prologue
世界は一つではない。
何千、何万、何億という小さな世界が固まって、大きな『世界』を形成している。世界と世界は互いの存在を認識しているものもあれば、世界は自分達の存在する世界しかないと思い込んでいるものもある。
だが現に、世界は無数に存在する。
そしてその無数に存在する世界――互いに優越はなく、全て平行に存在する各々の世界の中で、唯一頂点に存在し、『世界』を見守る世界があった。
名を『セレスティア』という。
セレスティア自体は無数に存在する世界の一つに過ぎない。住民がいて、生活がある。セレスティアを『最上界』――頂点にある世界ということで、そう称されることもある――たらしめているものは、セレスティアを実質支配する『聖族』と呼ばれる者達と、セレスティアに住まう『精霊』の存在である。
聖族とは、万物の創造者とされる統治精霊ゼウスが初めて創った5体の精霊――聖精霊という――の血を引く、セレスティアの支配者階級にある種族のことだ。『アース』と呼ばれる神の力を持ち、『世界』の均衡を保つのが彼等の役割である。
また『精霊』とは、セレスティアにおけるありとあらゆる現象の原因となる、人などの生物とは違う精神の存在だ。火、水、地、風、光、闇、時の7種の属性に分かれ、意思を持つ上級精霊からふわふわと漂うことのみしか出来ない低級精霊までその形態は様々で、上級精霊の中には他の世界を創造し、その世界の神として君臨する者もいたりと彼等の影響力はセレスティアに止まらない。
そして、そのセレスティアを支配する、4つの国家が存在した。
聖精霊セイの血を引く一族が治める、コードウェル君主国。
聖精霊ガーゼルの血を引く一族が治める、ベギン王国。
聖精霊ライルの血を引く一族が治める、イヴァーノフ皇国。
聖精霊ロッテーシャの血を引く一族が治める、ミストラル神国。
天暦元年より2000年に渡ってセレスティアを支配する国々は、各々独自の文化と民族を抱え、成長してきた。今や各国の支配は確固たるものとなり、彼等を揺るがす脅威は存在しない。
そんな、一見平和に思えた日々の中。
悲劇は突然幕を開ける。
物語は、あの日―――セレスティア全土を恐怖に震撼させたあの夜から、およそ20年経った後の時代。
人々が、恐怖と悲劇を忘れ始める、そんな時期。
始まりは、『第8世界』と呼ばれる世界から――




