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病とともに生きる  作者: Takatan
くも膜下出血編
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くも膜下出血への思い

 発症当初、私は、くも膜下出血さえ起こさなければ、という思いが強く強くありました。この病気のせいで起こってくる様々なことに、振り回されて、吹き飛ばされないよう踏ん張るだけで精一杯でした。

 まさに、くも膜下出血の「せいで」と思うことばかりでした。

 退職を決めた時がその最たる時期です。いつもいつも、もしこの病気になってさえなかったら、今もまだあの場所にあたりまえのようにいたんじゃないか、とそればかり考えていたように思います。


 けれど、大学院に通いはじめた頃から、その思いが徐々に変化してきました。

 くも膜下出血の「おかげで」と思えることができてきたのです。

 教師を辞めて大学院に入るなんて、この病気がなかったら、絶対に歩むことのない人生でした。がむしゃらに突っ走ってきた教師経験の日々を、こんな風に振り返ることもなかったはずです。これらも全て、くも膜下出血の「おかげ」です。そしてそんな余裕が出てくると、別の「おかげ」も見えてきたのです。それは、病気前には日々の気にも留めなかったような些細なことにも、喜びを幸せを感じるようになっていたのです。確実に病気の後の方が、人生をより丁寧に味わって生きているという実感があります。

 とはいえ、今でもくも膜下出血になって良かったとは絶対にいえません。けれど、人生においてとても大事な経験だったとは心から言うことができます。

 そんなある日、ふっと口をついて出てきた言葉があります。

「ありがとう、くも膜下出血」

 それを言葉にできた時、私は発病後はじめて感じるようなえもいわれぬ開放感に包まれました。

 くも膜下出血との関係が大きく転換した瞬間でした。

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