3話 新しい部屋と家具
寮監長の説明が終わった。これからは部屋を選ばないといけない。空いている部屋は好きに選んでいいって言ってたし、どこにしようかな?
でもやっぱり5階だよね。5階の一番端の部屋。
5階なら、高いから窓からお花が見えてきっと綺麗だろうな。それに端の部屋は他の部屋よりちょっと大きいらしいからね。
「にしてもすごい数の部屋。いろんな所から生徒が入学するから当然かもしれないけど
……えっと、5階の一番端ここかな?誰も使ってないみたい、ラッキー。確か鍵を挿せば自動的に部屋に名前が登録されて他の人が入れないようなるって言ってたけど、本当かな?」
とりあえず鍵を鍵穴に差し込んでみる。
すると、鍵についていた透明の魔石がわたしの魔力を吸収して、キレイな水色に染った。そして扉にかかっていた白いプレートも魔石と同じ水色になった。これで登録完了!
にしても、すごいなー。魔力を吸われて魔石とプレートがわたしの目と同じ色に変わった。ちょっと自分の部屋って感じがして嬉しいな。
さっそく扉を開けて中へ入る。想像してたより大きな部屋の中にはシンプルなベットと机それからクローゼットがひとつずつ置いてあるだけで、凄くがらんとして少し殺風景に見える。
どうやら、ここから自分で好きなように部屋を変える時に変えやすいよう、必要最低限の物しか置いていないらしい。
このままだと夜はこんな部屋で寝なければいけなくるし、早速学園用の服に着替えて今から家具を買いに行こう。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
お店は校門から出てすぐ近くにあった。大きな商会が運営しているお店みたいで建物がすごく、たくさんの人が出入りして繁盛している、何人か魔法学園の生徒らしき人も見かけた。
中に入いると、あんなにたくさんの人が入ってたのに、全く混雑せず広々としていた。そして色んな種類の家具が展示至る所に展示されていた。
「うぁー、どれもセンス良くてすてき。こんなにあるとどれにしようか迷っちゃうな。どうしよう?」
「お客様、なにかお困りでしょうか?」
種類が沢山ありすぎて困ってたら、近くにいた店員さんが声をかけていくれたので、種類が沢山ありすぎて困ってることを伝える。
「……そうですね、どんなお部屋にしたいかなどのイメージはありますでしょうか?」
「えっと、薄い色の可愛い部屋にしたいんですがそんなイメージの家具ってありますか?」
「それならこの前入ったばかりの新作はいかがでしょうか?あちらにありますのでご案内しますね」
店員さんについて行き、入った所から反対側にある新作コーナーで立ち止まった。
「こちらです」
わたしはそこに展示してあるセットの家具たちを見て、人目で気に入った。ピンク色のレースをたっぷり使ってる天蓋付きのベット、本がたくさん入りそうな真っ白の大きな本棚、所々にさりげなくおゃれな彫刻が彫られてある机と椅子。どれもすごく素敵で、思わず目を奪われた。
「これすごく素敵ですね!」
「ありがとうございます。こちらは王都で有名なデザイナーが作られたもので今日入荷したばかりなんです。
もしお気に召しましたらこちらの注文用紙に商品の名前を書いてください。後でお会計や商品の引渡しの時に使います」
渡されたのは線が書かれた1枚の紙とペン。この中に商品の名前以外にも個数などを書く欄もある。さっそく中に書くと線で区切られているからすごく見やすい。
それからは、さっき見た家具に合うよう家具を選んだ。
「……うーん、やっぱりふかふかのカーベットは必要でしょ、あと服装などをチェックするための鏡、それからカーテンも買わないといけないし、クッションも何個か欲しいよね……」
満足して気づいたら頃には思ったより時間が経っていた。欲しいものの名前を書いた注文用紙を見るとたくさんの商品の名前が書かれていた。
「いっぱい書いたな、これ全部無料でよかった……、自分のお金で買ったらいくらかかるんだろう」
うん、なるべく考えないようにしよう。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ふぅ、いっぱい買ったなー」
なんと、今回いっぱい買い、運ぶの大変だということで最近開発されてまだ試験中収納紙を貸してくれた。
収納紙とは、特殊な紙の中にものを収納する魔導具のことで、これを使って中に収納されている物を置きたい場所に収納紙を置き、呪文を唱えるとその場所に収納されている物が出てくるというものだ。
これを使うことによって重いものなども嵩張らずに軽々と運ぶことができるようになり、便利だけど魔力を持っている人しか使えず、さらに色々と細かい制限があり使いずらいというのが欠点らしい。
せっかくだし今から部屋の模様替えを始める。生徒がまだ少なく暇で、覗きに来た寮監長に手伝ってもらい、元からあった家具を部屋の外に運び出した。それから収納紙を床に置いては呪文をとなえて今日買ったものを設置していった。
「ふぅー、これでおしまいかな?」
買ったものを全部設置した部屋を見渡した。最初に入った時とは同じ部屋とは思えないぐらい雰囲気が変わった。
3つのシンプルな家具しか置かれていなかった殺風景な部屋は、今では可愛いファンシーな部屋になっていた。
「さすがにもう疲れたー、今日はもう寝よ」
もう外は少しずつ暗くなっていた。晩御飯はさっき家具を買った帰りにどうしてもいい匂いに釣られて少ないお小遣いで買い食いして食べたし、今日は部屋のお風呂を使ったら寝よう。
1ヶ月馬車で移動してたので、久しぶりに暖かいお湯を使って体を洗い、また久しぶりに今日新しく買ったふかふかのベットに横になると瞬く間に意識は深い闇に落ちていった。
……明日も、いい一日になりますように。