の命であれば、致し方なし。坊丸。行ってまいるが良い」


「はっ」


いやはや全く、既視感しか無いこの流れ。

最近は特にやらかした事もないはずなので、何故に、信長伯父さんに呼び出しを受けるのか全く分かりません。


最近、何があったのか脳内で確認してみましたが、千種越え、湯の山越えといった南近江と北伊勢を結ぶの道の整備を親父殿に進言したのと、バテレン絡みの小細工くらいしか動いていないのですが。

今頃ルイス・フロイスさん達に食べてもらっているアヒージョやスパニッシュオムレツを饗応せよってのは流石に無いと思うですがね。試作品作ってるのは、桃花さんチェックしてるかもしれませんが、昨日の今日で甲賀衆組頭さん、お桂さんを経由して信長伯父さんまで届くことは無いと思うんですが…。

それにそんな大切な案件じゃないし。そんな情報を即日あげるならもっと大切な情報を収集伝達してなさい、って甲賀衆の皆さんに言いたくなるよね。


というようなことを考えながら、佐脇さんの後ろをついていくと、小広間に到着。上座に信長伯父さん、左右には堀久太郎秀政くんと蒲生忠三郎教秀くんが。

それと、松井友閑殿が右筆として控えておりますな。


「津田坊丸、お召しとのことで、参上仕りました」


「で、あるか。坊丸。柴田の屋敷にバテレンが顔を出したは、相違ないか?」


「はっ。数日前、それがしが屋敷にいる時に日ノ本人のバテレン、ロレンソ了斎と言うものの訪問がございました。その者が言うには、ルイス・フロイスなるバテレンも和田惟政殿の屋敷に居るとのことにございました。預り親たる柴田勝家様が昨日岐阜にお戻りになられ、近日中に其の者らに会う算段をすると申されておりました」


まぁ、本日、ルイス・フロイスと柴田の親父殿ご面会しているはずなんだけどね。

それと、少し前に柴田の屋敷に日本人バテレンが来たってのは情報上がってないですかね、屋敷に居る甲賀衆から。


「で、あるか。先程、勝家から儂への取り次ぎ、目通り願いの書状が来た。勝家の奴め、本日にはバテレン衆を呼んで話を聞いた様子じゃな。

で、だ。明日、バテレンに会うことと致す。勝家にバテレンを伴い明日午の刻には登城する様に伝える。友閑、今の話したこと、書状に致せ。書けたら花押を記す。

本来ならば、使者を選び其奴に持たせるのだが、な。面倒である。故に、坊丸。お主、出来た書状を勝家のもとに持って帰り、事情を説明せよ!良いな!」


「はっ!殿のご意向、ご下命、承りました。書状をいただき、預り親である柴田様に明日、バテレンを伴い登城すべきこと、お伝え致しまする」


「で、あるか」


そんなやり取りをしている間に松井友閑殿が書状を記載終わった様子。信長伯父さんに文机ごと渡して確認を促しております。


「うむ。出来た。堀久、坊丸に書状を渡しておけ。佐脇、奇妙に坊丸には別命を授けた故、本日は帰したこと伝いおけ。以上じゃ」


そう言うと、蒲生忠三郎くんを従えて足音を立てながら小広間を後にする信長伯父さん。いやはや、せわしない。


松井友閑殿が綺麗に折り封にしてくれたものが塗盆に乗せられて自分の前に。堀秀政くん、運んでいただきありがとうございます。書状を押し戴いて、懐に。


ま、何かやらかして怒られる流れでなかったので、今回はセーフですな。

ていうか、どうせ柴田の屋敷に戻る坊丸居るんだからあいつを使者の代わりにしちゃえ!面倒だし!楽チンだし!それで良いよね!ってことですかね。


まぁ、なにはともあれ、書状を胸に、ちょっとだけ早い退勤だ!

堀久太郎秀政は1553年、蒲生忠三郎教秀(氏郷)は1556年の生まれ。津田信澄は1555年生まれ説を本作では採用しているので、年回りが近い方々。なので、くん付け。

佐脇良之、長谷川橋介、山口飛騨は一世代上なのでさん付け。大津長昌はぎりぎりさん付け扱い。そんな歳周り。

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